ファミリー『MUSIC IN A DOLL'S HOUSE』に関するメモ

今回デイヴ・メイソンの原稿を書いていて思わぬ収穫となっ
たのが、デイヴがプロデュースしたファミリーのデビュー・
アルバム『MUSIC IN A DOLL'S HOUSE』(Reprise 68年)
でした。ディープ・フィーリングを経たデイヴ・メイソンは
67年にマネージメントを通して、当時スペンサー・ディヴィ
ス・グループに在籍していたスティーヴィー・ウィンウッド
と出会い、意気投合してトラフィックを結成します。しかし
デイヴはファースト・アルバム『ミスター・ファンタジー』
を発表直後にグループを脱退してしまい、自らのソロ・シン
グルの制作やファミリー『MUSIC〜』のプロデュースを手掛
ていきます。その後再びトラフィックに戻り彼らのセカンド
作『トラフィック』(68年)に参加したデイヴですが、これ
また一時的なことでした。いろいろ調べてみたのですが、ど
うやらスティーヴィーの心がトラフィックから離れ、エリッ
ク・クラプトンやジンジャー・ベイカーらとのブラインド・
フェイスに向かったことへの反発があったようです。ワイン
ダー・K・フロッグのミック・ウィーバー(のちにヘンリー
・マカロックのソロ作に参加)や、トラフィックのクリス・
ウッドやジム・キャパルディと新しいバンドを画策したのも、
どうやらそうした理由らしいです。

そんな混沌した時期に残されたファミリーの『MUSIC〜』を
聞いていると、何となくデイヴの”心の揺れ”が伝わってきま
す。サイケディリックとクラシック音楽と米スワンプが微妙
に融合した世界を、ファミリーはこのデビュー・アルバムで
展開していきます。何しろロジャー・チャップマンのヴォー
カルはジェスロ・タルのイアン・アンダーソンばりに演劇的
で、いわゆる米南部のオーティス・レディングやオーティス
・クレイと直結する要素は少ないのですが、そんな部分にこ
そ、ぼくはブリティッシュ・ロックの匂いを感じずにはいら
れません。個人的にはグループ後期の『IT'S ONLY A MOVIE』
や『BAND STAND』の骨太な演奏のほうが遥かに共感するの
ですが、サイケの季節を彩ったこの『MUSIC〜』が妙に心に
引っ掛かってくるのでした。




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by obinborn | 2017-06-10 19:25 | one day i walk | Comments(2)  

Commented by tapara at 2017-06-12 11:59 x
小尾さん、こんにちは。

ロジャー・チャップマンのダミ声?は、妙に心にひっかかりますね。ファミリーは一般的にどれだけ評価されているのか知りませんが、わたしゃとにかく好きですね。

デーブ・メイソンについては、「・・・キャンティーン」から入った遅者ですが「アローン・ツギャザー」そのほか一連も含めてずっと好きですね。
最近楽に聴けるCBS時代のライブCDを入手して、クルマで何回も聴いています。
Commented by obinborn at 2017-06-14 05:34
>taparaさん、コメントありがとうございます。またまた返事が遅くなり申し訳ございません。ぼくがファミリーを知ったのは彼ら最後のアルバム『バンドスタンド』だったと記憶します。それから夢中になり溯ってすべてのアルバムを探しました。やはりアーシーな後期が一番好みですが、初期の英国風サイケも大変面白いですね。チャップマンのダミ声が好きで、のちのストリート・ウォーカーズなども持っています。

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