2017年 06月 06日 ( 2 )

 

追悼:鈴木カツさん〜今までありがとうございました

鈴木カツさんが亡くなられた。ここ数年は闘病生活を余儀なく
され、ご自宅近くの茅ヶ崎から外に出られることもままならな
くなっていた。ぼくがカツさんと出会ったのは確か95年のこと。
今はもう疎遠になってしまった中山義雄くんと一緒に、築地に
あるカツさんの音楽バー、Any Old Timeに出向いたのが最初だ
ったと記憶する。それからしばらくAnyに通い、親しくさせて
頂いた。

こればかりは正直に告白しなければならないだろう。そうして
仲良くなったカツさんとぼくとの間に亀裂が生じたのは、07年
の7月のことだった。今でもはっきり覚えている。改訂/増補版
として10年ぶりに再刊が叶った拙書『Songs〜70年代アメリカ
ン・ロックの風景』に対して彼が文句を付けたのだった「表紙
のデザインはちゃんと精査したのかい?」「ぼくは今いちだと思
うよ」それがカツさんの言い分だった。その後次第に交際は途切        れていった。いささか心ないdisり合いをソーシャル・ネットで
互いにやり合った。

それでも昨年の12月、体調をかなり崩されているカツさんを
見舞いに行った。彼は茅ヶ崎駅までわざわざぼくを出迎えてく
ださった。握手をした。これまでの非礼をぼくは詫びた。カツ
さんは穏やかに受け止めてくれた。同行して頂いた芽瑠璃堂の
長野和夫さん、イラストレイターの菅野カズシゲさんと、駅ビ
ルの上階にある鮨屋で円を囲み、旧交を温め直した。わざわざ
お土産として茅ヶ崎名物の魚の煮干しと、エディ・ジェファー
ソンのriverside原盤、そして英Mojo誌が企画したボブ・ディラ
ンのトリビュート作『再訪:Blonde On Blonde』を頂いた。カ
ツさんのご著書『ぼくのアメリカ音楽漂流』にサインをしてく
ださった。

こうして95年から22年もの間に、ぼくはどれほどのことを得
たのだろう。一体どれほどのものを失ってしまったのだろう。
焦らない、急がない。答えはぼく自身が出していかなければ。
写真はその時のスナップ。菅野カズシゲさんがシャッターを
押してくださった。鈴木カツさんのご冥福を心からお祈り致
します。カツさん、聴こえていますか?今まで本当にありが
とうございました。


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by obinborn | 2017-06-06 18:08 | one day i walk | Comments(0)  

喜びと悲しみ〜Sさんとフェイシズのこと

旧知のSさんからメッセンジャーで連絡を受けた時はとても
嬉しかった。彼は以前池袋の音楽バーのコック係を担当され
ていて、その美味しい料理と陽気な性格がぼくは大好きだっ
た。そんな彼と音信が途絶えてから久しかっただけに、ぼく
を覚えていてくださったことに、心温まる思いがした。

人間、毎日生きていればいい時も悪い時もある。楽しいこと
も辛いこともある。今朝だってぼくはバイト先で内装業者さ
んと居住者さんとの狭間に立たされたばかりだ(結果丸く収
めました)そんな時は誰もがささくれだってしまう。でも互
いに少しの知恵を出してみようよ、というのがぼくの考え方
だ。

記憶って素敵だな。誰かが自分を覚えていてくれる。彼や彼
女らが、たとえぼくみたいな”つまらない男”であったとして
も、覚えていてくれる。声を掛けてくれる。ときに「ねえ、
今度久し振りに飲もうよ!」とラインをくれる。ぼくはその
心の動きのひとつひとつを大事にしたい。ぼくが父親の葬儀
の際、喪主として述べたのはおよそ次のようなことだった「
父は亡くなりました。それでも皆さんそれぞれの記憶のなか
で、きっと生き続けることでしょう。時々父のことを思い出
して頂ければと願っています」と。

Sさんの陽気のなかに秘められた悲しみが見える。フェイセ
ズの馬鹿騒ぎ的なロックンロールとイカしたR&Bの彼方に
メンバーそれぞれの悩みや葛藤がやがて見えてくる。もし誰
かに声を掛けられたなら、せめて笑顔で返す気持を持ちたい
ね。Cheers!My Old Pal !


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by obinborn | 2017-06-06 12:54 | rock'n roll | Comments(0)