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ローリング・ストーンズ「Moonlight Mile」

私が所沢のホース工場でアルバイトをしていたのは確か20才の
夏だったと思う。朝9時前に出勤し午後5時のチャイムが鳴る
まで、ただひたすらホースの部品をマニュアルに従いながら組
み立てていった。細かい溶接作業に関してはしっかりした職人
のおやじさんがいて、まるで若造なぞ寄せ付けない威厳を漂わ
せていたのだが、その年輩の彼が100円の缶コーヒーを奢って
くれたのは予期せぬ驚きだった。どうやら不思議とこういう体
験は末長く記憶に残るらしい。

その当時自宅に帰ると欠かさず聞いていたのが『スティッキー・
フィンガーズ』と『ワーキングマンズ・デッド』の2枚だった。
他に聞けるものがなかったわけではないが、恐らく当時新しく
購入した”新譜”だったのだろう。とにかくこの2枚を交互に針
を落としたお陰で?私は今も『スティッキー』や『ワーキング』
のシークエンスを頭から最後まで暗記しているくらいだ。そう、
Brown SugarからMoonlight Mileまで。Uncle Johns Bandか
らCasey Jonesまで。

それらの日々と現在のどちらが幸せだったのだろうか?無知で
あるが故に守られたことはあっただろう。逆に経験を積み重ね
たがために失ったものもきっとあるだろう。そんな気持ちにな
った時、私は無性にMoonlight Mileを聴きたくなる。忘れもし
ないBサイド5曲め、アルバム最後のトラックだ。先日亡くなっ
たばかりのポール・バックマスターの弦アレンジが、そっと頬
を撫でてくる。


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by obinborn | 2017-12-21 19:15 | one day i walk | Comments(0)  

さらば、音楽業界

僕はわりと日本のインディー系のバンド/アーティストを
観ているほうだが、僕よりずっと著名な音楽評論家の皆
さんをそれらのライブ会場で見かけたことは殆どない。
無論僕にも嗜好があるから、僕が知らない他のライブに
行っているのかもしれないけれど、大抵の場合彼らはビ
ートルズ、ボブ・ディラン、ストーンズ他...といったビッ
グネイムの評価を上塗りする仕事ばかりしている。いつも
言っていることだが、既に各方面からの評価が定まった
ものに追随するより、原石のダイヤモンドとも言うべき無
名の音楽家を発掘し、広く紹介するのが音楽メディアや
ジャーナリスト本来の役割ではないだろうか? およそ30
年間音楽業界を眺めてきて一番痛感するのが彼らの鈍さだ
った。だから僕は彼らとは殆ど付き合わない。その代りに
知り合いのミュージシャンは結構いるしレコード屋の方々
とは仲がいい。以前にも書いたようにもう業界の悪弊には
うんざりしているので、いずれこの世界から足を洗って、
一介の音楽ファンに戻りたいと考えている。


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by obinborn | 2017-12-15 14:20 | one day i walk | Comments(0)  

ニール・ヤング『 HITCHHICKER』に寄せて

やっとニール・ヤングの『HITCHHICKER』がアメリカから到着!これを待っていました!76年にレコーディングされながらも、長いことお蔵入りしてきた未発表音源集だ。なかには『RUST NEVER SLEEPS』(79年)に収録されたpocahontasとpowderfingerとride my llamaや、『COMES A TIME』(78年)でバンド・ヴァージョンが聞けるhuman highway、あるいは『AMERICAN STARS'N BARS』(77年)で親しまれたthe old country waltzといった楽曲もあるのだが、いずれも初期テイクであることを伺わせる弾き語りが圧倒的に生々しい。the old country waltzのみピアノを前にしたものだが、他はすべてギター一本(ときにハーモニカも)によるゴツゴツとした響きがたまらない。クレイジー・ホースの荒れ狂うバンド・サウンドは無論大好きだけれど、その原点ともいえる剥き出しの歌とアクースティック・ギターに鳥肌が立つ。
  
ちなみに76年前後のニールを振り返ってみると、『ON THE BEACH』(74年)『TONIGHT THE NIGHT』(75年)といったダークな名作が並ぶ一方で、クレイジー・ホースとの再出発を誓った『ZUMA』(75年)あるいは旧友スティーヴン・スティルスとの共演盤『LONG MAY YOU RUN』(76年)や、カントリー・サウンドに大きく針が振れた『COMES A TIME』(78年)といった作品を残している。それらのオフィシャル・アルバムを聴きまくった者であれば、『HITCHHIKER』ほど嬉しいクリスマス・プレゼントはあるまい。
                                        本作『HITCHHICKER』のジャケットに映っているのは恐らくマリブのズマ・ビーチであろう。シャングリラ・スタジオの近くのズマで夜空を見上げながら「アケイディアの流れ木」を書いたロビー・ロバートソンは最後の達成を感じ、ザ・バンドの解散を決意したという。そしてニールはリック・ダンコとリヴォン・ヘルムを演奏に従えながら、あの暗喩に満ちたsee the sky about to rain(今にも雨が降ってきそうさ)を書き上げたのだった。それらひとつひとつのエピソードを反芻しながらこの未発表音源集を聞いていると、本当に胸が潰れそうになってしまう。

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by obinborn | 2017-12-12 18:29 | Comments(0)  

12月6日のイトウサチ&ブンケンバレエ団

清々しい夜だった。6日はイトウサチ&ブンケンバレエ団の
ワンマン・ライブを高円寺のJIROKICHIにて。ウッド・ベー
スとギターそして時折パーカッションを加えるだけの簡素な
バックが、かえってイトウの歌を際立たせる。一番いい時期
のリンダ・ルイスのような自由奔放な歌とフォーキーな演奏
には聞き手が自由に想像出来る余白の部分がたっぷり。音を
塗り込め過ぎない抑制感がハマりにハマった。歌われる言葉
にしても日々の暮らしを淡い色彩でスケッチしながら、自然
と風景が浮かび上がってくる。いずれもイトウが暖かい日も
寒い日も、いい時でも悪い時でも温めてきただろう歌の数々
だ。「CDを出すのは17年ぶりになります」そんな彼女のM
Cの彼方に長い歳月が横たわっていた。来年1月にはいよいよ
イトウサチの新作『きぼうのうた』が発売される。人の心を
動かすのは一体どんな歌なのだろう?そんなことを考えなが
ら帰り道の自転車を漕いだ。空には満月が昇っていた。


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by obinborn | 2017-12-06 23:44 | one day i walk | Comments(0)  

冬の午後とリッキー・リー・ジョーンズ

町はすっかりクリスマス・モード。まあオイラには関係ないので
イブにはガラガラの日本料理屋か鰻屋にでも行こうかと自虐的な
ことを考えてみる。今年は会社を辞めてから10年目となる節目の
イヤーだった。その間に自分は書籍を4冊出したので他人にはう
まくやっているように映るのだろう。しかし印税なんて微々たる
ものであり、実際の私はそれこそ苦労の連続だった。まるで社会
から落ちこぼれ取り残されたような焦燥は、きっと職を失いハロ
ーワークに通い、毎日のように求人広告に目を通し、履歴書を書
きまくった経験のない者には解るまい。それでも今日も健康でこ
うして夕方のワインなぞ飲んでいるのだからシアワセなのかもし
れない。冬の午後はまるで追い立てられるように慌ただしい。こ
んな時にリッキー・リー・ジョーンズの『浪漫』を聞いていると
細胞が隅々まで温まってくる。若さ故に放埓だった頃をデビュー
・アルバムで振り返るという視点が良かったし、その日々はもう
戻らないという告白が名曲「カンパニー」で為されていたことに
も深く感動した。先日町で偶然にも会社時代の先輩に会い、せっ

かくだからと飲みに行った。彼の個人史も大変だったことが想像

出来た。私たちはいつもそんな風に暮らしている。                                      

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by obinborn | 2017-12-04 17:29 | one day i walk | Comments(0)  

追悼:ロバート”ポップ"ポップウェル〜今まで本当にありがとうございました!

素晴らしいベーシスト、ロバート”ポップ”ポップウェルの訃報
を受けていささか動揺している。主にジャズ/フュージョン方面
で活躍した人であり、クルセイダーズのメンバーとして知られ
る。そこら辺は詳しい方々にお譲りするとして、ぼくがポップ
ウェルの死で真っ先に思い浮かべたのが、ロン・ウッドの79年
作『ギミ・サム・ネック』だった。本作でロンが選択したのは
ポップウェル=チャーリー・ワッツというちょっと意外なリズ
ム・コンビ。ところがこの起用がハマりにハマった!例によっ
てチャーリーのドラミングは”シンプル・イズ・ベスト”を地で
行くのだが、そこにやや洗練されたポップウェルのベースが柔
らかい輪郭を描いてゆく。そこら辺の匙加減がサイコー!なの
だ。

本作では面白いことにドラムスの名手、ジム・ケルトナーをあ
えてパーカッション役(しかも2曲のみ)に留め、チャーリー
とポップウェルのコンビネイションを特化させている。ここら
辺の審美眼というか直感的なサムシングに、ぼくはロニーなら
ではの見識を感じずにはいられない。『俺と仲間』『ナウ・
ルック』と傑作が2枚続いた後だけに、ロニーのアルバムの
なかではそれほど評価されていないけれども、粗めのグルーヴ
に賭けていくかのようなバンド・アンサンブルはここだけのも
の。ポップウェルの死を受け、普段よりもベースの動きを中心
に聞いていると、かなり美味しくレンジの広い艶のあるベース
を弾いていることがよく解る。

とかくウィルトン・フェルダーの陰に隠れがちだったポップウ
ェルだったけれども、この『ギミ・サム・ネック』での名演を
残してくれただけでもリスペクトに値することだろう。ポップ
ウェルさん、今まで本当にありがとうございました。オイラは
あなたのことを忘れません。


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by obinborn | 2017-12-01 22:11 | rock'n roll | Comments(0)  

追悼:ロバート”ポップ"ポップウェル〜今まで本当にありがとうございました!

素晴らしいベーシスト、ロバート”ポップ”ポップウェルの訃報
を受けていささか動揺している。主にジャズ/フュージョン方面
で活躍した人であり、クルセイダーズのメンバーとして知られ
る。そこら辺は詳しい方々にお譲りするとして、ぼくがポップ
ウェルの死で真っ先に思い浮かべたのが、ロン・ウッドの79年
作『ギミ・サム・ネック』だった。本作でロンが選択したのは
ポップウェル=チャーリー・ワッツというちょっと意外なリズ
ム・コンビ。ところがこの起用がハマりにハマった!例によっ
てチャーリーのドラミングは”シンプル・イズ・ベスト”を地で
行くのだが、そこにやや洗練されたポップウェルのベースが柔
らかい輪郭を描いてゆく。そこら辺の匙加減がサイコー!なの
だ。

本作では面白いことにドラムスの名手、ジム・ケルトナーをあ
えてパーカッション役(しかも2曲のみ)に留め、チャーリー
とポップウェルのコンビネイションを特化させている。ここら
辺の審美眼というか直感的なサムシングに、ぼくはロニーなら
ではの見識を感じずにはいられない。『俺と仲間』『ナウ・
ルック』と傑作が2枚続いた後だけに、ロニーのアルバムの
なかではそれほど評価されていないけれども、粗めのグルーヴ
に賭けていくかのようなバンド・アンサンブルはここだけのも
の。ポップウェルの死を受け、普段よりもベースの動きを中心
に聞いていると、かなり美味しくレンジの広い艶のあるベース
を弾いていることがよく解る。

とかくウィルトン・フェルダーの陰に隠れがちだったポップウ
ェルだったけれども、この『ギミ・サム・ネック』での名演を
残してくれただけでもリスペクトに値することだろう。ポップ
ウェルさん、今まで本当にありがとうございました。オイラは
あなたのことを忘れません。


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by obinborn | 2017-12-01 22:11 | rock'n roll | Comments(0)  

追悼:ロバート”ポップ"ポップウェル〜今まで本当にありがとうございました!

素晴らしいベーシスト、ロバート”ポップ”ポップウェルの訃報
を受けていささか動揺している。主にジャズ/フュージョン方面
で活躍した人であり、クルセイダーズのメンバーとして知られ
る。そこら辺は詳しい方々にお譲りするとして、ぼくがポップ
ウェルの死で真っ先に思い浮かべたのが、ロン・ウッドの79年
作『ギミ・サム・ネック』だった。本作でロンが選択したのは
ポップウェル=チャーリー・ワッツというちょっと意外なリズ
ム・コンビ。ところがこの起用がハマりにハマった!例によっ
てチャーリーのドラミングは”シンプル・イズ・ベスト”を地で
行くのだが、そこにやや洗練されたポップウェルのベースが柔
らかい輪郭を描いてゆく。そこら辺の匙加減がサイコー!なの
だ。

本作では面白いことにドラムスの名手、ジム・ケルトナーをあ
えてパーカッション役(しかも2曲のみ)に留め、チャーリー
とポップウェルのコンビネイションを特化させている。ここら
辺の審美眼というか直感的なサムシングに、ぼくはロニーなら
ではの見識を感じずにはいられない。『俺と仲間』『ナウ・
ルック』と傑作が2枚続いた後だけに、ロニーのアルバムの
なかではそれほど評価されていないけれども、粗めのグルーヴ
に賭けていくかのようなバンド・アンサンブルはここだけのも
の。ポップウェルの死を受け、普段よりもベースの動きを中心
に聞いていると、かなり美味しくレンジの広い艶のあるベース
を弾いていることがよく解る。

とかくウィルトン・フェルダーの陰に隠れがちだったポップウ
ェルだったけれども、この『ギミ・サム・ネック』での名演を
残してくれただけでもリスペクトに値することだろう。ポップ
ウェルさん、今まで本当にありがとうございました。オイラは
あなたのことを忘れません。


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by obinborn | 2017-12-01 22:11 | rock'n roll | Comments(0)