追悼:ロザリー・ソレルズ

「アイダホ・ステイツマン」誌が伝えるところによると、
フォーク・シンガーのロザリー・ソレルズが亡くなった
らしい。彼女は60年代の中盤から活動し始め、ユタ・フ
ィリップスに認められフォーク・レガシー・レーベルと
契約。67年に『IF I COULD BE THE RAIN』をリリース
した。73年にはウッドストックで録音された『WHAT E
VER HAPPENED TO THE GIRL THAT WAS』(Paramo
nt)が、ロック・ファンからも注目を集めた。本作を制
作したマイケル・カスケーナは元々ジャズ畑の出身だが、
当時はボニー・レイットやエリック・カズそしてクリス・
スミザーを手掛けるなど、フォーク/ルーツ・シーンから
も重宝されるプロデューサーになっていた。ぼくもそう
した興味からソレルズの歌に接するようになったと記憶
する。

本作に収録されたゲイリー・ホワイト作のNobody'sは、
当時デヴィッド・ブロムバーグ・バンドも取り上げていた
曲で、その繋がりに興味を持った。また気骨あるフォーク
・ブルース歌手、ポール・ジェレミアのElegant Hoboを
初めて知ったのは、ここでのソレルズ・ヴァージョンが
最初だった。彼女の音楽に欠かせないミッチ・グリーン
ヒルの端正なギター、ハーヴェイ・ブルックスの抑制さ
れたベース、エリック・カズの知的なピアノがソレルズ
の歌を際立たせていた。

以降はフィロに移籍して『TRAVELIN' LADY』『ALWAY
S A LADY』『MOMENTS OF HAPPINESS』『TRAVELIN'
LADY RIDES AGAIN』など、より自然で良質なアルバムを
作った。世代的にはぼくの二周りほど上の人だったので
全面的に感情を託すような聞き方は出来なかったが、それ
でもヴィブラートの掛かった震えるような発声、たおやか
に大地を撫でていくような歌唱、暮らしや人々をじっくり
と見つめた多くの自作曲に惹かれ、ケイト・ウルフやメア
リー・マッカスリンら女性フォーキーたちとともに、ぼく
のターンテーブルの上で彼女のレコードは回り続けた。

きょうびフォーク・シンガーであり続けた行為は大変なこ
とだったと思う。それは実生活と歌とが乖離しない態度、
虚勢のなさ、私は星くずのように瞬きながら消えていく小
さなものなの、と静かに見つめる自己申告に他ならなかっ
た。彼女が教えてくれたものがあるとすれば、知られてい           ないものに真実が宿るとでも言いたげな心映えだろう。ソ
レルズが恩人のユタ・フィリップスと出会ったのは1965年
のソルト・レイク・シティだったという。彼女の歌は今そ
の土地に還っていくようだ。風が吹き、無数の花々が咲き、
蝶たちは昨日と同じように宙を舞っている。


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by obinborn | 2017-06-14 05:01 | one day i walk | Comments(0)  

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