<   2014年 11月 ( 9 )   > この月の画像一覧

 

2014年秋のフラッシュ大放談!

O:どうだった、本日の下北沢フラッシュさんは?

B: はい。LP2枚シングル11枚をお約束の90分キッカリで探し出しまして、とても充実したひと時を過ごせました!

O:お前のマニュフェストでは目標25枚と書いてあったぞ。この嘘つきめが。服務規程もしくは査問委員会に計らないといけないな。

B:ひえ〜お許しを。でもいつも通りちゃんとビールのロング缶を奥さんに渡しました。

O:そうだな、お前のその心掛けは大事じゃ。お世話になっているん
だからな。

B:そりゃもうフラッシュさんは開店した82年から通っていますからね。もう31年目かあ(遠い目〜)

O:行動が一貫してるとも、まったく進歩していないとも言えるな。
まあいい。それはそうと今日の中味を言ってみろ。

B:まずシングルから行きますね。ボックストップス、ウィリアム・
ベル、ダニー・ホワイト、アイク&ティナ、ミラクルズ、リトル・
ミルトン、ダニー・ハサウェイ、アル・グリーン、ロイ・ヘッド、
ボビー・ブランド、そしてジミー・ヒューズの11枚です。

O:とくに印象的なものを簡素に述べなさい。

B:ダン・ペンがプロデュースしたボックス「ザ・レター」、ロス・
ロイ(註1)がやっていたダニー・ホワイト「キス・トゥモロウ・
グッバイ」これには非常に驚きました。ヒューズの「スティール・
アウェイ」は映画『黄金のメロディ:マスル・ショールズ』でも印象的でしたね。定番ですがミラクルズ「ミッキーズ・モンキー」なんか
もシングル盤だとやはり格別です。あとそうそう!ブランドの「ストーミー・マンディ」を見つけて打ち震えました。

O:おお、そのブランドはウェイン・ベネットのギターが最高だな!

B:これがわずか300円!しかもポイントカードが満タンになったので全品半額で「ストマン」は150円でした!値段的なことは人に
よって懐具合が様々なのであまり言いたくないし、気持ちだけは武士
は喰わねど高楊枝〜といった心意気をオイラは大事にしているので、
FBやブログで書かないように心掛けているのですが、フラッシュさんの良心的な価格にはホント頭が下がります。

O:ところでLPは何を買ったのだ?

B:はい。ブリンズリー・シュウォーツの『ナーヴァス・オン・ザ
・ロード』とスティーヴ・クロッパーのファースト・インスト・アル
バムです。ブリンズリーズはむろん持っているんですが、生涯で一番
好きなバンドなので2014年秋のパブ・ロック記念ということで(笑)

O: ほんと進歩のない奴だな。ところで『パブ・ロックのすべて』の重版出来とか景気のいい話はないのかね?

B:はあ、マイナーな奴ですいません(笑)あとディスク・ユニオン
さんの下北沢店に帰りちょこっと寄りましてブラック音楽のコーナー
のみチェックして、例の名盤サム・クックの『ハーレム・スクエア・ライヴ』の新装ジャケット&リマスターのLPを購入しました。
これはやっぱりいいですね。計らずも昨日の『ナイト・ビート』に
繋がったし。午後一番で行って、じっくりレコードを見て、まだ日の残っているうちに帰宅する。今日はそんなナイスデイでした。

O:解った!じゃあ、そろそろ飲むか!

*       *       *

*註ロスロイ:正式にはロス・ロイヤル・フレイムズと呼ばれる日本
人二人(歌とギター)のスワンプ・ポップ・デュオ。あえてリズム・
セクションを付けず、ルイジアナ〜テキサスのガルフ・コースト音楽
をガレージ・ライクなギター・サウンドで取り組んでいる。都内の
ライブハウスで活動中。

e0199046_19852100.jpg

[PR]

by obinborn | 2014-11-27 19:10 | one day i walk | Comments(0)  

サム・クック『NIGHT BEAT』

レコ屋難民のテキストは珍しく大きな反響を頂きました。何しろマイ
ナーなページなのでとても嬉しいです。ありがとうございます!やは
り皆さん、レコードとそれにまつわる様々な思いをしっかり体験されて        きた故なのでしょうね。とくに私の場合プレイヤー指向がまったく
なかったので、楽器代金を気にすることなくレコード類を集めること
が出来た側面もあったかと思います(両方の人は大変だ)でも実際に
は就職して給料を貰うようになってから今まで欲しかったアルバムを
溯るように購入していったという気がします。学生時代はそれどころ
ではなく、せいぜい月に2〜3枚もしくはFMのダビングや貸しレコ
ード店(完全に死語ですね)でまかなうのが現実でした。

ところが本格的にコレクションが増えていった30〜40代は肝心の仕事         が忙しく、多く購入すればするほど肝心の聞く時間がないという
新たな悩みに直面しました。通勤時にウォークマンで1時間聞いた
としてもたかがしれています。むろん針を落とさなかったなんてい
う行為はありませんが、何十回も深く聞き込むという体験はあまり
得られなかったような気がします。そうした餓えは募るばかりでし
た。よく定年後に「これからは毎日音楽三昧だ!」とおっしゃる方
がいますが、彼らの気持ちがよく解ります。あるいは音楽バーを開
業して悠々自適な暮らしを営む生活にも憧れたり。

そうした方々に比べると自分は何と中途半端なのかと思い知らされ
ます。プレイヤーにはなれず、定年退職もまっとう出来ず、音楽バ
ーを開業する財力もなく、自分はただ細々と文筆業を続けてきただ
けでした。それでもこんな私でも先日の藤沢パブロック・ナイトで
は歓迎の温かい拍手を頂いたり、貴重なレコードをプレゼントして
くださったり、思いがけず同窓生とお話することが出来たりと、こ
うやって歳を重ねるのも悪くないナ!と感じることが出来ました。

というわけで今夜の名盤はサム・クックの『NIGHT BEAT』これが
解る大人になりたい!と思って背伸びしていましたが、いつの間に
か50代半ばの単なるおっさんになってしまいました(笑)

e0199046_1873198.jpg

[PR]

by obinborn | 2014-11-26 18:10 | one day i walk | Comments(0)  

誰もオレを否定することは出来ない

脱戦争ポスター展なるFBを眺めていたら「投票行く?OR戦争行く              ?」のポスターが貼ってあった。いくら解り易さが求められる
告知とはいえ、こうした単純に二者択一を迫るデフォルメに拒否
反応を示す方々も少なくないのではないだろうか?オレは今度も
また自公が過半数を取り長期安定政権の間にやりたい放題やると
いう最悪のシナリオに反対する者の一人であるが、かといってこ
んなポスターを認めるわけにはいかない。っていうかこういうの
を嬉々としてシェアしているエセ左翼にうんざりなんだ。異論は
あるだろうが、日米安保条約が戦後の日本に平和をもたらした側
面は絶対に否定出来ない。そういう意味では条約をより時代に沿
ってカスタマイズするための日米交渉は、隣国の脅威とともに再
構築していかなければならない。そういう観点抜きにただ戦争は
嫌だと感情的にたれ流すエセ左翼どもに辟易しているのだ。ある
意味こういう連中の存在がリベラル本来の知性を曇らせてしまっ
ているとさえ今では強く思っている。先日オレは『永遠のゼロ』
を批判した高校生の読書感想文に抗議を促したが、あれなんかも
普通の高校生が素直に書いたものとは思えない。というか偏見な
くあの作品を読めばあの小説が戦争を賛美するものでも特攻を英
雄視するものでもなく、戦争を知らない「ぼく」が歴史を学んで
いく謙虚さに満たされていることをすぐに理解出来るはず。とこ
ろがエセ左翼はムードだけで何も学ばないから、その高校生を誉
めちゃうんだな。今オレたちに求められているのは、日々変わっ
ていく時代に対応したクールな現実主義であろう。最後にひとつ
だけメタファーを。オレが青年期を過ごした70年代で強烈に印象
に残っているのは、沖縄国体で日の丸が焼かれるというシーンだ
った。沖縄決戦に関して「神とともに」参加し裏切られた沖縄の
人達の心情をその行為はよく現していたからだ。また当時の学校
教育は日教組からの影響もあって、オレにも日の丸は良くないん
だという刷り込みがされていった。しかし国威発揚とは別の意味
で今では単純に国旗もいいもんだなあ〜とふと思うことがある。
地球市民なんてほざいている連中より、国民の祝日に国旗を上げ
て平和を祈る人々の気持ちがリアルだと感じるのだ。いずれにせ
よ、そうしたアンヴィヴァラントな揺れとともに日本の戦後があ
ったことは間違いない。オレはイデオロギーの奴隷にはならない。
オレは徒党を組まない。誰もオレを否定することは出来ない。
[PR]

by obinborn | 2014-11-24 13:07 | rock'n roll | Comments(2)  

藤沢パブロック・ナイト!

藤沢@BAR CANE'Sでのパブロック・ナイト、22日大盛況のうちに
終了致しました!しかし藤沢のお客さんは熱い!おまけに偶然にも
同窓生とお会いするなどスペシャルな夜でもありました。オーガナ
イズして頂いた二見潤氏、CANE'Sの似鳥元悟氏に深く感謝致します。         来てくださった皆様もありがとうございました!以下私のプレイリストです。

1 KINKS/MUSWELL HILLBILLIES
2 MUGUINESS FLINT/ETERNAL CIRCLE
3 BRINSLEY SCHWARZ/DRY LAND
4 BRINSLEY SCHWARZ/PLEASE DON'T EVER CHANGE
5 IAN GOMM/THAT THE WAY I ROCK'N ROLL
6 GRAHAM PARKER&THE RUMOUR/SOUL SHOES
7 DR.FEELGOOD/BONNIE MALONNIE〜TEQUILA
8 IAN DURY&THE BLOOKHEADS/THIS IS WHAT WE FIND
9 LEW LEWIS/WAIT
10 DANNY ADLER/ALL ABROAD
11 RONNIE LANE/YOU NEVER CAN TELL
12 WILLIE & THE POORBOYS/YOU NEVER CAN TELL
13 ELECTRIC BLUEBIRDS/ALLIGATOR MAN
14 WILKO JOHNSON/ THINK〜SOME OTHER GUY
15 GERAINT WATKINS/WALKING TO MILWAUKEE

〜ONE MORE MILES TO GO〜

 1 FLAMIN'GROOVIES/THERE'S A PLACE
 2 DR.FEELGOOD/SHE DOES IT RIGHT

e0199046_0582677.jpg

 
[PR]

by obinborn | 2014-11-23 00:59 | rock'n roll | Comments(0)  

キンクス『マスウェル・ヒルビリーズ』

今年は約束通りやることをちゃんとやったので気持ちだけは左団扇
です(笑)というわけで今日は佐々木譲の警察小説(ぼくはこのジ
ャンルが大好きなのだ)を読みながら明日のパブロック・ナイトに
備えて、それ関係のアルバムを一枚ずつ聞いています。キンクス『
マスウェル・ヒルビリーズ』辺りで夕方になってきたのでビールを
飲み始めました。実際このアルバムはジャケットとともにパブ・ロ
ックの雰囲気をしっかり伝えていますね〜。アメリカ・ライクな埃
っぽいサウンド、市井の人々の何気ない日常をスケッチしたレイ・
ディヴィスのソングライティングも本作で頂点を迎えた感がありま
す。3時に紅茶を飲む歌もあればアル中の歌もある。ダイエットす
る婦人の顛末を皮肉った「皮と骨」もあれば、「複雑な人生」のよ
うな苦みの経験もある。そんな歌の数々を通過していくと終盤に、
アメリカへの憧れを託したような「オクラホマUSA」が置かれ、
叔父さんを慈しむ「アンクル・サン」が続き、アルバム最後を表題
曲「マスウェル・ヒルビリーズ」が締めていきます。この歌詞がま
た泣かせる。「ぼくはマスウェル・ヒルの少年。でも心は古き佳き
ウェスト・ヴァージニアにあるのさ。ニューオーリンズもオクラホ
マもテネシーも行ったことはないけど、あのブラック・ヒルをいつ
も夢見ている」

歌詞はさらにこう続きます「奴らはオイラを正しく教育しようとす
る。オイラの方言なんかが気に喰わないんだとさ。奴らはオイラを
狭い社会のなかに閉じ込めようとする。でもオイラはゾンビーじゃ
ない。コンピュータ社会に負けるもんか!そう、オイラには誇り高
いコックニーの血が流れているのさ!」レイの情けない鼻声のなか
に思わず真実味が宿り、愛おしい故郷を描いていくような瞬間です。

e0199046_1842930.jpg

[PR]

by obinborn | 2014-11-21 18:06 | one day i walk | Comments(2)  

双六亭とホンク

8日は高円寺のJIROKICHIでホンクと双六亭のツーマン・ライブを。
二組ともキャリアを重ねた4人編成のバンドならではの柔らかいグ
ルーヴが心底気持ち良く、ビールを4杯もおかわりしてしまった。
日本語で歌われる歌詞にしてもぼくが普段触れ合っている世界と何
ら変わりない。そこにヒロイックな主人公がいるわけでも、オレの
ことを解ってくれよ!と青筋を立てながら絶叫するわけでもないが、
それに代わる愛おしさが少しずつ込み上げてくる。時間の経過とと
もに次第に温かくなっていく身体を感じ取ることが出来る。

優れたベーシストがソロ活動に専念するために脱退するというあ
まりに衝撃的な出来事を経たばかりの双六亭は、それでもサポート
・メンバーとともに以前と遜色ないステージを繰り広げたし、ホン
クに関してもそこに彼らがいるだけで委ねられる大きさのようなも
のを音の彼方から感じることが出来た。何でも両バンドは昔からの
古い付き合いだったとか。そんな2組が何とか歳月をやり過ごし、
少しずつ大人になり、互いに楽器を手に携えながら久し振りの再会
を果たす。誰にもすぐ出来そうだが、現実にはなかなか難しいこと
だ。しかし彼らはそれを今晩溢れ出す音と飾らない言葉で鮮やかに
結晶させた。そのことの価値を思わずにいられない夜だった。

e0199046_0301546.jpg

[PR]

by obinborn | 2014-11-09 00:32 | 東京ローカル・ホンク | Comments(0)  

どんな気がする?

子供がイジめられて黙っている親はいない。息子が交通事故に遭えば真相を追求し、娘が過労死すれば会社を法的に訴えるのが親の務めというものだろう。氷りの世界人なる人物の悪意に満ちたレビューを読むと、書籍という子供を生み出した親として黙ってはいられない。むろん作品というのは公に放たれた時点で第三者による客観的な批評を受けるわけで、そのことでより多くの見方を与えるのだが、レビューにも値しない単なる貶めを私はスルーしない。本人は匿名であればアマゾンに何を書いても許されるとでも考えているらしいが、正体はすでに多くの人たちが承知している。その浅はかさや軽卒さを同業者として哀れに思う。

氷りの世界人は以前から匿名ツィッターやフェイスブックを使いながらことあるごとに私を実名攻撃してきた。その一方で、私が彼のブログに反論すれば削除するだけだった。これでは読者に争点は見えないだろうし狡猾なだけである。どういういきさつかは知る故もないが、現在氷の世界人はツイを閉鎖し、FBに関しては特定の仲間たちのみが閲覧出来る会員制にしているようだ。音楽家が作品を批評されることに寛大なように、音楽評論家もまた彼が書いた文章によって評価される(されない)。もし彼に何らかの職業的なプライドなり倫理観なりがあれば、こうしたクローズドな態度こそを真っ先に改めるべきだろう。音楽をめぐる批評や討論というものは、常に公の場で”風に吹かれて”いなければならないのだから。

すべての信頼を失った人間に対し、もはや掛ける言葉も同情する余地もない。かつてディランはLIKE A ROLLING STONEで傲慢な金持ち女が落ちぶれていく顛末を黙示録的な未来図のように歌い、HOW DOES ITFEEL?(どんな気がする?)と問い掛けた。私にはその残響が空しさとともに聞こえてくるだけだ。ミスター、これは他でもないアンタの話だぜ。

2014年 秋
小尾 隆

e0199046_12214482.jpg

[PR]

by obinborn | 2014-11-07 12:22 | rock'n roll | Comments(0)  

佐々涼子『紙つなげ!彼らが本の紙を造っている』を読んで

今年も様々な書物を読んだけれど、最も心に残ったのが佐々涼子さ
のノンフィクション『紙つなげ!彼らが本の紙を造っている』だっ
た。大震災で大きな打撃を受けた石巻市の日本製紙だが、逆境にめ
げず工場の復興に取り組む人々の思いに気持ちが高ぶった。日本中
の人に”なかったことにしたい日”を問い掛けるならば、多くの方が
真っ先に3月11日と答えるだろう。あの悪夢のような日からスター
トしたドキュメントである。むろん綺麗ごとばかりではない。例え
ば瓦礫を取り除く作業時にあえて笑顔で作業員たちを束ねようとし
た現場リーダーの思いに反して、目撃した近所の住人が「なんで笑
っているの?」と問い返す場面など人の気持ちはそれぞれ違うとい
う現実を突きつけられる。また野球部の存続を巡っての部員の葛藤
にしても「こんな大変な時期に野球をしていいのだろうか?」とい
う根源的な問いが発せられてもいる。

それでも驚かされるのは経営者たちの前向きさだ。普通これだけの
壊滅的な悲劇を目の当りにすれば工場の閉鎖を検討したり人員整理
を進めるのでは?とついこちらが陥ってしまいがちな思考とは別に
日本製紙のリーダーたちは早々と復興までの目標を具体的に掲げ、
期日から逆算しながら工場の立て直し計画へと邁進していく。その
スピードある対応を読んでいくと、経営者の判断なり人間性なりが
いかに企業の生命線であるかが解る。愚痴を言う中間管理職に対し
ても、リーダーたちは「出来ません無理です、の報告は欲しくない
」と手厳しいのだが、根底には人との信頼が企業を良くするという
揺るぎない倫理観があるようだ。

人を使い捨てにするブラック企業の台頭や非正規雇用の増大など、
昨今の働き方をめぐる問題はあまりにシビアな現実だが、その一方
でこんな会社があり、地元である石巻としっかりと結び付いている
ことを知る価値はあるだろう。佐々さんの徹底した取材力や抑えた
筆致も良質なノンフィクションかくあるべし!と思わせる。明日が
まったく見えないような過酷な現実を前に悲観論を語るのは簡単だ
が、実際にこうした人々がいて、心を束ねながらアクションを起こ
していった。そのことほど尊いものはないだろう。無数の死者を前
にしての絶望も、企業人としての葛藤も、そして前向きに進む理由
も、そのすべてが『紙つなげ!』には書き留められている。

ちなみに作者は文中で「ノンフィクションを書いていると、私が能
動的に書いているというよりは、物語という目に見えない大きな力
に捕らえられて、書かされているのだと感じることがある」と記し
ている。そのような謙虚な態度が闇の彼方へと消えていった死者た
ちの木霊を聞き取り、生き残った者たちの言葉に向かい合いながら、
たすきがけのように読者のもとまで届いたのだと思う。

e0199046_762029.jpg

[PR]

by obinborn | 2014-11-04 07:04 | 文学 | Comments(0)  

11月2日のキックス

2日の目黒リトル・テキサスは心地よいグルーヴの波に包まれた。
ザディコキックス5年ぶりの新作『CRAWFISH GOT SOUL!』を
記念してのレコ発ライブだけあって、開演前から華やいだ雰囲気
に包まれ、会場のあちこちから久し振り!の声が飛び交う幸福な
空気が足下を温めていった。南ルイジアナのザディコ音楽を本格
的に演奏し始めてちょうど10年の節目を迎えるキックス。そんな
彼らを祝うべく駆け付けたロス・ロイヤル・フレイムズ及び藤田
洋介&ヒズ・ミラクルトーンズのゲスト出演にしても、同じガル
フコースト・ミュージックで結び付いていったという共通項が頼
もしい。この夜もスワンプ・ポップ〜テックスメックス〜ザディ
コ〜ケイジャンと、ルーラルなアメリカ南部音楽がごく自然に連
なっていく様に、世代を超えた逞しさを感じずにはいられなかっ
た。

ロス・ロイの二人がボビー・ブランドやダグ・サームの曲を簡素
なガレージ・ロックで投げかけるかと思えば、ミラクルトーンズ
は日本のロック歴代の戦士たちを擁しているだけあって出音自体
が半端ない。ときにラフに流れてしまう部分はあるのだが、そこ
を大らかなノリでくるんでしまうのはオレンジ・カウンティ・ブ
ラザーズの飯田雄一のキャラが手伝ってのこと。しかもこの日は
同じ釜の飯をともにした中尾淳乙がギターで加わり、彼らならで
はの力感でハンク・ウィリアムズのJAMBALAYAを演奏した。
曲の輪郭だけをなぞっているだけのあまたのカヴァー曲とは異な
り、見える景色を自分の力でどんどん塗り替えていく。そうした
演奏の数々に長年のキャリアが滲み出ていた。

こうしたゲスト陣を大きな味方に付けたザディコキックスが、こ
の夜最高のノリを生み出したのは言うまでもない。DANCE ALL
NIGHTやUNCLE BUDといったダンス・ナンバーで観衆を鷲掴み
にするかと思えば、しっとりしたBONSOIR MOREAUでケイジャ
ン・ワルツの哀感を醸し出す。またお客さんのノリによってソロ
・パートの進捗を変幻自在に変えて見せる。そんなひとつひとつ
に、六角橋の闇市を始めとして各地でコツコツと鍛え上げてきた
キックスの実力が溢れ出す。ザディコとケイジャンという、とも
すればマニアックになりがちな音楽ジャンルに風穴を開け、日本
人ならではのドメスティックな心情を同化させてきたのはまさに
彼らだ。ボタン式アコーディオンとラブボード2台をメインに醸
し出されていく曲群も、リフが繰り返されていくなかでどんどん
リズミックな強度を増していく。

アンコールではまずロス・ロイを迎えてチャック・ベリーのPRO
MISED LANDが歌われ、次はミラクルトーンズとともにオレンジ
・カウンティのLINDA BELLEが奏でられた。その2曲から思わず
伝わるのはけっして借り物ではない南部音楽の血脈だ。それらを
共に分かち合えたことを嬉しく思う。

e0199046_357180.jpg

[PR]

by obinborn | 2014-11-03 03:57 | one day i walk | Comments(0)