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語るに落ちる人

このログをご覧になってらっしゃる方であればお気付きと思い
ますが、某音楽評論家もどきのしつこいコメントの数々にしば
し呆れる今日この頃です。普通の感覚を持った人間であれば無
視された場合「オレって嫌われているんだなあ〜」と自身の行
いを振り返ったり投稿を控えたりすると思うのですが、あの方
の場合はかえってそれで燃えるのでしょうか。その粘着度はま
るでストーカー(すなわち立派な犯罪)級です。そういえば個
人メール(これも一切無視していますけど)でも「インターFM
ラジオへのご出演であればボクの推薦とお申し付けください」
などと恩着せがましいことを書いてきたっけ。こういう厚顔無
恥なところが一番嫌いなのに、この人の場合どこ吹く風(笑)。

原発問題に関するコメントも彼の場合は子供が拗ねている如く
の感情論に過ぎなく、とても同じ土俵に上がれるレベルではあ
りません。そのくせご自分の媒体に私が感想を寄せると、その
コンテンツを削除したりFBをいったん閉じ非公開性(よく知ら
んが)にするという狡猾な態度に終始する。そういう意味で彼
は音楽評論家というよりは、いつまでもお山の大将でいたい人
なのでしょう。もとよりデータや知識を噛み砕きそこから音楽
が自分にもたらした何かを書き留めていくタイプの私と、あく
までデータの自慢に固執する彼とでは評論へのアプローチが異
なるとはいえ、人のページに土足で踏み込んできて「そのライ
ナーはこういう視点でお書きください」などと言ったり、私が             あるバンドの記事を書くと知ると「メンバーは昔よくボクの店            に遊びに来ていましたよ」などと嫌みたっぷりに個人史を披瀝            したり、とても叡智を重ねた大人の態度とは思えません。そう           いえば私を勝手に原発推進派扱いへと仕立て、自身のFBで賛同             者を募るというまるで小学生のイジメのような遊びに興じていた           のもこの人だったなあ(さすがにヤバイと思ったのかこれまた今           では削除されています)。

嫌な気分になってしまったので話題を変えましょう。突然の休
業宣言で世間を心配させた渋谷の老舗中華ソバの名店『喜楽』
が無事営業を再開した模様です。何でも店内をちょっとだけ
改装されたようで、これでひと安心です。明日柴さんの取材を
受けに渋谷へ行くので、その帰りにでも寄ってみようかな。
あそこのモヤシ・ソバは最高なのだ!

さあ、気を取り直して原稿原稿!(笑)。

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by obinborn | 2013-07-29 17:02 | one day i walk | Comments(10)  

J.J.ケイルが大いなる眠りへと

訃報です。素晴らしいソングライター&ギタリストの
J.J.ケイル氏が、心不全のため26日の午後8時カリフォ
ルニア州の病院で息を引き取りました。享年74歳。

オクラホマ州タルサ出身の彼は同郷のレオン・ラッセル
に見出され、70年にシェルター・レーベルと契約。朴訥
とした歌とギターでじわじわと人気を集め、エリック・
クラプトンはJ.Jの「After Midnight」や「Cocaine」を
取り上げるほどでした。他にも「Cajun Moon」や「Sen
sitive Kind」「Magnoria」など心に染み入る曲をたくさ
ん残しました。

J.Jがこれまで残してきたアルバムは膨大な数に及びますが、
新作と接するたびに思ったのは「ああ、いつもの彼がいる」
という当たり前であるが故に重い真実でした。キャリア
の途中で意匠を変えたり流行の音にすり寄る人たちもいま
すが、J.Jの場合は見事なまでに初志貫徹でした。そのこと
の難しさは現実へと立ち返るほど思い知らされたりします
が、彼は遂にそれを最後まで成し遂げたのです。それも何
気なく、誰にも騒がれないひっそりとした場所で。

オクラホマからやってきたひどく内気な男。「オレが逝っ
たくらい大したことじゃないぜ」そんな風にしてまたギタ
ーを抱え呟き始めるJ.Jの姿が今にも立ち現れてくるようで
す。まるで漆黒の闇に溶けていくような歌とギター。私は
生涯を通してJ.Jのこと、その佇まいのことを忘れないでし
ょう。今までありがとうございました。安らかな眠りに着
いてください。

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by obinborn | 2013-07-28 03:28 | blues with me | Comments(0)  

原発を巡るノート。覚え書きとして。

昨日まで利用してきた電気をある日を境にノーニュークス
と叫ぶ。喩えとして適切かどうかは解らないが、これまで
世話になっていた親に突然決別するようなものかもしれな
い。何度も繰り返し言ってきたけれど、反核運動の矛盾は
とどのつまりその一点にあるとぼくは思っている。

普通の感覚を持った人であればそこで自らの消費的な生活
を省みたり逡巡したりするのだが、ある種の左翼的な人々
はどうやらそういうことに全く関心を払わないようだ。原
発要らない、ノーニュークスと旗を振りかざすだけであれ
ば子供にも出来るだろう。しかし社会に生きる大人であれ
ば対案を示すなり、冷静になって異なる価値観を持つ人間
と対話をするなりしなければいけない。

ところが、そういう人たちが連携しているFBを観る限り、
今回の選挙に限って見ても建設的な論議を行っているとい
うよりは、自分と同じ意見を持つ人に安心するといった側
面が強いように感じられてならない。ただひたすら感情的
に自民バッシングをする。異なる意見を排斥する。小尾と
いうめんどくさそうな相手を敵と定め、集中砲火する。彼
らのそうした一番ダメな部分を見る人たちはちゃんと見て
いるのではないだろうか。

エクスキューズするわけではないが、ぼくだって原発なん
てない暮らしを未来への遺産のためにも望んでいる。但し、
それを利用しながら都市的な文明生活を享受してきたのは
紛れもなく私たち自身なのである。そのことから目を逸ら
したディスカッションの何と空疎なことだろう。何と手前
勝手なことだろう。何とエゴイスティックなことだろう。
それはちょっと飛躍するけれども、自衛隊と耳にしただけ
で拒否反応する一部の人々にも似ている。

彼らは簡単に図式化する。意見のクラッシュよりは同じ感
覚でつるんでいるほうが遥かに楽だからだ。彼らは都合良
くぼくに原発推進派のレッテルを貼る。ぼくはその痛みを
けっして忘れたりはしないだろう。

*写真はあくまでイメージです。

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by obinborn | 2013-07-27 12:45 | rock'n roll | Comments(1)  

フラッシュさんでまたまた大捕獲を!

25日は眼科検診の後〜下北沢フラッシュ〜江古田での飲み会
と大変充実した一日でした。以下フラッシュさんで捕獲した
品々です。ポイントカードが満タンになったので全品50%O
ff(一枚約260円!)のお買い得&大充実のR&B大会で、LP
を1枚、シングル盤は27枚購入致しました!
あと今日から『クロスビー&ナッシュ』(Atlantic 72年)
の新規ライナーノーツ原稿を書き始めました。ぼくは元気で
す。FB及びBlogを空けてしまい皆さんすみませんでした^0^

(LP)
Los Lobos/How Will The Wolf Survive? (Slash)

(7's)
Rolling Stones/Get Off Of My Cloud(London)
The McCoys/Hang On Sloopy(Bang)
Nina Simone/I Wish I Knew How It Would Feel To Be Free
(RCA)
Rockin' Rebels/Wild Weekend(Swan)
Doris Duke/I Don't Care Anymore(Canyon)
Little Johnny Taylor/Help Yourself(Galaxy)
Little Milton/Feel So Bad(Checker)
Bobby Bland/Call On Me(Duke)
Fats Domino/Let The Four Winds Blow(Imperial)
Temptations/Ain't Too Proud To Beg (Gordy)
Bill Doggett/Honky Tonk Part 1(King)
Bill Doggett/Ding Dong(King)
Five Royales/Don't Give Me No More Than(King)
James Brown&The Famous Flames/I Got You(King)
Otis Redding/Come To Me (Volt)
Sam & Dave/If You Got The Loving(Stax)
Johnny Taylor/(I Wanna)Testify(Stax)
Blues Brothers/Going Back To Miami(Atlantic)
Ester Phillips/Half A Heart(Atlantic)
Ester Philips/Shangri-La(Atlantic)
Barbara Lewis/Come Home(Atlantic)
Archie Bell&The Drells/Wrap It Up(Atlantic)
Wilson Pickett/Land Of 1000 Dances(Atlantic)
Betty Lavett/Shut Your Mouth (Atlantic)
Clarence Carter/I Smell A Rat(Atlantic)
Ben E. King/Seven Letters(Atco)
The Persuaders/Thin Line Between Love&Hate(Atco)

〜〜〜
ロボスのセカンドを米スラッシュ原盤にて。むろん大好
きな盤をもう一枚!との意味。ストーンズも重複してい
ますが、いつか誰かにプレゼントするために。ニーナの
は晩年のリヴォン・ヘルムが歌っていましたね。ロッキ
ン・レベルズのギター・インストはのちに我らがNRBQ
がカヴァーした秀逸なロッカー。ドゲットの「Honky To
nk」をやっと入手して涙を流しました。バーバラ・ルイ
スはあまり評価されていない女性R&B歌手だが、大好き。
他にもクラレンス・カーターやピケットなど相変わらず
濃ゆ〜い味が好みです(笑)。最後のパースエイダーズ
はプリテンダーズも歌っていましたね。原稿のことはし
ばし忘れて、シングル盤の数々を楽しんでいます!

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by obinborn | 2013-07-26 21:54 | one day i walk | Comments(0)  

若く勇敢なソウル、ヤング・ラスカルズ

ニューヨークを拠点として64年に結成されたヤング・ラスカ
ルズは、67年の1月に早くもセカンド・アルバム『Collecti
ons』を発表する。アトランティック・レーベル初の白人ア
ーティストとして66年にレコード・デビューした彼らは、ク
ラブ・バンド時代の名残りを留めるかのようにオリンピック
スのゴキゲンなR&B「Good Lovin'」をカバーし、自らのヴァ
ージョンも堂々とチャート・インさせていったが、この『
Collections』も彼らの愛するR&B曲(マーヴェレッツ、ミラ
クルズ、クリス・ケナーなど)とオリジナル曲の折衷といっ
た感じだ。

しかしやはり目を向けたいのはオリジナル曲の進境著しいソ
ングライティングだ。リーダーのフェリックス・キャヴァリ
エは本作で「What Is The Reason」「Lonely Too Long」
「Come On Up」「Love Is A Beautiful Thing」の4曲を
ときにエディ・ブルガッティと共作しながら書き進めている
が、それらすべてが今なおラスカルズ・クラシックスとして
愛されている秀逸なナンバーである。キャヴァリエのハモン
ド・オルガンやディノ・ダネリのドラムスはどこまでも奔放
であり、長い修行時代に培った転んでもただでは起きないぞ
的な逞しさを伺わせているし、そんな泥臭さとメロディの
輪郭が鮮やかな曲とが合体したところに、初期の彼らならで
はの魅力が溢れている。

本作からは「Lonely Too Long」が67年の2月に全米で16
位までに喰い込む健闘を見せたが、それ以上に重要なのは
イタリア系の白人である彼らがソウル・ミュージックに激し
く向こう見ずまでの情熱を寄せたことだろう。アメリカのな
かでのマイノリティ同士で共振する部分があったことは想像
に難くない。トム・ダウドやアリフ・マーディンといったア
トランティックの優秀なスタッフも、それに応えるが如く寄
与した。

彼らの才能は次作『Groovin'』で一気に開花するのだが、熱
い初期衝動を留めたファーストとこのセカンド・アルバム『
Collections』の2枚に格別の思いを抱く人は少なくないだろ
う。若く青い頃のソウル。未来が無限に広がっていくような
感覚。だから人々は今日もなおヤング・ラスカルズの名前を
呼ぶ。

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by obinborn | 2013-07-23 18:42 | rock'n roll | Comments(2)  

友との書簡から

おはようございます。
こちらは猛暑が一段落したとはいえ総じて暑い日が続いています。

先日は真摯なメールをありがとうございました。
思えば高度成長の時代が遥か彼方に消え、労働人口の
三人に一人が非正規雇用者という大変厳しい現実のなか、
誰も社会のあるべきモデル(理想)を描けなくなっているのでは? と思う時がぼくにはあります。
そのような不安や不満の受け皿として右翼的な物言い(反韓や嫌中)が一定の勢力を得るのは仕方のないことなのかもしれません。

本来「敵か味方か」「賛成か反対か」などと二元化出来ない繊細な問題を解り易く単純化するような方便も随分増えてしまいましたね。やはり震災以降具体的にも心の部分の意味でも、飢えている人、リードして欲しい人々が増えているせいなのかもしれません。

木下弦二くんが震災後のライブMCで公民権運動からこう引きました。「ぼく一人が幸せでも、それは幸せとは呼べない」
こういう関係性を自国と他国とのそれに想像していく力も随分衰えているような気がします。しかし私は彼のような存在を信じていきたいです。

暑中見舞いに代えて
小尾 隆

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by obinborn | 2013-07-22 12:13 | one day i walk | Comments(0)  

フラッシュさんで選挙買いを!

期日前投票をした証明書を持っていけば何と全品20%off!
そんな宣伝もあって下北沢の馴染みの中古レコード店フラ
ッシュさんへとライヴ前に! やっぱ元気になれるレコ屋
さんの筆頭格っす!(ぼくは無所属の大河原と比例区は社
民党に)以下捕獲日誌(LP3枚&シングル32枚)です。
土曜の放出日だけあって大充実でした!

(LP's)

Jackie Lomax /Home Is In My head(warner bros)
Trammps/The Legendary Zing Album (Buddah)
Crifton Chenier/Classic Chenier(Arhoolie)

(7's)

Doobie Brothers/Black Water(warner bros)
Rolling Stones/Sway(rolling stones)
Rollling Stones/Tumbling dice(rolling stones)*MONO
Young Rascals/A Girl like You(Atlantic)
Sam The Sham& The Pharaohs/Wolly Bully
5th Dimension/Working On A Groovy Thing (MGM)
Soul Servivors/Expressway To Your Heart (Crimson)
Blues Brothers/"B" Movie Box Car Blues(Atlantic)
Arlo Guthrie/The City Of New Orleans(Reprise)
The Band/Up On Cripple Creek(Capitol)
Gary And Dave/It Might As Well Rain Until September
(London)
Freddy Fender/Before The Next Teardrop Falls(abc)
Freddy Fender/Since I Met You Baby(GRT)
Little Milton/We're Gonna Make It(Checker)
Four Tops/It's The Same Old Song (Motown)
Brenton Wood/Gimme Little Sign(doubleshot)
Trammps/Sixty Minute Man (Radio Active Gold)
The Coasters/Wait The Minute(ATCO)
The Impressions/I'm So Proud(ABC)
George Soule/Get Involved (FAME)
Little Richard/She Knows How To Rock(Specialty)
Sam And Dave /Soul Man (Stax)
Booker T& The MG's/Green Onions (Stax)
Willie Mitchell/Mercy Mercy Mercy(Hi)
Jackie Moore/Precious,Precious(Atlantic)
Junior Parker/Last Night (Duke)
Junior Parker/Peaches(Duke)
Joe Tex/You're Gonna Thank Me Woman(Dial)
Joe Tex/Takin' A Chance (Dial)
Joe Tex/I Gotcha(Dial)
Joe Tex/ Papa Was Too (Dial)
Joe Tex/What In The World(Dial)

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by obinborn | 2013-07-21 05:37 | one day i walk | Comments(0)  

自分に似合う服しか着ない

20日は中村まりを下北沢のleteにて。ソロの
ワンマンとしては4月29日に同会場で行われ
たライヴ以来のことだ。とくに今回はチケット
が発売日に即完売という盛況ぶりで、ここ数年
に亘る中村まりの人気を如実に物語るのだが、
いざステージに上がる彼女はいつもながら悠然
と佇むだけ。途中に休憩を挟んでの2時間21曲
のなかで、聞き手を懐かしい風景へと連れ出し
ていく。

「Little House」の軽快なフィンガー・ピッキ
ングに始まり、「This Old Map」のワルツへと
引き継がれ、3曲めにはポール・マッカートニ
ーの「When I'm Sixty Four」がラグタイム・
ビートで奏でられていく。序盤のそんな流れひ
とつとっても浮ついたところは一切ない。それ
どころか「There Is No Point」に象徴されるよ
うに低音部を力強くシンコペイトさせていくギ
ター・ピッキングは思わず息を呑むほどの技量
であるし、チャーリー・プールの「Daller Blues」
からスタンダードの「星に願いを」、あるいは
リール・タイム・トラヴェラーズの「Raven」
までの選曲にもいちいち唸らされる。バンジョー
・チューンも3曲披露したが、ロンサム・スト
リングスのバンド・ヴァージョンで親しんでい
た伝承曲「Going Down The Road Feelin Bad」
をバンジョーで弾き語った辺りが新味だろうか。

「When The Day Is Over」「Through My Hea
rt Again」「Hold My Little Hand」といった中村
のまだレコーディングされていない新曲も、今や
彼女のライヴではもう一つの軸となりつつある。
ぼく自身も繰り返し聞いているうち次第に輪郭を
描き出し語り始めたのがこれらの曲だ。その象徴
ともいうべき「Still In The Sun」の鮮烈さはどう
だろう。掌に残っている温もりを丁寧にどこまで
もしっかりと繋ぎ止めていくこの曲は、もう生ま
れたばかりの名曲といった風格を湛えているかの
よう。とくにエンディング間際のアルペジオなど、
きっと「Night Owls」の終盤と同じように聞き手
の最も奥底にあるデリケートな部分へと触れてい
くものではないだろうか。

自分に似合う服しか着ない。その代わりに自分の
周囲で微笑むような歌たちにはどこまでも虚心に
耳を傾け、誰にも負けずに愛でていく。中村まり
のこれまでの歩みとはおよそそのようなものだっ
た。だからこそ人々は彼女の歌を聞いて押し黙る。
あるいは遥か遠くにある光景へと思いを寄せる。

アンコールでややブルージーに改変された「Keep
On The Sunny Side」が飛び出したことを含めて、
今夜もまた中村まりとの一期一会。そのひとつひ
とつに感謝せずにはいられない夜だった。「Night
Owls」の余韻を受け止めるかのように本編はしっ
かりと「Our Blue」で締められていく。高鳴る心
を鎮めるにはこんな遠巻きの、まるでエンドロール
のようなこの曲がよく似合っていた。

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by obinborn | 2013-07-21 01:23 | 中村まり | Comments(0)  

音楽から友情が聞こえてきた

神々しいまでの演奏がどこまでも続いていった。
その流れは一切淀むことなく次第に逞しくなり、
最後に河口へとしっかり辿り着いていく。その
場面場面を反芻するだけで愛おしくなってくる。
そんな東京ローカル・ホンクのライヴを17日は
青山の月見ル君想フにて。

アカペラの「サンダル鳴らしの名人」から始まり、
「いつもいっしょ」「お手紙」「四月病」がしな
やかに束ねられていく。田中クニオのリム・ショ
ットが次第に輪郭を描き出し、ミキシング・エン
ジニアのHALKによるダブ処理とぴたりと呼吸す
る「昼休み」を場面転換のようにしながら、後半
は「夜明けまえ」や「お手手つないで」といった
新曲を交えつつ、「おいでおいで」「社会のワレ
メちゃん」「すんだこと」が解き放たれていった。
その一つ一つの場面が鮮やかで、もう一度聞き直
したいくらい。

ギター2本にベース、ドラムスというたった四人
の演奏が雄弁に語る。無駄なものは一切ない。む
しろシンプリティの極みのようなサウンドなのだ
が、それらに込められた含みや含蓄はもう圧倒的
なまでに清々しい。フロントマンの木下弦二は最
近よくMCで「同じメンバーで20年もバンドをや
っていると家族以上にいい部分も悪い部分も見え
てきます」といった旨を語るのだが、こうした緊
密でしっかりと連携が取れた演奏は、ぼくに友情
という懐かしい言葉を思い起こさせたほど。とく
に今回は音響が秀逸であり、新井健太のプレシジ
ョン・ベースがどれだけホンク・サウンドを支え、
綺麗な裏メロを紡ぎ上げているかを腹の底まで感
じることが出来た。寡黙なベーシストは多くを語
ることはしない。その代わりにアラケンはまるで
歌の影絵へと、そっと歩み寄っていく。

普段の暮らしがある。それは昨日のように今日も
また続き、きっと明日となって更新されていくの
だろう。そこに突然裂け目が出来る。のっぴきな
らない事態が発生する。明るい歌に影が宿る。繋
いだはずの手が綻びを見せる。普段の暮らしを描
いたホンクの明るい歌が感じさせる悲しみとは、
そういうものだ。「いつもいっしょ」の明るい響
きのなかで、ぼくはいつも迷子になる。

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by obinborn | 2013-07-18 01:39 | 東京ローカル・ホンク | Comments(0)  

救済もなく、慈悲もなく

90年代以降に最も再評価されたシンガー・ソングライター
といえば、真っ先にジュディ・シルの名前を挙げる人も少な
くないだろう。とくに71年に発売されたシルのファースト・
アルバムは当時それほど話題にならなかっただけに、こう
して再び脚光を浴びることが、ぼくには意外だったりする。
例えば少なくともシルはキャロル・キングやジョニ・ミッ
チェルのようにポピュラーな存在ではなかった。

故人シルは自分の音楽を「レイ・チャールズとJ.S.バッハの
間」と説明していたらしい。チャールズと言ったのは恐ら
く感覚的なものだろう。リズム面でブラック・ミュージック
からの影響がそれほどあるわけではない。しかしバッハ的
なオーケストレーションに関しては、シルの特異な音楽を
形作る大きな要素だと思う。

私たちはよくフォーク音楽の延長線上にシンガー・ソングラ
イターを位置付けてみたりする。それは60年代から70年代
へと橋渡ししていく時代の大きな潮流だったことは間違い
ない。それでもシルにはそうした過去との連続性は殆ど感
じられない。ギターなりピアノなりの弾き語りという体裁
は保っているものの、それがバロック的な旋律や広がりの
ある弦や管によってゆらゆらと立ち上っていく感じだ。も
しかしたらそういう新しさが若い世代に”再発見”されてい
くポイントだったのかもしれない。

シルの歌はどの曲も若き日の淡いひらめきや白日夢のよう
に脆く、移ろう時間のように去っていく。通常のロック・
ビートを感じさせないアレンジが、そうした印象を後押し
する。彼女の不幸な生い立ちや、それ故にすさんでいった
生活(ドラッグ、収監、奇行)については、ここで繰り返
すまでもないだろう。

それほど明るい未来が約束されているわけではない。そん
な感覚が影のようにまとわりついている。生い立ちや環境
に規定されていくのが人の宿命であるのなら、それに対す
る抵抗もまた業のようなものだろう。シルは「クレヨン・
エンジェル」のなかでこう歌っている。「インチキ預言者
が私のたった一つの光を奪い、暗闇へと葬ってしまった」

救済を求めるシルの歌。それは今、私たちとともにある。

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by obinborn | 2013-07-17 00:49 | rock'n roll | Comments(0)