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One Day I Walk

皆様、今年もお世話になりました。
佳き年をお迎えください。


        2012年の冬に。
           小尾 隆


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by obinborn | 2012-12-30 15:42 | one day i walk | Comments(0)  

Ghost Town Dance

ーーその「Ghost Town Dance」についてお伺いします。中村さんは新世界
でのお披露目ライヴの際、『廃墟の街の歌です』と紹介されていましたが、
それを聞いて3月に起きた震災のその後の世界を何となく想像したお客さん
がいらっしゃったかもしれません。自分の書いた歌が好むと好まざると作者
の意図を離れて聞き手それぞれのものになっていくのは往々にしてあること
ですが、ソングライターとして歌の持つそうした側面をどう考えていらっし
ゃいますか。


「お恥ずかしいことに、小尾さんがおっしゃられたような解釈があることを、
私は今初めて気が付かされました。もしも私の「Ghost Town Dance」を聞
いてマイナスのイメージを抱いてしまう方がいらっしゃるのであれば、申し訳ないと思います。それでもこうやって真剣に私の歌を聞いてくださる方々がいらっしゃるのですから、曲の解釈とはまさに聞き手の自由なのだと私も
思います。私のほうからも自分の曲をこういう解釈で聞いて欲しいという言う気持ちはありません。ただ今回この曲の作詞を担当した立場であえて言わせて頂けるのであれば、あの曲では天災で故郷を追われた人々についての歌ではなく、時代が変わりかつて繁栄した街を自ら離れていった人たちをモチーフにロマンチックな気分も含めて描いています。もう少しはっきり言うと、この歌はロンサム・ストリングスと私のちょっとした物語になっています。桜井さんから曲のデモ音源が送られてきたときに感じた、フィドル・チューンのような侘しさと楽しさが混ざり合ったようなメロディの印象をゴースト・タウンという比喩的なイメージで、そのまま歌詞にしてみたつもりです。考えてみればすごく大きな時間の流れのなかで偶然にも私たちは出会い、今こうして一緒に楽器を奏でている。そしてそれは音楽的な歴史の歩みの中ではちっぽけな出来事かもしれないけれど、いつか長い歳月が経ってから誰かが気が付いてくれたらいいな、という淡い期待もあります。恐らくこのような”Folklore Session”は過去にも他の場所にもたくさんあり、これからも星の数ほど行われていくのだと思いますが、その中で自分たちがトラディショナル・ナンバーを演奏して過去から受け取るだけではなく、先人たちと同じように何かを未来に投じたいという想いなのでしょう。この「Ghost Town Dance」を他の古いトラディショナルカヴァー曲と同軸でアルバムに収録することを考えたときに、私たちもまた伝承し、生み出し、残していくという役割を果たしていることを思い出し、この曲を、過去と現代を直接的に結びつけるような、意義深い特別なものにしたいと思って歌詞を書きました」

(2011年8月:筆者による中村まりへのインタヴュー取材より)

*なお取材記事全文も当blogに収録されています。カテゴリ欄の
「インタヴュー取材」から探すことが出来ます。

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by obinborn | 2012-12-30 07:33 | 中村まり | Comments(0)  

UK BLAK

勤め人をしていた頃は年末年始の休暇を
利用して、よくロンドンへ遊びに行った
ものだった。最初に訪れたのは確か90年
頃のこと。昼は中古レコード漁り、夜は
パブ・ミュージックという塩梅にすっか
り居心地良くなってしまい、以降計10回
ほど彼の地に舞い降りることとなった。

最初のうちはいわゆる観光地名所も観て
回ったのだが、それでは飽き足らずにや
がてジャマイカ人のコミュニティがある
南ロンドンのブリクストン地区に通うよ
うになった。ストリートの端々から流れ
てくる幾多のレゲエ音楽を肌で感じるい
い機会でもあった。そこにユナイテッド
・キングダムの血塗られた歴史を感じ、
また音楽というカルチャーの生命力を目
の当たりにしたのは、ことさら大きな体
験となった。ぼくはと言えばブラウン・
シュガー~ソウル2ソウル出身のキャロ
ン・ウィラーが、果たして一体どういう
歴史を背負ってきたのか、そういったこ
とにやっと思い至ったくらいだ。これば
っかりは家でレコードを聞いているだけ
ではけっして得られない体験だった。

ブラウン・シュガー時代に「私の彼氏は
ドレッドヘアなの」と無邪気なラヴァー
ズ・ロックに乗せていた少女が、やがて
ソロ・アーティストとして独立し、「私
はイギリス育ちのブラック・ピープルな
の」と歌う。その逞しさにキャロンの個
人史が、彼女を翻弄したであろう歴史が
鮮やかに凝縮されている。

冬になるとレゲエ・ミュージックを思い
起こすのは、凍えたブリクストンの町を
思い起こすからだ。ジャマイカという故
郷から遥か離れた人々の息遣いが伝わる
からだ。そして音楽というカルチャーが
けっして純粋培養的なものではなく、人
種の交差点や相互影響から生まれてくる
ものだと、他ならぬぼく自身が信じてい
るからだ。

今夜のブリンクストンもまた凍て付いて
いるのだろうか。

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by obinborn | 2012-12-28 18:59 | one day i walk | Comments(0)  

クニオちゃんがやって来た

今日(27日)は東京ローカル・ホンクの
凄腕ドラマー、田中クニオ氏と東長崎の
Creole Coffee Standでしばし歓談を。

先日の素晴らしかったホンクのワンマン・
ライヴのエピソードから、音楽や政治の
話までを、夕暮れの一時に語り合った。

別にこの日約束していたわけじゃなく、
いきなり「オビさん? あの〜ぼくホン
クのクニオです!」なんて電話を掛けて
くる辺りも素敵です。おい、俺だってい
ろいろ用事があるんだから前日に電話く
らいしろよ(爆〜笑)。

それはともかく、歌伴で最高にいい味を
出す愛すべきドラマーです! たぶん今
の日本で一番気持ちいい8打ちを出来る
のがクニオちゃんじゃないかな。

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by obinborn | 2012-12-27 19:18 | 東京ローカル・ホンク | Comments(0)  

フリー・フォームの奔流

轟音の即興演奏がまさに圧巻だった。パワー・
トリオと言うべき「ブギ奉行」を26日、渋谷
のBAR ISSHEEにて体験した。

ブギ奉行という名前はまあハル宮沢特有の騙し
絵のようなものであり、こちらとて形式的なブ
ギ・ロックなど鼻から予想していなかったが、
案の定、幾多のフリー・インプロヴィゼーショ
ンが嵐のように押し寄せる充実の2時間だった。

ベースレスでギター2本が左右を固め、ドラム
が中央に鎮座するその演奏は、音の大きさとい
い、決めごとのない長尺プレイといい自由奔放
なもの。しかしながらよく聞き込んでいけば、
ドラマーがあえて冒険をするのでなくステディ
なビートを供給し続けることで、ギターの二人
が自由に動き回るという青写真はあったと思う。

そのギター2本にしてもソロ・フレーズに特化
するのではなく、互いに異なるリフを中心に、
適時に折り重ねていくというもので、神経質な
アンダーグラウンド・ロックとはまた少し違う
逞しさを感じさせた。全編歌なしのインプロだ
ったが、もし曲目があるとしたら、「ブギ奉行
パート1」及び「パート2」になるのだろう。

ほとんど唯一の決めごと(というかエンディン
グの際の合図)といえば、ブルーズ・マナーの
リックだけであり、他はソロ回しにおけるアイ
・コンタクトがあるくらい。何でもハル宮沢は
熱演のあまりギター・アンプのヒューズを飛ば
してしまうほどだったが、かつてのニューヨー
クのロフト・ジャズではきっとこんな光景が毎
晩のように繰り広げられていたんだろうな。

ブギ奉行のステージはこれで2度目とのこと。
それも今回が最後らしい。そんな一期一会的な
ニュアンスも含めて、どれだけハル宮沢という
男が自由な風に吹かれているかが、錆び付いた
ようなロック(もどき)に別れを告げているか
が、少なくともぼくには大いなる共感とともに
理解出来るのだった。

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by obinborn | 2012-12-27 00:20 | rock'n roll | Comments(0)  

2012年のベスト

今年を振り返る季節になりました。CDやレコード
を聞く以上に好きな音楽家たちのライヴに通った
ことは近年と同じなのですが、気に入った新作及
び旧作〜発掘音源を挙げてみますね。一部に数年
前にリリースされたものを含みますが、ご容赦く
ださい。

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(新作部門)

John Hiatt/Mistic Pinball
Ry Cooder/Election Special
Bonnie Raitt/Slipstream
Van Morrison/Born To Sing :No Plan B
Tedeshi Trucks Band/Live
Neil Young With Crazy Horse/Psychedellic Pill
Bob Dylan/Tempest
Los Lobos/Kiko Live
Dr.John/Locked Down
ロンサム・ストリングス&中村まり/Afterthoughts
グランドファーザーズ


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(旧作&発掘音源部門)

Spencer Wiggins/Feed The Flame
Dan Penn/Fame Recordings
George Jackson/Let The Best Man Win
Darrell Banks/Is Here!
Doug Sahm/Live In Stockholm
Bobby Charles/Better Days~Rare Trucks
The Allman Brothers Band/A&R Recordings
Taj Mahall/The Hidden Treasures
Dr.Feelgood/All Through The City (4CD Box)
Johnny Allan/Louisiana Man

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(個人的収穫)

Velvet Crush/Teenage Symphonies To God
Jose Felisiano/Hi Hell Sneakers (7's)
The Rascals/A Ray Of Hope(7's)

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(好きになった小説)

堀江敏幸/めぐらし屋
カズオ・イシグロ/私を離さないで
赤坂真理/東京プリズン
朝吹真理子/流跡
角田光代/紙月
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by obinborn | 2012-12-25 21:30 | one day i walk | Comments(2)  

ブギ奉行

ハル宮沢のまえで「音楽ジャンル」などはまるで
意味を為さない。ダモ鈴木とのフリー・インプロ
ヴィゼーションの嵐から、市井の人々に寄り添う
カントリー・ミュージックまで、そこに流れてい
るのは、いつもその時その時の衝動を一番大事に
しようとするハル宮沢の心持ち、ただそれだけで
ある。

彼のそんな振り幅はぼくにニール・ヤングのこと
を思い起こさせる。ヤングにしたってアコーステ
ィックの温もりから怒濤のエレクトリック・ノイ
ズまで、まるで天気のようにその様相は変わるの
だ。太陽が降り注ぐ日もあれば、終わらないよう
な雨が降り続ける夜もある。だいいち、感情の起
伏が感じられない音楽なんて、ぼくに言わせれば
博物館に飾られた古典芸能でしかない。

パンク・ロックの洗礼を受けて「歩くまえに走り
始めてしまった」幾多の若者の一人が若き日のハ
ルさんである。そんな彼の足取りはパラ・フレー
ズから渋さ知らズまで多彩なものだ。現在ではと
てもイカしたカントリー・ロック・バンド、コス
モポリタン・カウボーイズでの活動をメインにし
ているが、カウボーイズにしてもその音楽は形式
よりも確かな息遣いやある種の奔放さが優先され
ている。

そんな彼の別プロジェクトの一環としての最新形
が、トリオ編成の「ブギ奉行」だ。お前一体何考
えてんだ!(笑)と思わずツッコミを入れたくな
る気持ちもあるが、むしろいつも自由な風に吹か
れているハル宮沢の肖像がくっきりと浮かび上が
ってくる。

というわけで彼の新生トリオ「ブギ奉行」のラ
イヴは12月26日(水)20時より、渋谷のBAR
ISSHEEにて。料金はドリンク代&投げ銭で。こ
こはひとつ現場を目撃してみようじゃないか!

(注:写真は「ブギ奉行」のメンバーではあり
ません)

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by obinborn | 2012-12-25 10:31 | rock'n roll | Comments(0)  

12月24日

愛する人たちに、メリークリスマス。
隣にいる人に、メリークリスマス。
ぼくを覚えている人たちに、クリスマス。
ぼくを好きな人たちに、メリークリスマス。

嫌いな人たちに、メリークリスマス。
ぼくが憎んでいる人に、メリークリスマス。
ぼくを忘れてしまった人たちに、クリスマス。
ぼくを嫌っている人たちに、メリークリスマス。

帰る家がある人たちに、メリークリスマス。
帰る家を失くした人たちに、メリークリスマス。
昨日帰れた家に今日帰れない人に、クリスマス。
家でパンをこさえる人たちに、メリークリスマス。

為政者たちに、メリークリスマス。
暗闇を操る人たちに、メリークリスマス。
搾取している人たちに、クリスマス。
奪われ続けている人たちに、メリークリスマス。

ぼくを偽善者という人に、メリークリスマス。
ぼくを闇に引きずり込む人に、メリークリスマス。
ぼくに朝を与えてくれた人に、クリスマス。
ぼくに光の束を差し出した人に、メリークリスマス。

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by obinborn | 2012-12-24 21:06 | one day i walk | Comments(0)  

12月23日

今年も青山陽一the BM'sのライヴを5回ほど観た
けれど、間違いなく今日の演奏がトップだった。
そんなことを思わずにいられない熱演が23日の吉
祥寺のマンダラ2をどこまでも満たしていった。

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(上記のお写真は青山さんのオフィシャル・ブログから転載させて頂きま
した。時計回りで青山、中原、伊藤、千ヶ崎、田村)

とにかく千ヶ崎学と中原由貴のリズム・セクショ
ンが半端なく強力であり、伊藤隆博の色彩感があ
るキーボードも相俟って、青山陽一の歌世界を骨
っぽく支える。そのタフな演奏に応えるように、
青山は愛用のテレキャスターに代えてこの夜は何
と最初から最後までレスポール2種で通した。ギ
ターの構造がまるで異なるとはいえ、彼ならでは
の光沢のある、淀みなく畳み掛けるそのフレーズ
ひとつひとつが、青山が作る浮遊感のあるメロデ
ィや抽象詞と折り重なっていく様に息を呑まずに
はいられない。

加えてこの日は元the BM'sの田村玄一(ロンサム
・ストリングス、リトル・テンポ、キリンジなど)
がゲストとして久し振りにバンドに合流し、ペダ
ル・スティールやギターを弾いたのだから、古く
からのthe BM'sファンには感慨もあっただろう。
実際の選曲にしても「リヴァイヴァル」や「ボザ
ンナ・ブギ」あるいは「電波組曲」や「ブライト
・ライト、バグ・シティ」など、古い曲の数々を
昨年の新作『Blues For Tomato』からの曲群と
鮮やかに並べてみせた。

圧巻だったのはかつての「難破船のセイラー」か
ら新しい「炎とは何のことか」へと繋げた終盤。
青山の歌詞それ自体が語られる機会はあまりない
のだが、「炎〜」での”家に帰れない”というフレ
ーズが暗喩となっていく様は、内気だった青年の
今現在の姿を指し示しているかのよう。青山とい
うと未だ「ひねくれポップ」とか「スティーリー
・ダン症候群」だとか表面的に捉えている人もい
るのかもしれない。だが彼の本当の肖像はどこま
でもしなやかで逞しいロックだ。そんなことに思
いを馳せざるを得ないような素晴らしい夜だった。

なお以下の写真は、筆者が敬愛して止まないドラ
マー&ヴォーカリスト、中原”moo"由貴と終演後
に。ファットバックを伴ったダイナミクスから、
歌心が零れるフィル・インまで、ぼくは果たして
どれだけ彼女という存在に励まされてきたことだ
ろう。

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by obinborn | 2012-12-24 01:07 | 青山陽一theBM's | Comments(0)  

12月22日

22日は久し振りにレッドウッド・ブラザーズ・
バンドを池袋のフリー・フロウ・ランチで観た。
ツイン・ギターと4声コーラスを看板とするこ
のグループのキャリアもかなり長くなる。その
間に幾度かのメンバー交代はあったものの、変
わることない緊密なアンサンブルを聞かせてく
れた。

イーグルスやドゥービーズの西海岸ロック、あ
るいはオールマンズのサザーン・ロックなどを
土台に日本語のオリジナル・ソングを歌う。そ
んなアプローチはかつて多くあったと思うが、
今や希少な存在。それを10年以上も成田安宏さ
んは継続されているのだから、ロック・シーン
の趨勢とは別に彼が好きな音楽を温めてきた何
よりの証拠だろう。

とくにツイン・リードのハモリやソロ交換の鮮
やかさは鮮烈だ。曲によっては途中でスライド
・バーも交えて縦横無尽なラインを織り交ぜて
いくのだから溜め息が出そうなくらいなのだが、
そんな技に溺れず、あくまで”歌”を聞かせると
ころにこのバンドの愛おしさがある。間違いな
くぼくたちの側にいる。

今後もマイペースでその歩みを続けて欲しい。
そんなことを願いつつ、帰路に着いた。

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by obinborn | 2012-12-24 01:02 | one day i walk | Comments(0)