ローリング・ストーンズ「Moonlight Mile」

私が所沢のホース工場でアルバイトをしていたのは確か20才の
夏だったと思う。朝9時前に出勤し午後5時のチャイムが鳴る
まで、ただひたすらホースの部品をマニュアルに従いながら組
み立てていった。細かい溶接作業に関してはしっかりした職人
のおやじさんがいて、まるで若造なぞ寄せ付けない威厳を漂わ
せていたのだが、その年輩の彼が100円の缶コーヒーを奢って
くれたのは予期せぬ驚きだった。どうやら不思議とこういう体
験は末長く記憶に残るらしい。

その当時自宅に帰ると欠かさず聞いていたのが『スティッキー・
フィンガーズ』と『ワーキングマンズ・デッド』の2枚だった。
他に聞けるものがなかったわけではないが、恐らく当時新しく
購入した”新譜”だったのだろう。とにかくこの2枚を交互に針
を落としたお陰で?私は今も『スティッキー』や『ワーキング』
のシークエンスを頭から最後まで暗記しているくらいだ。そう、
Brown SugarからMoonlight Mileまで。Uncle Johns Bandか
らCasey Jonesまで。

それらの日々と現在のどちらが幸せだったのだろうか?無知で
あるが故に守られたことはあっただろう。逆に経験を積み重ね
たがために失ったものもきっとあるだろう。そんな気持ちにな
った時、私は無性にMoonlight Mileを聴きたくなる。忘れもし
ないBサイド5曲め、アルバム最後のトラックだ。先日亡くなっ
たばかりのポール・バックマスターの弦アレンジが、そっと頬
を撫でてくる。


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by obinborn | 2017-12-21 19:15 | one day i walk | Comments(0)  

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