カテゴリ:タマコの人々( 15 )

 

6月25日のイトウサチ&ブンケンバレエ団/双六亭

25日は自由が丘のマルディグラにて、イトウサチ&ブンケン
バレエ団と双六亭のツーマン・ライブを。まずはリンダ・ル
イスを彷彿させるイトウの無垢なソプラノ・ヴォイスが染み
渡る。抑揚の付け方ひとつひとつに歌詞と合致する豊かさが
あり、新井健太のウッド・ベースと、井上文貴のアクーステ
ィック・ギターが見守るように支えていく。東京ローカル・
ホンクのメンバー二人による歌心あるプレイには、ソングラ
イターとバイ・プレイヤーの最良の連携を見る思いがした。
イトウの歌世界は自分の視界に映るものを丁寧に温めていく
ものであり、その自問やスケッチする対象にはとって付けた
部分がまったくない。極めて意志的な彼女の眼力もこちらの
薄暗い心を射抜くかのよう。

対する双六亭はすっかり馴染みになったフォーピースのロッ
ク・バンドだ。個々のメンバーにはキャリアに準じた高度な
演奏力がある。それでも、彼らは精緻な地図に逆らうが如く、
ザラザラとした剥き出しの荒ぶるロック心をとても大事にす
る。そんな直感に賭けていく姿は最高の時のニール・ヤング
&クレイジー・ホースを彷彿させる。緩急と起伏に満ちた楽
曲に、メンバー全員が鋭く瞬時に反応していくミュージシャ
ンシップ。その尊さを思わずにはいられない、6月最後の土
曜日だった。

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by obinborn | 2016-06-26 04:42 | タマコの人々 | Comments(0)  

7月10日の双六亭とサザンライツ

もやもやとした嫌な気持のまま週末を迎えたくはなかった
ので、明日も仕事なのだが、10日は思い切って双六亭とサ
ザンライツのツーマン・ライブを高田馬場Diglightでたっぷ
り味わい尽くした。双六亭は昨秋のJIROKICHI以来、サザ
ンライツは今年初めのフリーフロウ・ランチ以来の再会だ
ったが、みんな元気そうで嬉しい!

研ぎ澄まされたロック・カルテットである双六亭は昨年夏
頃に凄腕のベーシストがソロ・アクトに専念するためバン
ドを脱退するというあまりに衝撃的な出来事があったもの
の、その後サポート・メンバーを経ながら現在は四人のな
かで最も若いベースマンがすっかり音の渦に溶け込んでい
た。そのことを嬉しく思う。彼らが繰り出してゆく音と言
葉は精緻な地図を描いていくものというよりは、むしろ粗
めのザクザクとした塊へと賭けていく熱情がたっぷり。

歌とギターを担当するニシイケタカシはルックスからして
不器用なロック音楽家といった感じだが、彼のぶっきらぼ
うだが信頼に値するヴォーカルはニール・ヤングのそれに
似ていた。もう一人の歌とギターを担う鈴木アッキーにし
ても、ニシイケとのコントラストが鮮やか。歌われていく
リリックにしても起承転結にこだわらず、感じたままをス
ケッチしていくような心映えが、どんな美辞麗句よりもこ
ちらの胸を満たしていった。

対するサザンライツは今夜もまた含蓄に溢れた演奏を繰り
広げてくれた。彼らの場合はザ・バンドの「ストロベリー
・ワイン」からキンクスの「マスウェル・ヒルビリーズ」
まで多くのダウンホーム・ミュージックを背中に負いつつ
も、メンバーが独自に描き出していく日々のスケッチが染
みていく。サザンライツは南部のロックに多くを担ってい
るが、それを彼らならではの日本語訳に特化する。そのこ
とが尊いと思う。バンドの弾力にしても変幻自在であり、
ストラトキャスターの名手タージがあえて弾かず、山本シ
ラスのテレキャスに3コーラス分のパートを委ねる場面な
ど、まさに白眉であった。駆け引き自在なこのバンド・サ
ウンドの愛おしさを噛み締めている。

気持は塞いだり晴れたりの連続だが、アンコールでは双六
亭とサザンライツが合体し、レイ・チャールズでお馴染み
の「THAT OLD LUCKY SUN」を届けてくれた。その曲が
何もレイ版を模したものではなく、久保田麻琴と夕焼け楽
団のヴァージョンを踏襲したものだったことに、筆者は日
本語ロックの連続線を感じずにはいられなかった。


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by obinborn | 2015-07-11 02:37 | タマコの人々 | Comments(0)  

双六亭、再び

昨夜の双六亭、別ヴァージョンです。いかにもミュージシャンた
ちと音楽評論家といった立ち合いのルックスでしょ(笑)それは
ともかくメジャー・カンパニーからデビューしたこともある彼ら
個々が、そんな過去をおくびにも出さず日々修練に勤しみ、ライ
ブハウスでの場数を重ねながら前進していこうとする謙虚な姿は
まさにパブ・ロックのスピリットそのもので、昨夜は以前にも増
して、そんな彼らの底力やミュージシャンシップを思い知らされ
た次第。きっと経験の数だけ音が深く刻まれているのだろうな!
ぼくも何だかいい刺激を受けました。硬軟自在のムーさんと河野
さんのリズム隊、ニシイケさんとアッキーさんによるギターの駆
け引きなどなど、今こうしてキーボードを打っていてもすぐ甦っ
てくるほど。また会いましょう!
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by obinborn | 2014-09-07 18:55 | タマコの人々 | Comments(0)  

素晴しかった双六亭のライブ

それなりの荷物は背負っているけれど、運び切れないほどでは
ない。むしろ足回りは軽やかなくらいだし、まず自分が道に立
ちながら歩を進めていくことが大事なんだ。そんな感想が浮か
んでくるほど素晴しい双六亭の演奏を6日は三鷹のバイユーゲイ
トにて。一見普通のロック・カルテット編成(ギター2本にリ
ズム隊)だが、何とも埃っぽい情感が漂う骨太なプレイがどこ
までも続いていった。影響された音楽は年月の分だけある。で
も物真似でないことをやっていこう。そんな清々しさが先に立
つ。高田渡の「値上げ」やディランのOPEN THE DOOR、RIC
HARDもオリジナル・ソングの数々に混ざりながら歌われたが、
歌の背景や歴史に埋没しない確かさが際立つ。

終演後ギターとヴォーカルのニシイケタカシと話す機会を得た
が、多くのミュージシャンがそうであるように朴訥とした調子
で彼は語り始めた。「アッキー(鈴木晶久)とオレのギター・
パートはとくに決めごとはないんです。最後にオレの歌に戻っ
てくれば、まあそれがエンディングかな」「それより大事なの
はオレたちのバンドは常に”対話”しながら音を奏でているとい
うことですね。オレなんかそんなに上手くもないから、本当に
リズム・セクションの上に乗っかっているという感じです…..」
「以前デヴィッド・ボウイが言っていたんですけど、音楽とい
う背景に負けたくないっていうか、あくまで演奏しているのは
オレたちなんです」「ほら、オビさん、車を運転するとかハン
ドルを握っているのはあくまでオレたちじゃないですか。そん
な車に乗っていれば、窓辺に鹿も見えてくるんです(笑)オレ
らはそういうことを音楽で会話を楽しみながらやりたいんです」

もう何も言うことはない。彼ら4人はそういう車に乗りながら
旅を続ける。アッキーが持ち込んだお弁当が美味しそうなら、
その卵焼きにニシイケが箸を伸ばす。そんなやり取りを河野薫
が微笑みながら見ている。後部座席からは中原由貴が温かいお
茶を差し出しつつ、この旅は長くなるかなあ〜と漠然と感じな
がら明日を夢見る。きっとそんなことだ。ぼくも彼らと一緒に
なって鹿やライオンの姿を確かめたい。なだらかな河口があれ
ば車を止めて鯡や鱒を釣るのもいいだろう。そんな気持ちさえ
双六亭の音楽は今日も運び込んできてくれた。

*写真は時計回りに中原由貴さん、筆者、ニシイケタカシさん、
河野薫さん、アッキーさん

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by obinborn | 2014-09-07 01:56 | タマコの人々 | Comments(0)  

いつか新しい日がやって来る

素晴しいライブの翌日はただただボ〜っとするのみだ。その
夜の余韻に浸り、いささか飲み過ぎた身体を休めつつ、とき
に当該アーティストのアルバムを聞き直したりもする。この
10年余り個人的には長年勤めてきた会社を辞めたり、フリー
ライターとして(形ばかりの)独立をしたりと波乱万丈の歳
月だったけれども、いいライブの翌日は何もしたくないとい
う気持ちは今も変わらない。昨日、ステージ終了後にムーさ
んと話したこと。それはぼくは演奏家ではないからきみたち
の領域は侵害しない。ただそのぶん聞き手に徹するよ。聞く
からにはきちんと聞くから。そんな会話だった。彼女もその
ことに頷いてくれた。何でも、ムーさんのドラムス・テクニ
クス担当の方がかつて同じようなことを話されたとか。そん
なお話を伺ってぼくは何だか嬉しくなってしまった。きっと
そのドラム・テクニシャンの方は、しっかり自分の仕事や役
割について把握されていたのだろう。一定の年齢を過ぎた今
もなお聴衆たちの声援を浴びている中原由貴さんのような音
楽家はそれだけで幸せだとぼくは思う。その才能や不断の努
力の前でぼくは言葉を失う。ならば自分は文章で音楽を伝え
ようと思う。キーを合わせればいくらでも演奏側に立つこと
は出来るだろう。しかしぼくはそれをしない。きっとそれは
彼らや彼女らに対して失礼だという思いがあるからだと思う。
個人的な思いになって申し訳ないのだけれど、ぼくが今回
『パブ・ロックのすべて』を出して、真っ先に献本したいと
思ったのは中村まりさんと中原由貴さんのお二人だった(
オビン女性には何とも甘いのだ〜笑)その両方が実現出来て
良かったと思っています。いつも素晴しい音楽を届けてくれ
てありがとう!

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by obinborn | 2014-08-24 18:52 | タマコの人々 | Comments(0)  

8月23日〜The Vout、双六亭、サザンライツ

素晴しい夜だった。The Vout、双六亭、サザンライツと互いに
仲良く、ある種の敬意を払っているバンドどうしの気持ちのあ
りようが、客席にいるぼくにもしみじみと伝わってきた。そん
な彼らの3マン・ライブを23日は東中野のYES! にて。彼らに
共通しているものを探すとしたら、ぶきっちょながらも借りも
のでない自分たちの音楽を届けようとしていることだろうか。
その骨太な歌心が何の虚飾もなく伝わってきた夜だった。スリ
ーピース編成で日本語のオリジナル曲を演奏するThe Voutが
描き出す世界はぼくの暮らす毎日とさほど変わりないものだし、
KOMIによるアレックス・チルトンばりのギターも胸に迫った。
彼自身に話を伺った限りでは「まだまだです!」とのことだっ
たが、本当の意味でのロックンロールを解っている奴なんだ!
と心躍った。次に登場した双六亭もニシイケタカシのぶっきら
ぼうだがよく通るヴォーカルが胸を焦がしていく。バンド自体
も長い下積みを感じさせる強力なもので、終盤で繰り広げられ
ていった長尺ファンク曲に彼らのとんでもない実力を垣間見る
気がした。この夜最後を飾ったのはサザンライツ。自分たちが
好きになった音楽、憧れた音楽に対して彼らはどこまでも素直
にアプローチするのだが、単なるカバー・バンドには成し得な
い日本語の翻訳が愛おしい。演奏では山本シラスとタージが互
いに交換し合うギター・フレーズ、ジャスミンが繰り出してい
くシンコペイト感覚溢れるキーボードが深く心に刻まれた。こ
うした鷹揚なタイム感を携えたサザンライツ、素敵過ぎます!
写真は双六亭の尊敬するドラマー中原由貴さんと。彼女の存在
なしにぼくは『パブ・ロックのすべて』を書き上げることはな
かった。

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by obinborn | 2014-08-24 02:15 | タマコの人々 | Comments(0)  

ムーさんは最高っ!

オイラは自慢だが、フェイスブックで友だち申請をしたこ
とは実は一度もない。まあ個人のアカウントではなくグル
ープ・アカウントに設定しているせいもあるけど、仮に個
人設定にしたとしてもそれほど執着したり一喜一憂したり
はしないだろうな。だいたい世の中にはいい人もいればイ
ヤな奴もいるのが常で、実際現実の世界で多少なりとも知
っている人たちならともかく、会ったこともなければ顔も
ろくに知らない人を「友だち」とするのはちょっとおこが
ましいと思う。そして実際の友だちにしたって別に永遠の
愛を誓い合っているわけではない(笑)友だちでも恋人で
も夫婦でも時間の経過とともに互いの考え方や価値観が違
ってくるのはむしろ当たり前だと思うし、体裁だけを整え
たとしても破綻はいつか訪れるだろう。ちょっとネガティ
ブなことを書いてしまったけれど「さよならだけが人生さ」
という常套句はそこら辺を言い含めているんだな、という
ことをオイラも歳とともに噛み締めるようになったよ。そ
れでも普段から何となく「いいなあ〜」と思える人たちが
ずっと友だちであってくれれば幸せだな、と願う気持ちも
年月とともに強くなってきた。勿論「数」の問題じゃない
ですよ。そして実際にお会いしてない方のなかでも素晴し
い人はきっといるはず。

いずれにしてもフェイスブックやツィッターに関しては、
振り回されることなくうまく使いたいものだ。でもこっち
がビジネスの話をしているのに「きみはぼくにフレンズの
申請していたっけ?」と言われた時はたまげたよ。何もし
らない十代ならともかく立派な大人が平気でそう言うんだ
ぜ!その時はもう世の中オシマイだと思いますた(苦笑)

最後になってしまったが写真右に映るのはオイラが敬愛し
て止まないムーさんこと中原由貴さん。ご存知の方も多い
と思うけど、彼女は間違いなくいい人です(笑)っていう
か皆に愛されているよね。きっとムーさんのなかには何か
彼女自身まだ気が付いていないんじゃないかと思える「
徳」のようなものがあるんだろうな。オイラもせいぜい見
習いながら修行に励みます。そしていつかムーさんの音楽
に負けないくらいの文章を書けたらと思っています。

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by obinborn | 2014-07-21 16:36 | タマコの人々 | Comments(0)  

しなやかなグルーヴの波、タマコウォルズ

 イントロが始まった瞬間、胸から込み上げて
くる気持ちでちょっと涙ぐんでしまった。何故
って? そう、タマコウォルズが1年2ヶ月ぶ
りに復活したから。メンバー各自がソロ活動や
セッション・ワークもしくは双六亭などの別プ
ロジェクトに多忙なゆえ仕方ないのかな〜と思
いつつも、やはりタマコの音を全身で受け止め
たい!そんなファンで18日の下北沢440は満員
となった。

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 ファンク・ロックのイディオムを自由闊達で
剛胆なグルーヴのなかに溶け込ませる。ジャム・
バンドの如く自由にインプロヴァイズされた個
々のソロ・パートに委ねていく。リフを繰り返
すことで生まれる大波もあれば、ふと立ち現れ
るメロディが小波のようにきらめくこともある。
そんな押し引きが実力派のプレイヤーたちによ
ってずっとずっと繰り広げられていったのだか
らたまらない。お客さんたちの笑顔、笑顔、笑
顔といったら!

 鳥羽修とニシイケタカシのギターは対照的で
あり、どこまでもアグレッシヴなリード・プレ
イで攻め立てる鳥羽と、朴訥とした歌いっぷり
と同じくどこか素朴なフレーズを挟んでいくニ
シイケの”ギター対話”もたっぷり。フレットレ
ス故であろうか、まるでリック・ダンコのよう
に弾みをつけていく河野薫のベースもしっかり
と底辺を支えた。この3人の弦楽器奏者に加え
Sugarbeansのニューオーリンズ・ライクなキ
ーボード類が豊かな彩りを与え、さらにムーさ
ん(中原由貴)のパワー・ドラムスとけっちゃ
ん(高橋結子)の各種パーカッションが舞い上
がっていくのだから、やはりタマコウォルズは
何とも贅沢な6人組バンドだなと思う。

 ちょっと的確な言葉が見つけられない。今の
ぼくに言えることなどちっぽけなことでしかな
いけれど、彼らはいくつかの遊び心とともに音
が弾んでいく様を楽しんでいる。延々と続くグ
ルーヴの彼方にあるものを信じている。そして
音楽が持ち得る遥かな光景をすくっと見渡して
いる。そんな奇跡のような一夜だった。アンコ
ール最後のアウトロで感極まったのだろうか、
中原由貴がタイコを3連打した!それをぼくは
「もっと演奏を続けたい!」という彼女の気持
ちとして受け止めた。帰り道の雨でさえ微笑ん
でいるようだった。

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by obinborn | 2013-03-19 06:12 | タマコの人々 | Comments(0)  

ムーさん、大好きです!(笑)

中原由貴さんもまたぼくがリスペクトするミュージシャンの
一人。最高のグルーヴを生み出すドラマーであり、人間的に
もすごく敬愛と親しみを抱かせる人なのだ。ぼくがもっと若
く独身であったなら、間違いなく交際を申し込んで(即刻フ
ラれて)いたことでしょう(笑)。

ご存知ない方に彼女の経歴を説明しておくと、大学を卒業し
てまもなくサイクルズの一員としてキューン・ソニーと契約。
2枚の優れたアルバムを残し、惜しまれつつ解散した。その
後は一時故郷である九州に帰ることも考えたというが、仲間
たちの励ましもあって修練を重ね、現在はタマコウォルズ、
双六亭、青山陽一the BM'sのドラマー&ヴォーカリストとし
て活躍中だ。またカーネーションのファンであれば、彼らの
2011年夏のツアーにサポート・ドラマーとして帯同した彼女
の姿が焼き付いているかもしれない。

クライド・スタブルフィールドやバーナード・バーディを必死
に聞き取ったというだけに、中原さんのドラム・スタイルに
はファンク〜16ビートの力強さがいっぱい。なおかつ8ビー
トにも繊細に対応出来るという何とも歌心のあるプレイヤー
なのだ。ちなみに彼女の好きなアルバムはスライ『フレッシ
ュ』、ワンダー『キー・オブ・ライフ』、ハサウェイ『ライ
ヴ!』、ブルーズ・ブラザーズ『ファースト』などだという。

「私個人がインタビューされるなんて初めてのことですよ!」
そんな風に屈託なく微笑む中原さんは、すごく素直だ。一度
メジャー・シーンに躍り出ただけに、現場との軋轢やイヤな
思いもきっと経験しただろうに、そんなことはおくびにも出
さず、今の自分、現在の演奏に集中している。その姿がかけ
がえのないもののようにぼくには思える。

個人的なことになって申し訳ないのだが、中原さんがぼくを
誉めてくれたことがある。彼女曰く「オビさんのブログには
音楽を聞いて、オビさんがどういうことに自分が感動したの
かがきちんと書かれています」。単純なぼくはもうそれだけ
で舞い上がってしまうのだった(笑)。

サイクルズ時代の中原さんのことは、正直よく知らない。
でも、ぼくは今の中原由貴さんのほうが俄然素敵だと思う。
取材時間に遅れたわけでもないのに、西荻窪駅の改札を抜
けるとぼくの名前を呼びながら駈けてきた彼女。その姿は
ぼくに清々しい思いを届けてくれた。

 *    *    *

さてさて、そんな彼女が主宰するイベント「囲碁お見知り
おきを」が来る22日、およそ一年ぶりに開催されます。
詳しくは以下の映像をご覧下さいませ。偶然とはいえ、ぼ
くが日頃思っている二者択一や黒白を簡単に付けるような
風潮が嫌だな〜ということに関しても、ナカハラ(ムー)
さんも何気にテロップを流していて、とっても嬉しかった
です!


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by obinborn | 2012-11-07 20:27 | タマコの人々 | Comments(0)  

3月28日

ニシノユキヒサを赤坂グラフィティにて。

1曲めの出音からして気合いが入っていた。覚悟が据わっていた。音はラウドで
そしてちょっぴり大人の年輪を覗かせていた。タマコウォルズの別動隊とでもいう
べき西池崇、河野薫、中原由貴の三人に鈴木昌久が加わったニシノユキヒサは、
そんな剥き出しのロック・アンサンブルを轟かせた。

キーボードが入っていないため空間は隙間だらけなのだが、そのぶん立ち上がってくる
のは骨っぽいギター・サウンド。不器用ながら愛すべき西池崇のキャラも手伝って、
彼の塩辛いヴォーカルが音楽のど真ん中を突き、今回はフレットレスを使用していた
河野薫のベースも大胆に空間を満たしていく。そして中原由貴に関してはパワー・ド
ラムに徹するが如く、ある種の清々しさとともにバンドをぐいぐいと盛り立ててゆく。

中盤からはゲストに青山陽一が加わり、鈴木、西池とともにトリプル・ギターを存分に
聞かせ、終盤にはビル・ウィザーズの70'sニュー・ソウル古典「Lean On Me」
が飛び出す。その次のアンコールに何の脈絡もなく憂歌団の「出直しブルーズ」を持っ
てくる辺りも、このセッション・バンドの足回りの軽やかさを物語っているかのよう。

この日は対バン形式で、ニシノユキヒサより明らかに若いバンドも3つ登場したが、
彼らがこの先輩バンドを羨望しつつ、素直に耳を傾けている姿はすごぶる印象的だった。
惜しみない賞賛とわずかな嫉妬。

他ならないぼく自身、平均年齢40歳以上であろうニシノユキヒサがもっと稚拙であった
かもしれない20代や30代の頃のことを知らないのだった。だいいち自分が20代だったり、
30代だったりした頃は、果たして一体どうだっただろうか。

そのことの悔しさや切なさ、ひりひりと沸き上がってくる痛み。
それは胸にそっとしまっておきたい。


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by obinborn | 2012-03-29 02:30 | タマコの人々 | Comments(0)