カテゴリ:東京ローカル・ホンク( 66 )

 

2月25日の東京ローカル・ホンク

奇跡のような夜だった。繰り出される音と言葉のひとつひとつ
が明晰に響き、確かな輪郭を描きながら溢れ出てゆく。そんな
東京ローカル・ホンクのワンマン・ライブを25日は渋谷B.Y.G
にて。筆者のホンク追っかけ歴は今年でちょうど10年になるの
だが、彼らはその倍以上の歳月を費やしながら自らの音楽を磨
いてきた。ホンクメンの修練の日々に感服せざるを得ない。

音楽を志す過程ではいろいろな試行錯誤があったことだろう。
洋楽のコピーから始まり、”ロック的な言語”への共感と反発と
を同時に抱え込みながら、ホンクはいつしか他の誰でもない日
本語のロックを確立した。フラワー・ムーヴメントでもスウィ
ンギン・ロンドンでもウッドストック・ネーションでもない、
自分たちの普段着の姿形。その実感をグループのソングライタ
ーである木下弦二はとても大事にする。

借り物の思想や出来合いの言語はいつしか廃れていく。自分の
周りの大勢がイエス!と言った時、それに従えばどれだけ楽な
ことだろう。どれだけ疎外感に苛まれないことだろう。急かさ
れるように政治をテーマに歌えば何かの保険を得られるのだろ
うか?少なくともぼくはそうは思わない。ホンクのアカペラ・
コーラスが冴え渡る「夏みかん」を聞く時、自分がいつしか失
くしてしまった光景を想う。複数の詩人たちの連詩から生まれ
た「また会おう」に接して、人の営みの切なさを知る。太田〜
品川区の工場街をスケッチした「昼休み」で、名もない人々の
群像劇へと想いを馳せる。そんなホンクの歌世界を誇らしく思
わずにはいられない一夜だった。

〜セットリスト〜
第一部
1 インプロ〜ハイウェイソング
2 お手手繋いで
3 お馬鹿さん
4 目と手
5 鏡の中
6 遠い願い
7 拡声器
8 心の行進
9 お散歩人生
10 Dark Matter

第二部
1いつもいっしょ
2 お手紙
3 昼休み
4 夜明け前
5 夏みかん
6 質問(仮タイトルの新曲)
7社会のワレメちゃん
8 みもふたもない
9 港の見える丘(機材トラブルのため即興で)
10 また会おう

EN
1 おいでおいで

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by obinborn | 2017-02-26 00:41 | 東京ローカル・ホンク | Comments(0)  

2月23日の木下弦二

約一ヶ月ぶりに福岡から上京した木下弦二のソロ・ライブを
23日神田は小川町のショーンにて堪能した。東京ローカル・
ホンクのソングライターとして長年に亘り活動してきた人だ
が、バンド・サウンドの豊かさを極めたホンクの音楽とはま
た別の、弾き語りならではの秘めやかな響きに今夜も酔った。
一曲が終わるごとにその余韻を思わず反芻したくなる。そん
な歌い手は稀だ。

昭和歌謡の「アカシアの雨が降る時」や「上を向いて歩こう」
を取り上げる時でも、木下のオリジナルとしてお馴染みの「
ハイウェイソング」や「お手紙」を歌う時でも、彼が言葉を
慈しみ、和声を飛躍させ、さらに世の中をすくっと見渡して
いることが解る。木下が弾くアクースティック・ギターには
ジョアン・ジルベルトからカエターノ・ヴェローゾに至るブ
ラジル音楽の語彙があり、はっぴいえんどやはちみつぱいが
切り開いてきた日本語ロックの衒いの表情がある。そんな一
つ一つを改めて噛み締めてみた。

木下弦二は人一倍社会への意識が強いアーティストだ。その
ことはこれまで彼が発してきたMCや発言からも容易に見て
取れる。ただ木下の場合それらをダイレクトに歌へと反映さ
せたりはしない。彼はきっと本能として、あるいは意識しつ
つ、歌が一定の党派性を帯びてしまう危険を敏感に察してい
るのだろう。「僕は”長持ちする歌”を歌いたいんです。若い
頃はいわゆる”ロックの言語”に頼っていた時期もありました。
でも僕は歌に対してもっと篩にかける作業をしたい」と。

勇ましいメッセージ・ソングが必ずしも人々の心を溶かすと
は限らない。いや、言葉と主張が強ければ強いほど、その網
から零れ落ちてしまう感情の襞は少なくないのではないだろ
うか? 夜風が頬を撫でる。長かった冬がもうすぐ終わる。
木下弦二が育む歌の数々がそこにあればどんなに幸せなこと
だろう。

〜23日のセットリスト〜

第一部
1 生きものについて
2 アカシアの雨が降る時
3 上を向いて歩こう
4 ハイウェイソング
5 お馬鹿さん
6 冬眠
7 湯けむりの町
8 夏みかん
9 BRIGHT SIDE OF THE ROAD
10 お手紙

第二部
1 遠い願い
2 杉作より
3 トンネル
4 お猿
5 遅刻します
6 私の青空
7 港の見える丘
8 自然ソング
9 おいで、おいで
10 みもふたもない
11 ダーク・マター

〜アンコール〜
1 僕は一寸
2 THAT OLD LUCKY SUN
3 夜明け前


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by obinborn | 2017-02-24 01:14 | 東京ローカル・ホンク | Comments(0)  

そして木下弦二は今日も歌う


小尾さん、メールありがとうございます。
今日は昨日の機材の引き取りに隣街珈琲に再度お邪魔しました。
店主の平川克美が三波春夫の「チャンチキおけさ」について教えてくれました。
三波春夫はシベリア抑留経験があり、絶望した人たちに明るく歌いたい、という意図があったということだそうです。
「お客様は神さまです」は「神に向かって歌っている」と言い換えても良いのでは、とも仰言ってました。
私は誰でもがそうであるように、先行きに対する不安と明るい兆しが見えない世の中に潰されそうになる毎日ですが、
「お前は歌わせてやる、その代わりに絶望に沈む人たちを笑顔にしろ」と誰かから言われているような気がしました。
できるかわかりませんが。(笑)
もう少し頑張って見ます。

(昨年末のメール書簡より・弦二くんの原文まま)

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by obinborn | 2017-01-13 14:44 | 東京ローカル・ホンク | Comments(0)  

11月19日の東京ローカル・ホンク

19日は東京ローカル・ホンクのワンマン・ライブを高円寺の
JIROKICHIにて。7月16日に彼らを同会場で観て以来四ヶ月ぶ
りの対面となったが、弾力ある演奏と歌心に今回もたっぷり3
時間酔った。ロック・カルテットとして各自が持てる限りの力
を出しながら、木下弦二のソングライティングを膨らませてい
く。まるで一番いい時のザ・バンドを体験しているみたい。

「ロンドンがスウィングしていたと言われてもぼくには解りま
せん。キース・リチャーズがダニエルズをラッパ呑みするよう
な世界がロックだとも思わなくなりました。それよりぼくはど
うして自分が生まれ育った戸越銀座から見える景色を歌に出来
ないんだろう?そんなことでずっと悩んでいました」以前弦二
はそんなことを私に語ってくれたのだが、その答えがまさに今
現在の彼らの逞しい姿に他ならない。

地に足を着けた日本語が綺麗に響き渡る。そこには昨今のJ・P
OPのようなヴォーカル・ピッチの不自然な補正や、ただせわし
ないだけのファストなBPMなど一切ない。自分たちの町(彼ら
の場合は品川や太田区)から歌を育み、膨らみのある演奏のた
めに修練を重ねる。思えば彼らのキャリア20数年はその一点の
ために注がれてきた。何とまっすぐで困難を伴う道のりだった
ことだろう。

まだスタジオ・レコーディングされていない「身も蓋もない」
や「ダーク・マター」といったシリアスな楽曲が、息苦しい今
という時代を映し出す。その一方で初期の「お手紙」や「遠い
願い」を演目に加えることで、ホンクメンは自分たちがかつて
青年だったことを確かめてゆく。そんな現在と過去とが互いに
交差する得難いライブだった。

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by obinborn | 2016-11-20 01:06 | 東京ローカル・ホンク | Comments(0)  

7月19日の木下弦二

梅雨の終わりを告げるかのように、この日夕方の東京には豪雨
が降り注いだ。そんな悪天候の只中、道に迷っていた筆者を迎
えにわざわざ駆け足でやって来て、道案内するのが木下弦二ら
しい。東京ローカル・ホンクでのスリーデイズを無事終えた彼
は、19日神田小川町のショーンという小さなバーで弾き語りの
ソロを行った。しかも普段の木下が看板とするセミアコではな
く、プラグド・インのアクースティック・ギターを使用すると
いう、極めてレアな驚きとともに。

雨の火曜にもかかわらず会場は満員だ。きっとホンクでの彼と
はまたニュアンスが異なる弦二の姿を確かめようとした方々が
集まったのだろう。実際彼は普段のソロがそうであるように、
仲井戸麗市の「スケッチ'89.夏」をはじめ、松任谷由実の「9月
には帰らない」細野晴臣の「住所不定無職」などカバー曲を交
えながら、澄み切った歌声を響かせていった。以前からたまに
取り上げてきた「上を向いて歩こう」にしても、単に永六輔の
死去という直近の話題としてではなく、混乱した今現在の日本
の写し絵となって、こちらの五臓六腑へと確実に染み亘ってく
る。弦二が直截的なプロテストソングを歌い、この世界のあり
方に異議を申し立てることは一切ない。それでも彼の優れたオ
リジナル曲は、「身も蓋もない」であれ「いつも一緒」であれ、
何かを聞き手の心に宿していく。言葉が平易であればあるほど、
弦二がギリギリまで削ぎ落したソングライティングを心掛け、
実践していることがよく解る。

アンコールの声に応えて彼が用意したのは、スティーヴィ・ワ
ンダーのYou're the Sunshine of My Life。そう、ワンダーが73
年の3月に全米ポップ・チャートの一位へ押し上げた名曲であ
る。このハッピーソングでは、明るく無邪気な戯れが深い喪失
と隣り合わせになっている。そんな複雑で傷だらけの様相を、
木下弦二は笑顔のなかに、暖かい太陽のなかにそっと包んで
いく。

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by obinborn | 2016-07-20 02:06 | 東京ローカル・ホンク | Comments(0)  

7月16日の東京ローカル・ホンク

16日は東京ローカル・ホンクのワンマン・ライブを高円寺の
JIROKICHIにて、たっぷり3時間堪能した。先月のツアー最
終日には気の毒なほど声帯を痛めていた木下弦二だが、この
日は彼本来のイノセント・ヴォイスが復活。四人の演奏もビ
シっと引き締まり、最近では躊躇なくベストと呼べる内容に
なった。楽曲もうずまき〜ホンクの20年以上を凝縮するかの
ように、うずまき時代の「おいのりのうた」から弦二の最新
ソロ・アルバムに収録された「また会おう」までが、しっか
りと組曲のように束ねられていった。

初期の無邪気な「海辺の家の一週間」もあれば、苦みに満ち
た最新曲の「身も蓋もない」や「ダーク・マター」での哲学
的な洞察もある。そうしたソングライティングの変化や、渋
味を増したこの夜の演奏が、見事なまでに彼らの成長過程を
捉えていた。彼らの世代には珍しく、人力による生きた演奏
に持てるすべての力を注ぎ込んだ情熱がたっぷり。やや大袈
裟に言えば、かつてザ・バンドも成し得なかった領域にまで、
今現在のホンクはしっかりと足を踏み込みつつある。

自分の窓から見える光景をしっかり歌詞に書き留め、それら
を柔らかな旋律とグルーヴのある演奏で飛躍させていく。言
葉で言えば簡単かもしれないが、実はあまりに困難な課題へ
とホンクは立ち向かい修練を重ねてきた。しかも最初に楽器
を手にした時の初々しさを彼らが見失うことはない。それは
きっと、メジャーになるかインディのシーンに留まるかとい
った大雑把な二元論ではあるまい。自分たちの好きなことや
愛する光景を彼らは守る。それはすなわち、自分がどうして
も好きになれないことや、暗い情感には囚われまいとする心
映えだ。東京ローカル・ホンクは多くを語らずとも、名もな
い花に水を差すように、枯れた土地に雨を降らせるように、
長い歳月に亘って演奏してきた。その価値を思わずにはいら
れない。今頃楽器の搬出はもう終わっただろうか。夜が明け
れば彼らのバンは明日の公演地である水戸へ向かう。一期一
会に笑みを交わしながら。「ハイウェイソング」を口ずさみ
ながら。

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by obinborn | 2016-07-17 01:49 | 東京ローカル・ホンク | Comments(0)  

6月12日のカヌーとホンク

12日はパイレーツ・カヌーと東京ローカル・ホンクの2マン
・ライブを渋谷のB.Y.Gにて。いやあ〜楽しかったなあ!昨
夜のthe BM'sに続いて、自分のフェヴァリット・グループを
観れたこの喜びといったら!新作『What Do We Have To P
rove?』を携えて京都から久し振りに来てくれたカヌー。彼ら
とは以前から仲が良く、幾多の共演を積み上げてきたホンク。
アンコールでは2つのバンドが合体し、ホンクの「夏みかん」
とレディ・ガガのBorn This Wayを束ねていく。ホンクの木下
弦二が優れたマンドリン奏者や、リゾネイターの達人たちに、
「もっと!」とソロ回しを2コーラスに亘って呼び掛けてい
く場面に、彼らならではのハートウォームな連携を思った。

終演後はぼくも最近では珍しく打ち上げに参加。ビールを3
杯!ハイボールを重ねつつ、締めは赤ワインで。みんなが交
わし合う言葉たちからも、音楽そのものがしっかり聴こえて
きた。写真はぼくが心からリスペクトしている名ドラマーの
お二人と。左がホンクの田中クニオさん、右がカヌーのヨッ
シーこと吉岡さん。お二人の歌心ある抑制されたドラムスを
同じ時間に耳にした幸せ!そのことをずっと覚えておきたい。

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by obinborn | 2016-06-13 01:34 | 東京ローカル・ホンク | Comments(0)  

5月14日の東京ローカル・ホンク

14日は渋谷のB.Y.Gにて東京ローカル・ホンクのワンマン・ライブ
を。日本語の綺麗な響きを精緻なカルテット編成で実現する彼らの
世界に3時間たっぷり浸った。明晰な歌唱と弾力ある演奏との合致。
言葉にするのは簡単だが、当意即妙なバンド・サウンドにこの道20
年以上のキャリアを感じずにはいられない。本人たちは謙遜するば
かりだが、その昔はっぴいえんどやはちみつぱいが切り拓いた”日本
のロック”をホンクメンはどんどん更新しつつある。先人たちとの違
いは伝説になっているか否かだけ。それならば今という時代をしっか
り呼吸しているホンクにエールを送りたいと思うのは、けっしてぼく
だけではないだろう。

バンドのソングライターである木下弦二が生まれ育ったのは品川区
の戸越銀座だという。その町から見えるものを彼は歌にしていく。
飾られた言葉もなければ余計な修辞もないが、スケッチされた世界
のひとつひとつが聞く者の胸に染み渡り、じっくりと反芻を促す。
とくにこの日は生まれたての「dark matter」がバンド・ヴァージョ
ンで初披露されるというレアな機会になった。無邪気なままに音楽
を始めた青年たちが、いつしか社会の裂け目に出喰わす。そんな新
曲の行方を見守っていきたい。

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by obinborn | 2016-05-15 06:19 | 東京ローカル・ホンク | Comments(0)  

4月15日の木下弦二

15日は木下弦二のソロ・ライブを中央林間のパラダイス本舗
にて。同店での彼の弾き語りは2ヶ月半ぶりだったが、今回
もまたパラ舗ならではのアット・ホームな雰囲気に包まれた。
発売されたばかりの初ソロ作『natural fool』から「遅刻しま
す」や「夏みかん」、覚和歌子と歌詞を共作した「夜道」を
披露するばかりか、東京ローカル・ホンクのヴァージョンが
すっかり身体に馴染んでいる「お手紙」「昼休み」「ブラッ
ク里帰り」などをソロならではの手触りで奏でていく。ある
いは自作にこだわらず、千昌夫「星影のワルツ」を輪郭のは
っきりした発声でじわりと染み込ませるのも弦二ならでは。
そのひとつひとつに彼がこれまで辿ってきた道のりが反映さ
れ、聞き手たちへと共有されていった。

驚かされたのは新曲「dark matter」のこと。弦二は生まれた
ばかりのこの歌を聴衆の前で試してみたかったのだろう。何
と彼は計3回「dark matter」を取り上げ、解らないことに向
き合っていこうとするメッセージを託していった。熱心なホ
ンク・ファンならご存知のように、あの名曲「みもふたもな
い」にも通じる問いかけや煩悶がそこにはあり、初めて聞い
たにもかかわらず筆者の心を満たした。またこの夜は中盤か
らパラ舗のマスターである藤田洋介をギターに迎え、「ザッ
ト・ラッキー・オールド・サン」や「国境の南」など夕焼け
楽団の曲を計4つとサーヴィスもたっぷり。とくに「国境の
南」でのメキシコ情緒、洋介のランドマークとなる名曲「星
くず」での甘美なフレージングとソロはまさに鳥肌モノだっ
た!

木下弦二の歌、あるいはホンクの含蓄ある演奏を聞き始めて
からもうすぐ10年近くになる。彼らはこれからもけっしてそ
の歩みを止めることはないだろう。雲がどんどん流れてく。
影がだんだん長くなる。

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by obinborn | 2016-04-16 02:00 | 東京ローカル・ホンク | Comments(2)  

3月3日の東京ローカル・ホンク

バンド・サウンドの贅を尽くしたような東京ローカル・ホン
クのライブを3日は高円寺のJIROKICHIにて。木下弦二のソ
ロ弾き語りによる「生きものについて」からまずは始まり、
2曲めの「引っ越し娘」でバンドが合流。さらに「お手手つ
ないで」「虫電車」「お手紙」へと連ねる序盤から、早くも
全開となったホンク・ワールドに酔った。弦二が今月初めて
のソロ・アルバム『natural fool』をリリースするとはいえ、
やはりみんながホンクの四人を待ち焦がれていたのだろう。
平日にもかかわらず満員となった会場の熱気がそれを雄弁に
物語っていた。肩肘張らない歌と演奏。ただそれだけの営為
が音楽としての豊かさをもたらし、歌われる言葉を彩りある
”生きもの”へとトランスフォームしていく。そんなエレメン
トの数々に満たされていた。弦二のソロに収録された「夏み
かん」「夜明けまえ」「遅刻します」といった楽曲も、カル
テット編成で再解釈すればこうなるよ、という驚きがあった。
とくにカットアップの手法で様々な俳句を無造作に並べてい
く「またあおう」が、ホンクならではの柔らかいサウンドス
ケープで描かれていったことに筆者は感じ入った。この曲に
入る時のMCで弦二が「意味が解らない歌詞っていいもので
す」といった旨を語っていたことも腑に落ちた。友部正人の
「解らない言葉で歌ってください」ではないけれども、そこ
からは安っぽい主張や直截的な政治性の数々から迂回してい
く彼らの心映えがはっきり伝わってくる。前身となる”うず
まき”時代を含めれば優に20年を超えるキャリアを誇るホンク。
遥か昔のある日、偶然にも四人の青年が集まり、それぞれの
楽器を奏でていった。いわばゼロの地点からのスタートだ。
その日から辛抱強く丁寧に積み上げられていった言葉と音。
それらの価値を思わずにはいられない。

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by obinborn | 2016-03-04 01:34 | 東京ローカル・ホンク | Comments(0)