カテゴリ:rock'n roll( 364 )

 

ローリング・ストーンズ〜先鋭と大衆性

最初のGOT LIVE IF YOU WANT ITが人気にあやかった疑似ライ
ブだとしたら、グリン・ジョンズをプロデューサーに据えた『
GET YA YA YAS OUT』はもっと自覚的なライブ・アルバムだと
言えるだろう。新加入したばかりのミック・テイラーの凄さを
見せつけ、時代考証としてはオルタモントの悲劇を想起させる。
そんな意味でもこのアルバムに特別な感情を抱くファンは少な
くないのでは?

本作は1969年の11月27日と28日に行われたN.Y公演の2日間
(昼夜計4回のステージ)から抜粋された作品であり、今であれ
ばB.B.キングとアイク&ティナ・ターナーがオープニング・アク
トを飾った完全版がリリースされている。黒人音楽と共振したス
トーンズという意味でも聞いておきたい。そしてチャック・ベリ
ーの「CAROL」と「LITTLE QUEENE」が原曲より遥かにスロー
ダウンされ、粘っこいビートとともに新解釈されている点に、当
時トレンドになりつつあったスワンプ・ロックの萌芽を感じる。
実際この69年に彼らはアラバマ州マスル・ショールズを訪れ、
「BROWN SUGAR」「WILD HORSES」フレッド・マクドゥエ
ルの「YOU GOTTA MOVE」の3曲をレコーディングしている。

米公民権運動の盛り上がりとパリ革命の時代を横目で睨みつつ、
「俺ら貧しいロンドンっ子は、ロックンロール・バンドで歌う
だけなのさ」と「STREET FIGHTING MAN」で俯瞰したミック
・ジャガーに驚愕する。その一方には酒場に集まる人々の心情
に寄り添った「HONKY TONK WOMEN」がある。いわば新進
の気勢と大衆的な娯楽との止揚(アウフヘーベン)をストーン
ズはまさに実践したのだった。

英作家ニック・ホーンズビーの自伝的な小説『ハイ・フィデリテ            ィ』には、こんな一節がある「ねえ、あなたが付き合ってい
るのは、BROWN SUGARに合わせて”フ~フ~!”なんて拳を
振り上げ騒いでいる愚かな人たちなのよ」そんなガール・フレ
ンドを、主人公はこう宥める「いいかいダーリン、ぼくはもう
そんな時期をとっくにやり過ごしたんだよ。ぼくはストーンズ
が愛おしい。最新のダンスには付いていけないけど、マーヴィ
ン・ゲイのWHAT'S GOING ONを聞いて今も感動する。もっと
素直にならないかい?」

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by obinborn | 2017-01-06 17:37 | rock'n roll | Comments(0)  

NRBQ『GOD BLESS US ALL』

NRBQ史上最強のメンバーによる87年4月のライブ盤が
『GOD BLESS US ALL』だ。今ではテリー・アダムズ
&Qといったニュアンスで活動しているが、この頃はテ
リー(kbd)ジョーイ(b) アル(g)トム(ds)と強者揃い
で、各自の個性が際立ちつつ全員がバンドに貢献すると
いう得難い時期だった。そしてホール・ホウィート・ホ
ーンズが帯同していた。

やはりアル・アンダーソンのキレキレ・ギターが凄い!
そこにピアノとクラヴィネットを両刀使いするテリーが
タメを張り、リズム隊がしなやかなビートで合流すると
いう贅沢さだ。録音された会場はハートブレイク・ホテ
ルといういかにもな名前のラウンジで、全米のロード・
ハウスを回ってきたQに相応しいものとなっている。ク
ラブ・バンドらしく親しげに語りかけてくるロックンロ
ールがどこまでも愛しい。まさに最高のバー・バンドだ!

カバーではビリー・スチュワートの名バラードSITTIN' IN
THE PARKとジョー・タナーのSHAKE, RATTLE &ROLLを
演奏している。なお同時期のQのライブ盤に『DIGGIN'U
NCLE Q』があるので、そちらも姉妹編として併せて聞い
ておきたい。そっちでは何とカラオケでビリー・ジョエル
の「素顔のままで」まで歌っている(笑)

私がNRBQを観たのはこの時から10年以上も経ってからの
ことで、既にアルは脱退していたが、それでも99年と2000
年に行われた吉祥寺のスターパインズ・カフェ公演は今も
心に残る最高のステージとなった。一時期あまりに情熱を
注いだバンドだけに、それからはどうしても後日談的にな
ってしまうことを許して頂ければと思う。なお最後にQサ
ウンドの秘密を解くようなテリーの発言を引用しておこう。

「かつてのセロニアス・モンクはどんなロック・バンドよ
りもスウィングしていたよ!」

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by obinborn | 2017-01-06 00:13 | rock'n roll | Comments(0)  

追悼:石坂敬一氏

大晦日に亡くなった石坂敬一さん。ぼくには東芝音楽工業の
洋楽ディレクターとしてのお姿が馴染み深い。氏が頻繁にラ
ジオにも出演されていた70年代。それはまさにニューロック
の黎明期であり、その鼓動を何とか日本に伝えたいと尽力さ
れていた。ビートルズの『赤盤・青盤』に詳細な年表を付け
るよう進言されたのも石坂氏に他ならなかった。そのお陰で
ぼくのような洋楽少年少女が日本全国に芽生え育っていった。

RCサクセションの問題作『COVERS』の発売を巡って忌野
清志郎さんと意見が対立し「東芝からは出せない」という立
場に立たされた。それは無邪気な音楽青年がやがて大人にな
り、企業側の論理に従わざるを得ないという意味で、とても
他人事と思えない苦々しい教訓を残した。実際どんな”ロッ
ク”と言えども、流通の段階で様々なビジネスの現実に直面
することを思い知らされた事件だった。

「歳を喰ってもオレの好みは変わらないよ」とヤードバーズ
に溯るジェフ・ベックへの愛情を吐露された石坂さんのお話
が耳に焼き付いている。アーティストへの想いが日本盤を発
売することにしっかり結び付いていた佳き時代の音楽ディレ
クター。音楽を取り巻く環境が激変した今の時代にあって、
ぼくが思うのはそんなことだったりする。日本というアジア
の土地にロックという夢を与えてくれた石坂さん。今まで本
当にありがとうございました。心からご冥福をお祈りします。

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by obinborn | 2017-01-03 02:38 | rock'n roll | Comments(0)  

もはや都市伝説となった出禁女にご用心!

今日は性悪女の話をしましょう。むろん実話です。音楽バー
ともなれば、知らない相手でも共通の話題があり近くに座っ
ていれば二言三言会話するのがまあ礼儀ですよね。まして店
主に紹介されたような場合は彼の顔も立てなきゃいけません。
ここら辺をめんどうだと感じる方は一人家で音楽聞いていれ
ばいいんだし。

相手は妙齢のOLさんでした。仮にMさんとしておきましょう
か。ある日のことMさんが「マッド・エイカーズのレコード
が見つからない」と嘆いていました。オレは頻繁にレコ屋さ
んに行くタイプであり、その盤を以前から割と見かけてきた
ので「今度見たら買っておきますよ」と親切心にも声を掛け、
また後日実際に見つけたので、レコをお店に預けておきまし
た。自分が持っていないアルバムならともかく、学生時代か
ら愛聴してきた作品なので、それを探している同好の士とし
てMさんの「欲しい!」という申し出を快く受け止めたので
した。オレもそろそろ後進に伝える役柄かなと思い始めた頃
やったしな。

その後しばらく彼女の姿を見ないなあ〜なんて思っていたら、
Mさんがとんでもない大言壮語を撒き散らしていたので驚愕
しました。曰く「オビさんはレコードを肴に私を口説こうと
している!」といった被害妄想話でした。それを聞いた時、
咄嗟に思ったのは「あのな、オレだって選ぶ権利があるで…
この◯スが!」幾つかのお世辞は言ったかもしれませんが、
人の好意を仇にして返すようなMさんに怒りと失望を感じず
にはいられませんでした。

よくテレビで痴漢と間違われ冤罪になってしまった男性のニュ
ースが報道されたりしますね。被害者の気持がこの時やっと
判ったような気がします。しかもオレの場合は親切心でレコ
を探してあげただけなのに...。こういう誇大妄想のクソ女は
きっと他のバーでも同じようなことを繰り返しているに違い
ありません。

幸いにもバーのマスターが冷静に物事を把握出来る人なので、
オレに同情してくださり、Mさんはしばらくして出禁になった
そうです。まあ自業自得だわな。しゃあしゃあと「お礼にビ
ールでも」なんて言いながら、レコ探しに対する感謝の一言
も労いの一杯もついぞなかったよ!

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by obinborn | 2017-01-02 11:44 | rock'n roll | Comments(0)  

俺は「いいね!」などしない

先日ある音楽家に「オビさんはとくに”いいね!”しなくとも
いつもライブに来てくれるから大変嬉しいです」と言われた。
そう、皆さんもご存知の通り、俺は自分が間違いなく行く(
と決まってる)イベントにしか”いいね!”を押さないポリシー
を貫き、たとえ行く時もいいね!などめんどうなのでしない
ことが多い。あるバンドのライブ告知に60人のいいね!があっ
たとしよう。その60人全員が来てくれたらパフォーマーもお
店もお客さんもハッピーになる。そういう想像をもっとしてみ
ようよ。こんなこと言ってる俺自身、過去行かないライブにつ
いいいね!して激しく後悔したことがあるのだが、それ以来FB
の安易な装置は人間関係の誤解のもとになると感じた。

ところが俺とは逆に何でも節操なくいいね!しまくる割に一度
も会場で見たことがない人がいる。価値観の違いと言ってしま
えばそれまでだが、人として安っぽく見られてしまうのは致し
方ないだろう。狼が来るよの”狼少年”ならぬ”狼ジジイ”であり、
この◎氏はとにかく嫌われている。何が「応援の気持です」だ
よ。応援や心配や近況報告だったら直接メールやラインするの
が一番いいじゃんか。要は自己アピールや顕示欲でしょ?こん
なジジイと一緒に酒など飲みたくはないわな(苦笑)
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by obinborn | 2016-12-22 07:11 | rock'n roll | Comments(0)  

12月20日の佐野元春&コヨーテ・バンド

20日は佐野元春&コヨーテ・バンドを恵比寿ガーデンにて。
恒例のクリスマス・ライブながら、近年の曲を固め打ちする
展開が清々しい。剥き出しのギター・ロックそして情熱。

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by obinborn | 2016-12-21 00:22 | rock'n roll | Comments(0)  

エルトン・ジョン『17-11-70』再訪

エルトン・ジョンの最初のライブ盤『17-11-70』、すごく
いいですね!トーピン=ジョンのソングライター・コンビ
によるリリカルな印象を打ち出した初期の3枚と、映画『
フレンズ』の音楽担当を経てリリースされた本作は、本国
イギリスばかりでなく、アメリカに於いてもいよいよ人気
歌手として認められてきたエルトンの姿を見事に捉えてい
ます。

アルバム・タイトルにあるように70年の11月17日、ニュー
ヨークのA&Rスタジオに観客を集め、スタジオ・ライブ形
式でレコーディングされた本作は、詩情溢れるSSWという
よりは、ライブ・パフォーマーとしての実力を浮き彫りに
しています。一曲めが「パイロットに連れてって」二曲め
がストーンズが前年にヒットさせたばかりの「ホンキー・
トンク・ウィメン」であることも、エルトンのロックンロ
ーラーぶりを強調する結果になりました。

何よりピアノ・トリオという編成がいい。ディー・マレイ
のbとナイジェル・オルソン(のちにソロ歌手として成功)
のdsを伴っただけのシンプルなサウンドゆえに、かえって
ピアノ・ロッカー、エルトンの確かな実力が伝わってくる
のです。何でもジェリー・リー・ルイスの「火の玉ロック」
を聞いて彼はロック音楽に目覚めたとか。ギターレスのバ
ンドをどう感じるかは人によって意見が違うでしょうが、
隙間のある音群が新鮮です。90年代に台頭したベン・フォ
ールズ・ファイヴの雛形と指摘するのも可能でしょう。

Bサイド最後の「教会を焼きつくせ」はライブ・パフォー
マー、エルトンの真骨頂でしょう。途中にエルヴィス・プ
レスリーの「ザッツ・オールライト・ママ」クリーデンス
の「プラウド・メアリー」ビートルズの「ゲット・バック」
を即興で挟みながらの展開が最高にスリリング!ジャケット
には立ってピアノを弾くエルトンが映し出されていますが、
そんな勇姿を思い浮かべながら聞きたいです。

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by obinborn | 2016-12-19 02:37 | rock'n roll | Comments(0)  

北山昌樹『ヴァン・コートランド/手紙(仮)』に寄せて

北山昌樹さんが初めてのシングル・レコードを送ってくださ
った。『ヴァン・コートランド/手紙(仮)』がそれだ。ぼく
は北山さんのことをroppenのドラマーや喫茶スマイルの店主
として知り、幾つかのとりとめない会話を交わした間柄に過
ぎないけれども、そんな彼がぼくのことを覚えていてくれた
ことがまず嬉しかった(こんなちっぽけなぼくなのに)

思った以上に力感のある北山さんのヴォーカルに驚いた。2
曲とも彼と交流が深い江村健さん(江村健バンド)と西池タ
カシさん(タマコウォルズ~双六亭)が書かれた曲であるこ
とからも、北山さんが尊敬するお二人にリスペクトを込めな
がら、歌ったことがしっかりと伝わってくる。

やや余談になるけれども、「手紙(仮)」の作者である西池
さんとぼくは政治的見解のことで数年前に大喧嘩をした。そ
れは「ちゃんと話し合おうぜ!」という彼の提案や、その後
ぼくのほうが双六亭のライブに出向くことで次第に解消され
ていったと思っているけれど、肝心のニシイケタカシは今、
ぼくのことをどう思っているのだろう? ぼくはニシイケの
ぶっきらぼうな歌とロックなギターがどうしようもなく好き
だったけれど。

友人たちの音楽は嬉しさとともに、そんな古傷を否応なく運
び込んでくる。

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by obinborn | 2016-12-11 16:28 | rock'n roll | Comments(0)  

マギーの農場で働くのはもう嫌だ

ディランのノーベル・アワード。少なくともぼく個人にとって
はど〜でもいいお話しです(笑)賞を取ったからともて囃すメ
ディアはどうかしているし、第一ディラン自身そういう権威付
けをきっと嫌っていると思います。受賞後の煮え切らない、も
やもやとした彼の態度からもそれは十分感じ取れるのではない
でしょうか。っていうかぼくのディラン像は賞を取ろうが取る
まいが、以前と少しも変わらないわけでして。

彼の魅力をあえて箇条書きにしてみましょう。

1 書かれた歌詞ではなく、ビートに乗った”動く言葉たち”
2 幾多のペルソナを生かした歌の物語性・イメージの飛躍
3 広範なアメリカ音楽への理解と実践

以上です。それらの評価をノーベル受賞後に”上塗り”してもま
ったく意味はありません。特番を観たいとも思わないです。こ
の機会に仕事が回ってきた音楽評論家たちには「あ〜、良かっ
たですねえ」という程度の感想しか持ちえません。「今頃にな
ってから俺を評価しやがって」そんなボブ・ディランの呟きが
今にも聴こえてきそうです。「ちぇ、くだらん。チャーリー、
アンプをフルテンにしてくれ。さあ『マギーの農場』でも演奏
しようぜ!」という声が聴こえてくるようです。

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by obinborn | 2016-12-11 12:32 | rock'n roll | Comments(0)  

12月8日、今宵ジョンとともに

今夜は初心に戻ってビートルズをファーストからアルバムの
シークエンス順に『リヴォルヴァー』までの計7枚を聞いて
いきます!一応ここまではU.K.パーロフォンのオリジナル・
モノ盤で持っているんです。まあ、そんなコレクター話はと
もかく、もしもビートルズに出会っていなければ、ぼくは音
楽評論の仕事をしたり、何冊かの著作を出すこともなかった
でしょう。そういう意味では彼らこそが自分の出発点でした。
その後ビートルズの背景にはどんなR&Bやポップスがあった
んだろう?同時代には一体どういうムーヴメントがあったん
だろう?と、ぼくは好奇心をどんどん広げていきました。

ジョン・レノンに関してはあまりに多くが語られ過ぎてきた
と思っています。だからぼくはいたずらに彼を英雄視するよ
うなストーリーよりは、奥田英朗さんの『ウランバーナの森』
や、みうらじゅんさんの『セックス、ドリンク、ロックンロ
ール!』といった小説のように、彼らの個人史に投影された
ビートルズ像のほうにずっと惹かれます。奇しくもこのお二
人とはほぼ同学年であり、時代的な空気からして彼らの小説
には前述作に限らず、共感出来る部分が少なくないのです。

「ジョン、ロックという言葉をおまじないのように唱えてい
ればぼくはきみのようになれるのかな」とみうらさんは自伝
的な作品『セックス〜』で自問します。それは同時にぼく個
人にも放たれた言葉であり、そこにはジョン・レノンを偶像
化するのではなく、自分自身の(情けない、どうしようもな
い)生活のなかで見つめようという優しい眼差しが溢れてい
ます。

精緻なデータだけでは補えない何かがあります。それはまさ
に「きみはどう感じたんだい?」という一点に集約出来ると
今でも思っています。ジョン、きみが殺された12月の寒い日
のことを今もぼくは思い出すよ。あの長い一日が古い映写機
に映し出された8ミリ・フィルムのように甦ってくるよ。

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by obinborn | 2016-12-08 18:05 | rock'n roll | Comments(0)