佐野元春&ザ・コヨーテ・バンドの新作『Maniju』に寄せて

綺麗な花束を携えた彼女。でもよく見てみると目には涙を
浮かべている。いわば華美な外見と孤独な内面。それは今
という時代に生きるぼくやきみ、彼や彼女の肖像ではない
だろうか?そんなことを思いながら、佐野元春&ザ・コヨ
ーテ・バンドの新作『Maniju』を聞いた。胸を撃ち抜くメ
ロディが幾つかの起伏を伴いながら、言葉たちを丁寧に運
んでいく。言葉にならないもの、さっき交わしたばかりの
会話から零れ落ちてしまったものさえも、佐野は目線を下
げながら、そっと掬い上げていく。

『COYOTE』『ZOOEY』『BLOOD MOON』と続いた”コ
ヨーテ三部作”は、大震災以前と以降を束ねるようなシリア
スな内容だった。そんな観念を前提にしつつも、本作『M
aniju』が開示するのはもう少し能動的な世界観だ。ビート
ルズからトラフィックもしくはXTCへと連なっていく色彩
感溢れるサウンド・デザインがあり、それらの音と言葉た
ちは、まるで10代の日々のように瑞々しく戯れ合っている。

世界は今日も悪意に満ち、きみを傷付け貶める。根拠のな
いSNSでの噂はどうだろう?そこに蠢く暗闇に突き落とさ
れるな。自分自身の目と手で感じてごらん。佐野元春が今
日も訴えるのはそういうことだ。『Maniju』の彼方にはな
だらかな丘が広がっている。朝露のような生命の息吹きが
ある。そして夕暮れ時にはいつも詩人たちが祈りを捧げて
いる。


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# by obinborn | 2017-07-20 18:38 | rock'n roll | Comments(2)  

スマイリー・ルイスの影が伸びてゆく

それでもニューオーリンズで一番好きなシンガーと言えば、
私の場合スマイリー・ルイスにとどめを刺すだろう。ダウ
ンホーム・ブルーズの匂いを撒き散らす哀愁、発声を伸ば
すことで生まれる彼方の風景、デイヴ・バーソロミュー楽
団による濃密なジャンプ・サウンド...どれもが完璧に50年
代の彼の地の賑わいとロウダウンな気分の両方を期せずし
て表現しているのではないだろうか。

例えばエルヴィス・プレスリーのヴァージョンで有名なOne          Nightはどうだろう。スマイリーは「今宵はきみと一緒だよ」          という出だしから、You〜というフレーズの語尾を引っ張る。
それはまるで恋人に対する願いのように映る。またはダグ・
サームが演目に加えたSomedayにしても、スマイリーは歌
い飛ばしたりはせず、「いつかの日にか/きみは気が付くだ
ろう/そう、ぼくを失ってしまったことを」のラインに万感
の思いを込める。スローダウンされたテンポのなかで彼女に
懇願する。まるで別れのシーンを映写機で巻き戻す気分だ。

このようなブルーズ表現は、ときに説明的な歌詞や教訓的な
メッセージ・ソングよりも遥かに多くのことを語り掛けてく
る。スマイリーがOne NightやSomedayで言っていることを、
ノートに書かれる訳詞に表してもまるで面白くない。言葉は
発声や音楽を伴いながらもっと生き生きと伝わってゆく。そ
れはたとえ私たちが同じ母国語を共有しなくとも。夏の夕暮
れ時には、スマイリー・ルイスの自己告白のようなブルーズ
がよく似合う。伸びた陽射しのぶんだけ、影はより長くなり、
私たちにブルーズを今日も問い掛けていく。


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# by obinborn | 2017-07-13 17:30 | blues with me | Comments(0)  

スマイリー・ルイスの影が伸びてゆく

それでもニューオーリンズで一番好きなシンガーと言えば、
私の場合スマイリー・ルイスにとどめを刺すだろう。ダウ
ンホーム・ブルーズの匂いを撒き散らす哀愁、発声を伸ば
すことで生まれる彼方の風景、デイヴ・バーソロミュー楽
団による濃密なジャンプ・サウンド...どれもが完璧に50年
代の彼の地の賑わいとロウダウンな気分の両方を期せずし
て表現しているのではないだろうか。

例えばエルヴィス・プレスリーのヴァージョンで有名なOne       Nightはどうだろう。スマイリーは「今宵はきみと一緒だよ」       という出だしから、You〜というフレーズの語尾を引っ張る。
それはまるで恋人に対する願いのように映る。またはダグ・
サームが演目に加えたSomedayにしても、スマイリーは歌
い飛ばしたりはせず、「いつかの日にか/きみは気が付くだ
ろう/そう、ぼくを失ってしまったことを」のラインに万感
の思いを込める。スローダウンされたテンポのなかで彼女に
懇願する。まるで別れのシーンを映写機で巻き戻す気分だ。

このようなブルーズ表現は、ときに説明的な歌詞や教訓的な
メッセージ・ソングよりも遥かに多くのことを語り掛けてく
る。スマイリーがOne NightやSomedayで言っていることを、
ノートに書かれる訳詞に表してもまるで面白くない。言葉は
発声や音楽を伴いながらもっと生き生きと伝わってゆく。そ
れはたとえ私たちが同じ母国語を共有しなくとも。夏の夕暮
れ時には、スマイリー・ルイスの自己告白のようなブルーズ
がよく似合う。伸びた陽射しのぶんだけ、影はより長くなり、
私たちにブルーズを今日も問い掛けていく。


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# by obinborn | 2017-07-13 17:29 | blues with me | Comments(0)  

世界のすべての7月〜july,July

噂のサントリー「頂」を近所のスーパーで購入してきました。
別に可も不可もない単なる発泡酒でしたね(笑)にもかかわ
らずあれだけ巨額の広告費(賛否あれど)を投じる大企業さ
んには敵わないなあ〜と思いました。うちらは原稿用紙一枚
(400字)書いて2000円ですからな。住んでいる世界がもう
始めから違いますがな(笑)それでもオイラにはプライドが
ある。この自由な生活環境を守るための条件(バイトという
副収入やカミさんの理解w〜)を心得ているのでした。

オイラはただ自分らしく生きたいだけなんじゃ。嫌いな音楽
を褒めそやすことは出来ないし、招待券を貰った客席でぐっ
すり眠るような芸当も出来ましぇん。そうビルボード東京な
ど年に一度行けるかどうか(笑)でも、その分自分が好きな
音楽には全力を投じて書きたい、紹介したいという気持は誰
にも負けないと思っています。たまに政治や社会の問題に触
れることもありますが、それとて自分の感じたことを正直に
申告しているだけですからね。

マザーズの音楽には圧倒的な”自由”を感じてなりません。そ
こに加えれば、ユーモアの感覚、自虐的にならざるを得ない
自身の心映えでしょうか。何しろALL YOU NEED IS LOVE
(愛こそはすべて)が叫ばれた1967年に「俺たちに必要なの
は金だ!」とザッパは宣言したのですから。その透徹した
批評精神からぼくは多くのものを学びました。

ちなみに『本当の戦争の話をしよう』の著者、ティム・オ
ブライエンは『世界のすべての七月』で、主人公にこう語
らせます「一体何だって言うの?愛とか平和とか言う前に
あなたがまずしなくちゃいけないのは、良質な外科医の教
えを受けること。しっかりとした処方䇳を貰い適切な治療
を受けることなの」


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# by obinborn | 2017-07-10 18:08 | rock'n roll | Comments(2)  

音楽から友情が聞こえてくる

夕焼け楽団とオレンジ・カウンティ・ブラザーズは私にとって
聖域です。オレンジの谷口さんとの付き合いから何となく深い
ところまでお伺いすることが出来ました。かつてグリール・マ
ーカスはザ・バンドの『カフーツ』に関して「音楽から友情が
失われてしまった」と辛辣な見解を述べましたが、私が『ディ
キシー・フィーヴァー』なり『ソープ・クリーク・サルーン』
に関して思うのは「音楽から友情が聞こえてくる」です。ロニ
ー・バロンが全面参加というのも凄い!またいつかヨーマさん
と奥さんに会いに中央林間のパラダイス本舗に行きたいです!

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# by obinborn | 2017-07-09 19:10 | rock'n roll | Comments(0)  

7月6日のContiとサーディンヘッド〜音楽は鳴り止まない

6日は国立の地球屋にてContiとサーディンヘッドのツーマン・
ライブを堪能した。Contiはエレクトリック・シタールとドラ
ムスというユニークな編成でラーガ・ロックを決めまくる。
その丁々発止の演奏、のびのびとしたプレイはフォーマット
という悪癖に染まっていない”自由"そのものだった。

イマジネイティヴな音の螺旋階段という点ではサーディンヘ
ッドも負けていなかった。こちらは変拍子の嵐のなかを2本
のギターが彩り豊かに、かつフリーキーに音という抽象絵画
を描いていく。二つのバンドとも言葉という制約から逃れ、
音そのものの奔放さを放ち、聞き手それぞれへと委ねていく。
そんな暗黙の世界観でしっかり共通項を感じさせた。

もしブライアン・ジョーンズが今も生きていたら、Contiの
ようなスリリングなユニットを組んでいたかもしれない。
もしジェリー・ガルシアが存命だったら、きっとサーディン
ヘッドとのセッションに名乗りを上げていたことだろう。
無垢な音の粒が解き放たれ、天空へと舞い上がっていく。
誰もそれを侵すことは出来ない。そのひとつひとつをずっと
感じていたい。そんな気持のまま帰りの電車に乗った。

音楽は終わらない。たとえその土地が枯れたとしても。


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# by obinborn | 2017-07-07 00:54 | one day i walk | Comments(0)  

ウィングス『BAND ON THE RUN』を再訪する

久し振りに『BAND ON THE RUN』(MPL73年)を聞いて
います。言わずもがなではありますが、同アルバムからシ
ングル・カットされたJETは74年の2月に全米で第7位を記
録し、次のシングルBAND ON THE RUNは同年5月に堂々と
チャートの1位に輝きました。そんなブレイクスルー/起死
回生的な作品として、現在の評価はもう確固たるものがあ
りますよね。

バンド・メンバーに去られ、ポール&リンダ・マッカート
ニーとデニー・レインだけになってしまったウィングスは、
アフリカはラゴスでのレコーディング・ロケーションを敢
行します。彼らが何故アフリカに向かったのかは定かでは
ありませんが、60年代後半から70年代の前半にかけて、ジ
ンジャー・ベイカーのエア・フォースや、スティーヴ・ウィ
ンウッドのプロジェクト、サード・ワールドがアフリカ音楽
に挑戦したことを思い起こしてみましょう。ストーンズに
関しても「悪魔を憐れむ歌」で印象的なコンガを叩いている
のはガーナ出身のロッキー・デジューン(以降タージ・マハ
ール・バンドへ)でした。あるいはブライアン・ジョーンズ
の最後の報告がモロッコへの旅だったことも、示唆に富んで
います。そんな背景をぜひ思い起こして頂ければ。

本作でのウィングスの楽曲にアフリカ音楽からの影響が直接
反映されているわけではありません。それらしきポリリズム
もなければ、8/6で打ち鳴らされるリディムも皆無なのですか
ら。それでも例えばLET ME ROLL ITでゆったりとグルーヴ
する間合い、あるいはアクースティックな小品BLUEBIRDと        MAMUNAでのミニマルな音階の配列には何故か”アフリカ”を
感じてならないのです。


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# by obinborn | 2017-07-05 19:25 | one day i walk | Comments(0)  

安倍晋三の恐怖政治が終わる。時代は変わる

自民党の歴史的大敗。そのニュースを確認したのはDJ
を終えた帰りの電車のなかだった。これでいい。都民
Fの勢力にはいささかの疑念が残るものの、多くの有権
者が安倍晋三にノーを叩きつけたのだ。これからは安倍
下ろしが始まる。思えばあまりにも長い間、私たちはこ
の男の傲慢、無知、極端な右翼史観、物事に対して真摯
に向き合わない態度、稚拙、強欲に馴れ過ぎてしまった。
それにしても自民議席わずか23とは驚いた。私は38割れ
くらいは予想していたのだが。そして私たちは安倍晋三
の恐怖政治からやっと開放される。時代は変わる。

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# by obinborn | 2017-07-03 07:03 | Comments(0)  

ロッド・スチュワートの光と影

最初はアメリカ盤の”マンホール・ジャケ”で親しみました。
あれも路上という意味では悪くはありませんでしたが、サ
ニー・ボーイ・ウィリアムソンの『ダウン・アンド・アウ
ト』に似せたこちらに、より下町エレジーを感じたもので
す。ロッドのソロ第二作。フェイシズとの絡みでいえば彼
らが『ファースト・ステップ』を70年の3月にリリースし
たおよそ半年後の9月、この『ガソリン・アレイ』が発売さ
れました。フェイセズの一員としてワーナー・ブラザーズ
と契約を交わしつつも、一方ソロ・アーティストという立
場でマーキュリー・レコーズとライセンスしていたロッド
に二枚舌を感じるのは構いませんが、それだけ才能のある
シンガー/ソングライターだったことの証明では?とも思う
のでした。

事実この『ガソリン』でもバックを務めるのは、ロン・ウ
ッドg、ロニー・レインb、イアン・マクレガンkbd、ケニ
ー・ジョーンズdsといったフェイセズのメンバーばかりで
あり、彼らが契約に縛られず仲間とともに音楽活動をして
いた様子が計らずも明かされていきます。タイトル・トラ
ックの「ガソリン・アレイ」はスチュワート=ウッド作の
新しいトラッドでしたし、続くヴァレンチノズの「イッツ
・オール・オーバー・ナウ」には、R&B好きのロッドしか
もサム・クックの弟子であったボビー・ウーマックへの愛
がひしひしと伝わってきます。変化球として「ガソリン」
のフレーズを混ぜる茶目っ気もロッドならではのユーモア
でしょう。

アルバムはさらにボブ・ディランの「オンリー・ア・ホー
ボー」スモール・フェイセズのマリオット=レイン曲「マ
イ・ウェイ・オブ・ギビング」トーピン=ジョンの名曲「
カントリー・コンフォート」エディ・コクランの「カット
・アクロス・ザ・ショーティ」へと飛躍していきます。ま
たロッドが手掛けた「レディ・デイ」「ジョーの悲劇」の
哀愁はたまらないものがあります。とくに後者はのちにロ
ッドが自作する「キリング・オブ・ジョージー」に通じる
フォーキーな味わいとストーリーを言い伝える確かさを感
じずにはいられません。スワンプ・ロッカーのアラン・ガ
ーバーが在籍していたライノセルズの「アイ・ドント・ウォ
ント・ディスカス・イット」もすごくいい仕上がりですね。
これはデラニー&ボニー&フレンズも『オン・ツアー』で
演奏していました。

こうして『ガソリン・アレイ』を土曜日の夕方に聞いてい
ると、何ともたまらない気持になってきます。放埒な若者
の感情吐露というよりは、もっと実感を伴った何かを感じ
てならないのです。それは自分のガソリン・アレイから、
ちっぽけで寂しい町のなかから、しっかり世界のありかを
探していったロッド・スチュワートの影絵に他なりません
でした。陽気を気取るほど、町一番のロックンローラーを
着飾るほど、むしろ逆にロッドの孤独が見えてくる。華や
かなステージとは裏腹なバックステージでの悲しみが染み
亘ってくる。

ぼくにとってロッド・スチュワートとはまさにそんな肖像
でした。


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# by obinborn | 2017-07-01 18:26 | rock'n roll | Comments(0)  

小尾隆が選ぶロック・アルバム99枚!

1 ロッド・スチュワート『ガソリン・アレイ』
2 ロン・ウッド『ナウ・ルック』
3 ロニー・レイン『スリムチャンス』
4 イアン・マクレガン『バンプ・イン・ザ・ナイト』
5 フェイシズ『馬の耳に念仏』
6 クリーデンス『コスモス・ファクトリー』
7 グリース・バンド『ファースト』
8 ヘンリー・マカロック『マインド・ユア・オウン〜』
9 ジェシ・エド・ディヴィス『ウルル』
10 レオン・ラッセル『カーニー』
11 タージ・マハール『ナッチェル・ブルース』
12 グラム・パーソンズ『GP』
13 ドノヴァン『ライヴ・イン・ジャパン』
14 エディ・ヒントン『ヴェリー・エクストリミナリー〜』
15 アル・クーパー『アイ・スタンド・アローン』
16 ジェフ・マルダー『スリーピーマン・ブルース』
17 ライ・クーダー『紫の渓谷』
18 ジム・ディキンソン『ディキシー・フライド』
19 リトル・フィート『ファースト』
20 ウォーレン・ジヴォン『さすらい』
21 ローラ・ニーロ『ゴナ・テイク・ア・ミラクル』
22 ジョン・セバスチャン『ターザナ・キッド』
23 ピーター・ゴールウェイ『オハイオ・ノックス』
24 フィフス・アヴェニュー・バンド
25 ラヴィン・スプーンフル『デイ・ドリーム』
26 ルー・リード『ニューヨーク』
27 ニール・ヤング『今宵その夜』
28 ニルス・ロフグレン『クライ・タフ』
29 マレイ・マクロラン『スウィーピング・ザ〜』
30 ブルース・コバーン『雪の世界』
31 ジョン・ハイアット『ブリング・ザ・ファミリー』
32 ダグ・サーム『ヘル・オブ・ザ・スペル』
33 ロギンス&メッシーナ『シッティン・イン』
34 キンクス『マスウェル・ヒルビリーズ』
35 エリック・アンダーソン『ブルー・リバー』
36 トニー・ジョー・ホワイト『トレイン・アイム・オン』
37 ドニー・フリッツ『プローン・トゥ・リーン』
38 サー・ダグラス・クィンテット『メンドシーノ』
39 トム・ウェイツ『ハート・オブ・サタディナイト』
40 ローリング・ストーンズ『ナウ!』
41 ジョージ・ハリソン『オール・シングス・マストパス』
42 ジム・パルト『アウト・ザ・ウィンドウ』
43 ジーン・クラーク『ホワイト・ライト』
44 キース・リチャーズ『トーク・イズ・チープ』
45 ビートルズ『ホワイト・アルバム』
46 リンゴ・スター『ボウカップ・オブ・ブルース』
47 ベターデイズ『イット・オール・カムズ・バック』
48 ドクター・ジョン『ライトプレイス、ロングタイム』
49 ロニー・バロン『ファースト』
50 ザ・バンド『ブラウン・アルバム』
51 トラフィック『ミスター・ファンタジー』
52 スティーヴ・ウィンウッド『ナイン・ライヴス」
53 マイク・フィニガン『ファースト』
54 リンディスファーン『フォグ・オン・ザ・タイン』
55 ラブ・ノークス『レッド・バンプ・スペシャル』
56 エルヴィス・プレスリー『イン・メンフィス』
57 デレク&ザ・ドミノス『レイラ』
58 カーレン・ダルトン『イン・マイ・オウン・タイム』
59 ジョニ・ミッチェル『ブルー』
60 キャロル・キング『ライター』
61 ジェイムズ・テイラー『スウィート・ベイビー〜』
62 ダスティ・スプリングフィールド『イン・メンフィス』
63 ブルース・スプリングスティーン『セカンド』
64 ジャクソン・ブラウン『レイト・フォー・ザ・スカイ』
65 リチャード&リンダ・トンプソン『ファースト』
66 ディック・ゴーハン『ノーモア・フォーエヴァー』
67 ケイト&アンナ・マクギャリカル『ファースト』
68 カープ
69 ブルー・ジャグ『ファースト』
70 ブリンズレー・シュウォーツ『銀の拳銃』
71 エッグス・オーバー・イージー『グッドン・チープ』
72 ジェリー・リー・ルイス『ロンドン・セッション』
73 サンディ・デニー『海と私のねじれたキャンドル』
74 フォザリンゲイ『ファースト』
75 ボブ・ディラン『血の轍』
76 ジョン・プライン『ファースト』
77 ボビー・チャールズ『ベアズヴィル・アルバム』
78 ロス・ロボス『ハウ・ウィル・ザ・ウルフ〜』
79 フレッド・ニール『ブリーカー&マクドール』
80 ティム・ハーデン『セカンド』
82 トニー・コジネック『バッド・ガール・ソングス』
83 トッド・ラングレン『ラント:ザ・バラッド・オブ』
84 ニック・ドレイク『ファイヴ・リーヴス・レフト』
85 バート・ヤンシュ『バースディ・ブルース』
86 デラニー&ボニー『モーテル・ショット』
87 ジョージィ・フェイム『R&B アット・フラミンゴ』
88 ジェフ・ベック・グループ『オレンジ』
89 ニック・ロウ『インポッシブル・バード』
90 デイヴ・エドモンズ『ひとりぽっちのスタジオ』
91 マナサス『ファースト』
92 グレイトフル・デッド『アメリカン・ビューティ』
93 デイヴ・メイソン『アローン・トゥゲザー』
94 ハングリー・チャック
95 ホット・ツナ『バーガーズ』
96 ダン・ヒックス&ホットリックス『ラスト・トレイン』
97 アーロ・ガスリー『最後のブルックリン・カウボーイ』
98 ガイ・クラーク『オールドNO.1』
99 ヴァン・モリソン『ヴィードン・フリース』

*英米カナダの白人アーティストのみを対象にしました。
録音は64年から21世紀まで多岐に亘っていますが、自分
が曲目をすらすら言えるような盤を優先しました。そん
な意味では客観的なベストではなく、あくまで個人史と
して受け止めてくだされば幸いです(小尾)


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# by obinborn | 2017-07-01 12:53 | one day i walk | Comments(0)  

喫茶『なみま』の閉店に寄せて

江古田の喫茶店「なみま」が閉店した。先日そんな話を
S君から聞いたばかりだった。だから気になって今日の
仕事帰りに店へと寄ってみたところ、まったく偶然にも
残務処理中だったマスターと会話することが出来た。何
でも97年に開店されてから20年と2週間頑張ってきたけ
れど、近年食道癌を患い、立ち仕事もままならなくなっ
てしまった。綺麗好きで食器も人一倍洗浄しなければ気
が済まない性格なので余計に...とのお話を伺った。

思えばこの「なみま」でよく編集者たちと打ち合わせし
たっけ。味気ないチェーン店には求められない秘めやか
さがこの店にはあって、そんな空気が細かく作業を詰め
ていく時間に寄り沿ってくれた。互いにいいアイディア
をひねり出すための助走役となってくれた。元『ニュー
ミュージック・マガジン』のYさん、『ストレンジ・デイ
ズ』誌のMさん、『スタジオ・セロ』のKさん...などなど
こうして書いているうちにも様々な思い出が甦ってくる。

「なみま」のマスターは現在75歳とか。カメラと写真が
とにかくお好きな方で、店内には江古田の風景や草花を
撮られた綺麗な写真が額に収められていたっけ。ぼくの
江古田暮らしはもうすぐ36年めになるけれど、「なみま」
を失った喪失感は、きっとある日突然訪れることだろう。

マスター、今までありがとうございました。


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# by obinborn | 2017-07-01 12:17 | one day i walk | Comments(0)  

ハリー・ニルソン『夜のシュミルソン』を再訪する

今まで日本盤で親しんできた『夜のシュミルソン』の
U.K盤を購入した時は嬉しかったです。ゴードン・ジェ
ンキンスが39名にも及ぶオーケストラを指揮したこの
スタンダード集は、発売された73年当時大きな話題を
呼び起こしました。元々ニルソンはオールドタイムの
匂いが色濃く立ち込めるSSWでしたが、いよいよ本格
的にアービング・バーリンの「Always」やシルヴィア
・ファインの「Lullaby Of Ragtime」といった古き佳き
日の映画や演劇音楽に取り組んだのですから、普通の
ポップやロックを聞くようにニルソンに接してきた人
たちに驚きと新たな発見をもたらしました。

今日こそボブ・ディランがスタンダードの三部作を発
表し、それが優しく許容されている時代ですが、ニル
ソンが本作をリリースした73年当時は必ずしも好意的
に評価されたわけではありません。それでもこのアル
バムは心あるロック・ファンのなかで語り継がれてき
ました。それはミュージシャンにとっても同様だった
ようで、以降カーリー・サイモンの『トーチ』やドク
ター・ジョンの『イン・ア・センチメンタル・ムード』
といった優れたオーケストレーション・アルバムを生
み出すための種を蒔いていったのです。

同時代のフォークやロックだけではなく、自分の両親
あるいは叔父や叔母が親しんできた”古い音楽”に触れ
てみる。当時の時代背景を想像してみる。そんなニル
ソンの心映えこそを感じ取りたいものですね。なお本
作の続編として、88年には『A Touch More Schmilss
on In The Night』が発売されました。これは『夜のシュ
ミルソン』で没にされたアウトテイクや惜しくも『夜』
の候補から外されてしまった未発表曲からなる作品集で
す。

それでも完成度はかなりの水準であり、73年の3月15日
から22日までロンドンのCTSミュージック・センター
で行われたレコーディングがいかに充実していたかが
良く解ります。弦楽器の繊細なピチカート、ホーンズ
の控えめではあるけれど豊かな鳴り、そしてハリー・
ニルソンの天使のようなヴォイシング。それらは毎日
繰り返される辛い労働の対価となり、処方箋となり、
そして満天に輝く星々の如く、傷付いた多くの人々の
心に寄り添っていきます。そう、すっかり崩れバラバ
ラになってしまったパズルを紐解くように。


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# by obinborn | 2017-06-30 17:42 | one day i walk | Comments(0)  

ポップ・チャートをかすりもしなかったチャック・ベリーの重要な2曲

音楽雑誌のチャック・ベリー追悼特集が一通り出そろった
みたいだ。『ギター・マガジン』『レコード・コレクター
ズ』そして『ブルース&ソウル・レコーズ』どれも執筆者
の熱が込められた素晴しい内容だと思う。自分が知ってい
ることもあれば、知らなかったこともあった。そのなかで
とくに印象深かったのは、『ブルース&ソウル』誌に於け
る日向一輝氏の考察である。

56年9月にリリースされたToo Much Monkey Business c/w
Brown Eyed Handsome Manのシングルは、R&Bチャート
でそれぞれ4位/5位と輝かしい業績を誇ったものの、ポップ
チャートではランクインさえしていない。ベリーにしては
珍しいことだ。方や「インチキ・ビジネスにはもううんざり」
とのボヤキ節(元祖ラップ)で若者たちの鬱憤を代弁した。
もう一方は直接的な表現は避けているものの、暗に茶褐色の
チカーノ(ラティーノ)が生き辛い世の中を、公民権運動の
時代に重ね合わせている。

その2曲がポップ・チャートにかすりもしなかったこと。そ
の”含み”に50年代後半のアメリカの現実が映し出される。音
楽の文章を読んでいて刺激を受けるのは、いつもそんな時だ。


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# by obinborn | 2017-06-28 19:51 | rock'n roll | Comments(0)  

6月25日の木下弦二

25日は木下弦二のソロ・ワンマン・ライブを高円寺のペリ
カン時代にて。まるで青年がそのまま大人になったような
無垢な声とギターに酔いしれた。写真に映っている木下の
シグネチャーとなるセミアコではなく、今回はアクーステ
ィック・ギターを用いての弾き語りであり、まるでアント
ニオ・カルロス・ジョビンからカエターノ・ヴェローゾへ
と連なっていくブラジル音楽のような、豊潤な音楽世界が
瑞々しかった。そう、この人にいつも感じるのはカエター
ノに似た音楽的な引き出しのことだ。

2時間半ほど、きっと25曲以上歌ったのではないだろうか。
うずまき時代の初期作「おいのりのうた」もあれば、彼が
「今一番歌いたい」と前置きした新曲の「Dark Matter」あ
るいは、あの懐かしいポリスの「孤独のメッセージ〜Mess
age In The Bottle」やジョン・レノンの「ジェラス・ガイ」
が終盤に飛び出し、荒井由実の「翳りゆく部屋」や太田裕
美の「木綿のハンカチーフ」が、不意打ちのように聞き手
たちの心の奥底を揺さぶっていく。

そんな場面の連続だった。音楽が古いとか新しいとかでは
なく、どれだけ人々の記憶に留まるか。まるで俳句のよう
に研ぎ澄まされた「またあおう」や東京ローカル・ホンク
の代表曲「遠い願い」を耳にすると、木下弦二という希有
なソングライターの骨格に触れる思いがする。その歌は今
日も普段の暮らしのなかに染み込み、昨日とそれほど変わ
り映えしない町の景色を彩り、人と人との交差点や分岐点
をそっと照らし出す。


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# by obinborn | 2017-06-26 00:14 | 東京ローカル・ホンク | Comments(0)  

6月25日の木下弦二

25日は木下弦二のソロ・ワンマン・ライブを高円寺のペリ
カン時代にて。まるで青年がそのまま大人になったような
無垢な声とギターに酔いしれた。写真に映っている木下の
シグネチャーとなるセミアコではなく、今回はアクーステ
ィック・ギターを用いての弾き語りであり、まるでアント
ニオ・カルロス・ジョビンからカエターノ・ヴェローゾへ
と連なっていくブラジル音楽のような、豊潤な音楽世界が
瑞々しかった。そう、この人にいつも感じるのはカエター
ノに似た音楽的な引き出しのことだ。

2時間半ほど、きっと25曲以上歌ったのではないだろうか。
うずまき時代の初期作「おいのりのうた」もあれば、彼が
「今一番歌いたい」と前置きした新曲の「Dark Matter」あ
るいは、あの懐かしいポリスの「孤独のメッセージ〜Mess
age In The Bottle」やジョン・レノンの「ジェラス・ガイ」
が終盤に飛び出し、荒井由実の「翳りゆく部屋」や太田裕
美の「木綿のハンカチーフ」が、不意打ちのように聞き手
たちの心の奥底を揺さぶっていく。

そんな場面の連続だった。音楽が古いとか新しいとかでは
なく、どれだけ人々の記憶に留まるか。まるで俳句のよう
に研ぎ澄まされた「またあおう」や東京ローカル・ホンク
の代表曲「遠い願い」を耳にすると、木下弦二という希有
なソングライターの骨格に触れる思いがする。その歌は今
日も普段の暮らしのなかに染み込み、昨日とそれほど変わ
り映えしない町の景色を彩り、人と人との交差点や分岐点
をそっと照らし出す。


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# by obinborn | 2017-06-26 00:14 | 東京ローカル・ホンク | Comments(0)  

モーリー・ミューライゼン「もう時間がないよ」

73年9月20日のことでした。ジム・クロウチと彼のOne Man
Bandを乗せた飛行機は、ルイジアナでの公演に向かうべく出
発したのですが、離陸に失敗しクロウチと彼のギタリストで
あるモーリー・ミューライゼンの命が永遠に奪われてしまう
惨事となってしまいました。クロウチが所属するabcレコーズ
は、彼の新曲Time In A BottleがTVドラマ『She Lives』に使用
され親しまれてきたにもかかわらず、シングル・カットするの
を躊躇していました。クロウチたちの訃報を受けてabcは急遽
Time In A Bottleをリリース。皮肉なことにこの曲はクロウチの
死後、73年も暮れかけようとしてしていた12月に全米第一位を
記録します。彼にとっては「リロイ・ブラウンは悪い奴〜Bad
Bad Leroy Brown」(73年の6月に全米一位)に続く特大級ヒ
ットとなりました。

クロウチとともに飛行機に乗っていたモーリー・ミューライ
ゼンのことに触れておきましょう。彼はクロウチのバンドに
雇われる以前、70年にキャピトル・レコードと契約。ソロ・
アーティストとして『MAURY MUEHLEISEN』(Capitol ST
644)を発表しています。東海岸の俊英デヴィッド・ブロム
バーグやエリック・ウェスズバーグらが全面的に協力したフ
ォーキーで優れたアルバムでした。繊細な歌声と卓越したギ
ター、そして何よりソングライターとしての才能の閃きが感
じられます。

クロウチとともに事故に遭った73年の9月、ミューライゼン
はまだ24歳になったばかりの若者でした。アルバムに添えら
れたブックレットにはこんな直筆が残されています「ぼくの
両親に捧げます/また滞在時間のために/そしてナンシーへ/
でもこれは”愛”なんかじゃないんだよ」(モーリー)アルバ
ムの最後にはI Have No Timeという曲が置かれています。

「ぼくに時間があったら/どうか朝日が昇る時に立ち会わせて
おくれ/きみの心を知ることが出来たなら/夕暮れ時まで安息し
たいよ/ぼくたちは休日を得た/とても大事なホリディさ/でも
ぼくにはもう時間がない/まったく時間がないんだ/子供の頃は
世界はおもちゃのようなものだと信じていた/でもある日突然
きみがやって来た/もしもぼくに時間があったなら/きみのため
に別の歌を歌おう/知っているでしょう?/ぼくがいつでもきみ
のところに戻っていくことを」(I Have No Time)


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# by obinborn | 2017-06-23 13:20 | one day i walk | Comments(0)  

6月22日の東京ローカル・ホンク

22日は東京ローカル・ホンクのワンマン・ライブを渋谷の
B.Y.Gにて。聞き馴れた歌があった。数回めに接する新し
い曲もあった。その一つ一つが初めて聞く音楽のように響           き渡り、染み込んでいく。時にホンクの歌は一番触れて欲           しくない部分、もっと正確に言えば、毎日の慌ただしい暮
らしのなかで避けて通っているところを、容赦なく照らし
出す。例えばこの夜オープニングに選曲された『ハイウェ
イソング』はどうだろう。その歌にはこんな一節がある「
いくつも通り過ぎていく/分岐点と交差点/一生にたぶん一
度だけすれ違う旅人たち/闇を突き抜ける光になって飛んで
いきたい/夜が終わるところまで」

柔らかい音像とともにそれらの歌詞が、今日も生きてくる。
あるいは生かされているという実感とともにぼくがおざな
りにしてきた過去や今現在に迫る。そう、いつまでも枕元
に残ったままずっと癒えない古傷のように。弾力があるベ
ース、まるでもうひとつの歌のように背後から打ち鳴らさ
れるスネアのワンショット、あるいは巣立ちする鳥のよう
に舞い上がっていく二本のギター。それらひとつひとつを
愛でずにはいられない一夜だった。


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# by obinborn | 2017-06-23 04:22 | one day i walk | Comments(0)  

ステイプル・シンガーズ I'LL TAKE YOU THERE

ステイプル・シンガーズとの出会いは映画『ワックタックス』
でのことでした。その際に彼らが歌ったOha-La-De-Laが抜群
のゴスペルで、それほど間を置かずに英ロックのハンブル・パ
イがカバーしたこともステイプルズへの興味を繋げてくれまし
た。そんな彼らの代表作が『BE ALTITUDE:RESPECT YOURS
ELF』(STAX 72年)です。制作はスタックスを70年代に導い
た功労者アル・ベル。テネシー州エリアの彼はステイプルズを
アラバマ州のマスル・ショールズまで連れていき、レコーディ
ングを行いました。そんな音楽的な冒険心が嬉しいですね。例
えば彼ら最大のヒット曲I'LL TAKE YOU THERE(72年4月に全
米1位)ではレゲエの跳ねるリディムが強調されていますし、
歌とギターとの掛け合いのなかで「もっと弾いて!」とメイヴ
ィス・ステイプルがエディ・ヒントンに語りかける場面もたま
らないスリルとなっています。アルバム表題には『志を高く:
あなた自身を大事に』と掲げられ、60年代から脈々と続く公民
権運動を持続せんとする意志を感じ取ることが出来ます。とこ
ろで彼らは以降76年に映画『ラスト・ワルツ』に出演。ザ・バ
ンドの名曲THE WEIGHTを見事にゴスペル化したヴァージョン
が高く評価されました。いわばTHE WEIGHTの芯にあるものを
探り当てたわけです。そんなゴスペルとロックとの幸せな結婚
から学ぶものは少なくない。今はそんなことを思っています。

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# by obinborn | 2017-06-22 01:41 | one day i walk | Comments(0)  

グラム・パーソンズ『GP』

今日も進歩しないおびっちはグラム・パーソンズ『GP』
(73年 Reprise)を聞いています。ザ・バーズ『ロデオ
の恋人』に参加したグラムは68年の英国ツアーの際、ロ
ンドンでストーンズとくにキース・リチャードと仲良く
なり、彼らにカントリー音楽の素晴しさを教えました。
また帰国してからは、やはりザ・バーズを脱退したばか
りのクリス・ヒルマンと意気投合してフライング・ブリト
ー・ブラザーズを結成します。しかしグラムは2枚のア
ルバムを発表後またもやバンドから離脱し、いよいよソ
ロ活動に備えました。その最初の成果が『GP』です。

収録曲をチェックしていくとオリジナルに混ざって、ボビ
ー・ベアのSTREET OF BALTIMORE、カール&パール・
バトラーのWE'LL SWEEP OUT THE ASHES IN THE MOR
NING、ジーン・ピットニーとジョージ・ジョーンズがデュ
オで歌ったTHAT'S ALL IT TOOKと3曲も正調ホンキー・ト
ンク・スタイルのカントリーを取り上げているのが興味深い
ですね。グラムの場合はクラレンス・ホワイトと違い、あ
まりブルーグラスには興味を覚えなかったみたいです。こ
こら辺はヴォーカリスト= GPとギタリスト=クラレンス
の立ち位置の違いを計らずも示しているような気がします。

カバーといえば意外なことにJ.ガイルズ・バンドのCRY ON
E MORE TIMEを歌っているのが面白いです。彼らが71年の
『MORNING AFTER』で発表したウルフ=ジャストマンの
書き下ろしでした。ここら辺はストーンズとの交流同様に
グラムがロック世代であることを物語るものでしょう。彼
のオリジナルでは単独で書いたA SONG FOR YOUとTHE
NEW SOFT SHOEのバラード2曲が秀逸で、憂いのあるヴォ
ーカルが一段と映えています。またフライング・ブリトー
時代の盟友クリス・エスリッジ(L.Aゲッタウェイ、FBB、
ライ・クーダー・バンド)との共作SHEは、ブッカー・T・
ジョーンズ&プリシア・クーリッジがカバーしています。
その盤にクリスがベースで参加している関係で「ちょっと
オレらの曲いいでしょ?使ってみる?」なんて会話があった
のかもしれませんね。そんな想像が音楽の楽しさです。カ
バーと言えばエルヴィス・コステロも本作からSHEと、HO
W MUCH I'VE LIEDを採用。またFBB時代にグラムとクリス
・エスリッジが作ったHOT BURRITO#2(I'M YOUR TOY)
を歌うなど、かなりの愛情を寄せています。

『GP』自体の音楽性は多くの曲でエミルー・ハリスとデュ
エットするなど、カントリー音楽の伝統のひとつ二重唱へ
の敬意が汲み取れます。70年代前半は数多くのカントリー
・ロックが生まれましたが、こういうクローズ・ハーモニ
ーにまで本格的にアプローチした者はあまりいなかったと
記憶しています。先ほど触れたホンキー・トンク・スタイル
(バック・オウエンズやマール・ハガードらのベイカーズ・
フィールド・カントリー)の実践然りです。

最後に余談ですが、78年にローリング・ストーンズはもろ
ホンキー・トンク・スタイルの名曲FAR AWAY EYESを発表
するのですが、「俺は今ベイカーズ・フィールドに車を走ら
せている」という歌詞が泣かせます。つまり今は亡きグラム
への追悼の意が仄めかされているのです。とくに彼に捧ぐと
明記されているわけではありませんが、大袈裟なトリビュー
トではなく、”ちょっと気の利いたやり方”に胸が熱くなって
しまいました。たぶんミックもキースもこの曲を書き上げた
時は達成感があったんじゃないでしょうか。そんなことを思
い出しながらこの『GP』を聞く夕暮れ時です。

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# by obinborn | 2017-06-20 18:38 | one day i walk | Comments(0)  

午後6時過ぎのジム・パルト

ぼくのブログのほうにJIM PULTEについて教えてください
というコメントを頂いた。どれだけ彼にとって有益だった
かは心もとないのだが、自分がもうすっかりそういう役回
りになっていることを実感させられた。元々パルトは西海
岸の垢抜けないカントリー・ロック・バンド、サウスウィ
ンドでベースを担当していた人で、とくに目立った実績を
残したわけではないのだが、ソングライターとしての才能
を買われたのか、71年にユナイテッド・アーティスツ・レ
ーベルと契約し、初のソロ・アルバム『OUT THE WINDO
W』をリリースした。

このアルバムが話題になったのは、何と言ってもジェシ・
エド・ディヴィスが制作し、幾つかの曲で彼ならではのギ
ターを弾いていたからだろう。バックの演奏もリー・スク
ラー=ジム・ケルトナーによる骨のあるリズム隊を大きな
背骨としながら、ドクター・ジョンのピアノが踊り、ラリ
ー・ネクテル(ブレッド)が繊細に鍵盤を奏でるといった
素敵なものだった。加えて当時新進気鋭だったベン・シド
ランによるピアノ/オルガンの貢献といったら!

そんな子細の数々をアルバムのジャケットを眺めながら
音とともに反芻していった日々が懐かしい。とても雨期
とは思えないほど快晴だった夕暮れ時に、再び『OUT T
HE WINDOW』をレコード棚から取り出してみる。窓の
彼方には自分の影絵のようなものが映し出され、近くの
時計は、午後6時が過ぎたことを告げている。


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# by obinborn | 2017-06-19 18:26 | one day i walk | Comments(0)  

1975年のイーグルス

たまには原点に戻ってイーグルスを。昨年『文藝別冊』の
イーグルス特集に寄稿させて頂いたことはすごく嬉しかっ
たです。あれは確か75年の夏だったと思います。同じ高校
の友人と所沢から西武新宿線に乗り、新宿に出来たばかり
のブールヴァード通りを確かめに出掛けたのです。まだ『
スター・ウォーズ』や『未知との遭遇』が公開される遥か
以前のことです。それから馴れていない喫茶店でコーヒー
を飲み、今ではもう内容を忘れてしまった会話をしました。
何しろ鉛筆一本転がるだけで楽しかった頃でした。その帰
り道に偶然、イーグルスのTAKE IT TO THE LIMITが街角か
ら流れてきたのです。その歌はランディ・マイズナーによっ
てこう歌われていきます「もし明日すべてのパーツが粉々
に砕けてしまっても、きみはまだぼくの側にいてくれるか
い?ぼくをハイウェイの彼方に連れていって。何かの標識
が見えたらいいな」と。

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# by obinborn | 2017-06-18 17:58 | rock'n roll | Comments(0)  

ブリンズリー・シュウォーツ、幻のラスト・アルバムが発売された!

やっと届きました〜!ブリンズリーズ幻のラスト・アルバム!
簡単に曲をメモしておきましょう。WE CAN MESS AROUND
は作者ニック・ロウのヴァージョンが『ショウマンの悲劇』
で聞ける他、ザ・ルーモアがファーストで取り上げています。
ロウ=イアン・ゴムの名曲CRUEL TO BE KINDは初期の貴重
なもの。AS LOVERS DOはデイヴ・エドモンズがシングルの
B面に採用したロウ=エドモンズ曲。EVERYBODYはトミー・
ロウの歌でおなじみのオールディーズです。R&Bの曲として
はヴァレンチノズのチェス吹き込みIT'S ALL OVER NOW、
ウィリアム・ベル&ジュディ・クレイのスタックス録音PRI
VATE NUMBERがとくに光っています。またガーネット・シ
ムズの持ち歌として知られるI'LL TAKE A GOOD CARE OF
YOUも良いですね。これは近年のゴムがジェブ・ロイ・ニコ
ルズとの共演盤で歌っていました。

ロウ=ゴムの隠れた名曲GOD BLESS (WHOEVER MADE YO
U)などを聞いていると、長年に亘ってイアン・ゴムが本作の
アルバム化にこだわってきた理由が解るような気がします。
これは推測に過ぎませんが、CRUEL〜(恋する二人)が共作
にもかかわらず、ロウが先にソロ・アルバムで発表してし
まった悔しさもあったのではないでしょうか。ソングライタ
ーとしてゴムはロウ同様にブリンズリーズの音楽へと貢献し
てきました。そんな思いを汲み取りたいものです。

ブリンズリー・シュウォーツは『すべては終わった』を未発
表のまま、75年3月ロンドンのマーキー・クラブでのギグを
最後に解散しました。ニックはこう回想しています「もう
長髪のヒッピー・ロックの時代は終わりつつあったんだ。ぼ
くたちのバンドにしても、子供が生まれてツアーに出るのを
嫌がるメンバーも出てきた。あれが潮時だったのさ。ぼくは
まるで一人ぽっちで大地に立っている老人のような気持だっ
たんだよ」


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# by obinborn | 2017-06-18 13:31 | rock'n roll | Comments(0)  

フレッド・ニールのブルーズが風を切る

60年代前半のグリニッチ・ヴィレッジ。その活況はどれだけ
のものだっただろうか。以前デヴィッド・ブロムバーグが再
来日した際インタビューする機会があったのだけど、「ぼく
は大学を辞めてヴィレッジのフォーク・シーンにどっぷり浸
った」「ジェリー・ジェフ・ウォーカーと一緒にコーヒー・
ハウスで歌っていると、客席にはボブ・ディランがいたのさ。
彼が声を掛けてきたんだよ!」と懐かしそうに話してくれた。

フレッド・ニールの『ブリーカー&マクダガル』は、そんな
ヴィレッジの息吹を伝えるアルバムだろう。ジャケットには
寒さに負けずにブリーカー・ストリートとマクダガル通りの
交差点に立つフレッドの姿が映し出されている。片手に握っ
たギターケースだけは離すまいといった決然とした表情もい
い。フレッドの奏でる音楽はフォーク・シーンのなかで常に
異質であり尖っていたことだろう。12弦ギターの変則チュー
ニングによるモーダルな奏法はブルージーかつサイケデリッ
クな革新的なものだった。そんな彼に影響されて、ティム・
ハーディンやティム・バックレー、デヴィッド・クロスビー、
ジョニ・ミッチェルらがその才能を開花させていった。とく
にカーレン・ダルトンはフレッドと親しく、彼の代表曲Blues
On The Ceilingをデビュー・アルバムに吹き込むばかりか、
逆にフレッドが直々にライナーノーツを寄せるほど彼女に期
待を込めた。また震えるようなギターの響きはラヴィン・ス
プーンフルのザル・ヤノフスキーの奏法にも受け継がれてい
った。

今日こうして久し振りに『ブリーカー&マクダガル』を聞き
直すと、何だかたまらない気持になってくる。そういえば先
日惜しくも亡くなられた鈴木カツさんは事あるごとにフレッ

ドの素晴しさを語っていたっけ。ちょっと余談になってしま
うけれど、カツさんも妙な取り巻き連中に囲い込まれなけれ
ば、ぼくとの友好関係はもっと続いていただろう。そんなほ
ろ苦さを含めながら、今日もフレッドの風を切るようなブル
ースが聴こえてくる。街角に立つ青年は群れていない。たっ
た一人でこちらを向いている。


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# by obinborn | 2017-06-18 06:21 | blues with me | Comments(0)  

英国流ミクスチャー・ロックの雄、ファミリーの自由な世界

梅雨期にもかかわらず今日は夏みたいな陽気ですね。こういう
時は初期のビーチ・ボーイズでも聞けば快活な気持になるので
しょうが、いかんせん私はネクラ/ジメジメ/ナーバス三連発の
性格なので、そうは問屋が卸しません(笑)というわけで連日
英国変態ロックの雄ファミリーの音楽にハマっています。ファ
ースト『MUSIC IN A DOLL'S HOUSE』(68年)に続く彼らの
セカンドが『FAMILY ENTERTAINMENT』(69年)です。メン
バーはファースト同様、チャップマン=ウィトニーのソングラ
イティング・コンビを中心に、リック・グレッジb、ロブ・タ
ウンゼントds、ジム・キングkbd saxといった5人で、その後
のメンバー交代の兆候はまだ感じられませんが、グレッチはや
がてブラインド・フェイスに誘われ、また渡米してグラム・パ
ーソンズ『G.P』のプロデュースをグラムと共同で手掛けてい
くので、初期ファミリーの姿を捉えたという意味では厳密には
最後の作品になるかもしれません。前作を手掛けたデイヴ・メ
イソンとジミー・ミラー(ストーンズ、トラフィック)に代り、
ここではグリン・ジョンズ(ストーンズ、ザ・フー、スティー
ヴ・ミラー・バンドなど)がプロデュースを担当しています。

とにかくこれほどの変態ロックも珍しいでしょう。普通のスト
レートアヘッドなロックはせいぜいSECOND GENERATION
WOMANくらいで、あとはチャップマンのアクの強い声にメロ
トロンがドラマティックに被さったり、シタールが怪しく舞い
上がったりしながら、独自の演劇的なサウンドを盛り上げてい
きます。かと思えば以降の歩みを物語る米スワンプの温もりが
アクースティック・ギターやハーモニカ、バンジョーの響きの
なかに感じ取れます。またスティール・パンを使用した曲も
あるのですが、即陽気なカリプソになるはずもなく、大英博物
館の迷宮に誘うような摩訶不思議で重厚長大なミクスチャー・
ロックがこれでもかというくらい過剰に展開されていきます。
SUMMER '67という曲ではアラブ〜中近東の音階をオーケス
トレーションによって補強し、まるでレッド・ツェッペリンの
名曲「カシミール」を予見するかのようです。また中世趣味
という点ではクィーンの先駆かもしれませんね。

ときどき「チャップマンよ、きみは一体何をやりたいのかね?」
とツッコミを入れたくなる場面がなきにしもあらずですが、
彼に「これが俺たちのロックだ!」と言い返されたら頷くしか
ありません。思えばロックとは本来こういう自由な音楽であり、
黒人音楽からクラシックまで様々なエレメントの折衷に真価が
問われたものでした。またそんな創造力をレコード・カンパニ
ーが許容する風通しのいい時代でもありました。陰々滅滅とし
た暗〜いロックですが、聞いているとあら不思議、何だか勇気
が湧いてきました。そう、ロックは何をやってもいい音楽であ
り、アーティストは日々真っ白なキャンバスに向かって絵を描
いていけばそれでいいのです。マーケッティングに浸食されな
い領域。その”自由”を精一杯受け止めたい。そんな風にオビン
は思いましたとさ。

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# by obinborn | 2017-06-16 17:31 | rock'n roll | Comments(0)  

共謀罪に関するメモ

何か重要な事件や政局の動きがあった時、私は見解の違う新聞
を読み比べるようにしています。まあ今どき紙媒体としての新
聞にどれだけ影響力があるかは疑問ですが、それでも読まない
よりはマシでしょう。解りやすく言えば朝日・毎日VS読売・サ
ンケイといった具合にリベラルと保守の両論を知ることで自分
の意見を深めていくことが肝要かと思っています。

ところが、これを出来ない人達が案外多いようですね。ネット
を見ても、自分の気持を代弁してくれるテキストのみを紹介し、
違う見解には耳を傾けないのです。これは感心しません。まし
て「いいね!」してくれる同調者のみに優しくし、異なる立場
の人との付き合いを敬遠したり排除したりする態度では見聞を
広めることは恐らく難しいでしょう。

共謀罪法案に関して一言だけ言っておくと「ラインをするだけ
で捕まるよ」「戦前の治安維持法が復活だ」というプラカード
を見かけましたが、ちょっと針小棒大な気がしました。今回の
法案の骨子はいわば刑法の転換であり、国家を転覆するような
テロ等の案件について、今までは事件が実行されてから初めて
罰せられたものを準備段階で摘発するという大転換です。これ
をどう評価するか(しないか)を、識者の方々にはもう少し解
りやすく丁寧に説明して欲しかったです。逆に言えば旧態依然
とした感情論がとても多かった。

明日から暗黒時代がやって来るなんていう脅しに屈せず、昨日
までそうしてきたように私は”語って”いきます。ところで今度
の都議選が都民の一人として気になります。例えば小池さんが
共謀罪に関して明確にスタンスを打ち出せば、自民・公明との
対立軸がもっと鮮明になるのでは?とふと思うのでした。

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# by obinborn | 2017-06-16 06:17 | rock'n roll | Comments(0)  

ジェシ・エド・ディヴィス、再び

ジェシ・エドの『キープ・ミー・カミング』はお茶の水のデ           ィスク・ファイルで86年頃に買い、それ以来の大愛聴盤だ。
多分に顔見せ的なセッションに終始した英国録音のファース
トも好きだが、マイアミ録音のセカンド『ウルル』、LAのパ
ラマウント・スタジオで吹き込まれたサード『キープ〜』で
ジェシは格段の成長を遂げた。その一例としてリズム・セク
ションの強化が挙げられる。『ウルル』ではダック・ダン=
ジム・ケルトナーのコンビが大活躍して太いグルーヴを生み
出していたし、この『キープ〜』ではボブ・グラウブ=ケル
トナーにすべてを委ねることでビシッとした統一感を醸し出
している。いくらギターが優秀でもベースとドラムがアホだ
ったら音楽は成り立たない証だよね。ボブはのちにロッド『
アトランティック・クロッシング』で名を成した西海岸の中
堅どころのプレイヤーですわ。一曲めのBIG DIPPERがインス
トで始まり、次にジェシの飾らないヴォーカルが染みるShe'
s A Painへと連なっていく展開が考え抜かれている。BIG〜で
は多くの曲をジェシと共作したジョン・アンジェロのハーモニ
カに味がある。そのアンジェロが単独で書き上げたWHO PUL
LED THE PLUG?のゴスペル・フィーリング(&ライブ仕立て)
がじわりと染み入ったり。

個人的に一番グッと来るのはNATURAL ANTHEM(自然讃歌)
かな。スタジオ内でのメンバーの歓声から入り、一度イント
ロを失敗してやり直す部分まで克明に記録されている。過剰
にクリアかつピッチの補正ばかり行っている昨今の毒にも薬
にもならないポップ・ミュージックとは音楽の下地が違う。
きっとどこまでも自発的な演奏を重視したかったのだろう。
そんな優れたインスト曲だ。もう一曲オイラがとくに好きな
曲を挙げよう。それはアンドレ・ウィリアムズ作のBACON
FATで、この曲はサー・ダグラス・クィンテットが全国区に
羽ばたいていったファースト・アルバム『THE BEST OF SI
R DOUGLAS QUINTET』時のセッション(但しアルバム未
収録、シングルB面のみ)で録音している。またジェシの恩
人であるタージ・マハールも『GIANT STEP』で選曲した。
こんな接点が面白い。ちなみにアンドレはガレージ・ロック
愛好家から再評価されているブルーズマンで、ザ・フーもア
ンドレのDADDY ROLLING STONEを初期にカバーした。

自分なりにジェシ・エドが参加したレコードはジーン・クラ
ーク、ジム・プルト、ロジャー・ティリソンの”ジェシ三大
プロデュース作”を始めとして、アーロ・ガスリーの名盤『
最後のブルックリン・カウボーイ』からアルバート・キング
の『LOVE JOY』まで集め聞いてきたけど、それでもまだ足
りない部分はあるだろう。まして彼の出自となる黙示録的な
ネイティヴ・アメリカンの音と詩の朗読(ダブ・ポエットの
ようなもの)を理解出来ているかと言われれば心もとない。
それでもオイラは今日もまたジェシの人間味溢れる歌と、ま
るで肉声のようなギターに胸を焦がされ続けている。一音一
音に”言葉”を持たせた丁寧な運指、スライド・バーによる中
間音のアプローチ。そんな個性を知らされたのはジェシ・エ
ド・ディヴィスがまさに初めてだった。

「俺はビートルズじゃないぜ。ローリング・ストーンズのメ
ンバーでもない。だから俺は自分のブルーズを歌う。ただそ
れだけさ」アルバム『ウルル』に収録されたRED DIRT BOO           GIEで、ジェシはそう歌い出す。独立独歩の宣言。誰にも浸食
されない世界観。そうした思いが73年の『キープ・ミー・カ
ミング』へとしっかり受け継がれていった。


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# by obinborn | 2017-06-15 17:38 | one day i walk | Comments(3)  

追悼:ロザリー・ソレルズ

「アイダホ・ステイツマン」誌が伝えるところによると、
フォーク・シンガーのロザリー・ソレルズが亡くなった
らしい。彼女は60年代の中盤から活動し始め、ユタ・フ
ィリップスに認められフォーク・レガシー・レーベルと
契約。67年に『IF I COULD BE THE RAIN』をリリース
した。73年にはウッドストックで録音された『WHAT E
VER HAPPENED TO THE GIRL THAT WAS』(Paramo
nt)が、ロック・ファンからも注目を集めた。本作を制
作したマイケル・カスケーナは元々ジャズ畑の出身だが、
当時はボニー・レイットやエリック・カズそしてクリス・
スミザーを手掛けるなど、フォーク/ルーツ・シーンから
も重宝されるプロデューサーになっていた。ぼくもそう
した興味からソレルズの歌に接するようになったと記憶
する。

本作に収録されたゲイリー・ホワイト作のNobody'sは、
当時デヴィッド・ブロムバーグ・バンドも取り上げていた
曲で、その繋がりに興味を持った。また気骨あるフォーク
・ブルース歌手、ポール・ジェレミアのElegant Hoboを
初めて知ったのは、ここでのソレルズ・ヴァージョンが
最初だった。彼女の音楽に欠かせないミッチ・グリーン
ヒルの端正なギター、ハーヴェイ・ブルックスの抑制さ
れたベース、エリック・カズの知的なピアノがソレルズ
の歌を際立たせていた。

以降はフィロに移籍して『TRAVELIN' LADY』『ALWAY
S A LADY』『MOMENTS OF HAPPINESS』『TRAVELIN'
LADY RIDES AGAIN』など、より自然で良質なアルバムを
作った。世代的にはぼくの二周りほど上の人だったので
全面的に感情を託すような聞き方は出来なかったが、それ
でもヴィブラートの掛かった震えるような発声、たおやか
に大地を撫でていくような歌唱、暮らしや人々をじっくり
と見つめた多くの自作曲に惹かれ、ケイト・ウルフやメア
リー・マッカスリンら女性フォーキーたちとともに、ぼく
のターンテーブルの上で彼女のレコードは回り続けた。

きょうびフォーク・シンガーであり続けた行為は大変なこ
とだったと思う。それは実生活と歌とが乖離しない態度、
虚勢のなさ、私は星くずのように瞬きながら消えていく小
さなものなの、と静かに見つめる自己申告に他ならなかっ
た。彼女が教えてくれたものがあるとすれば、知られてい           ないものに真実が宿るとでも言いたげな心映えだろう。ソ
レルズが恩人のユタ・フィリップスと出会ったのは1965年
のソルト・レイク・シティだったという。彼女の歌は今そ
の土地に還っていくようだ。風が吹き、無数の花々が咲き、
蝶たちは昨日と同じように宙を舞っている。


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# by obinborn | 2017-06-14 05:01 | one day i walk | Comments(0)  

レコード整理とスティーヴ・イートン

今朝は皆さんにぼくのばっちい部屋をお見せしちゃったので、
午後から名誉挽回すべく力入れてレコ整理&掃除に取り組み
ました。同業の方なら実感して頂けると思いますが、ライナ
ー1本書くだけでも様々なレコ&書籍を取り出してくるわけ
です。それが先月は6本続き、おまけにDJ用に持ち出したLP
をそのまま放置していたので、まあごちゃごちゃは必至です
な。でも掃除して気分転換になって良かったです。自分で持
っているのを忘れていたSTEVE EATONの『HEY MR.DREA
MER』(Capitol 74年)が奥のほうから出てきたし。今聞き
始めたんですが、プレAORの素朴な雰囲気がいいですなあ〜。
マイケル・オマーチアン(kbd)やマイク・デイジー(g)
も参加しているから、当然のことながらゲイター・クリーク
〜ケニー・ロギンスとの接点もあったんでしょうね。そんな
想像をしながらの”聞き直し”が楽しいです。さあ、これから
ビールで乾杯です!🍺

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# by obinborn | 2017-06-13 17:00 | one day i walk | Comments(0)  

人生の漂流者たち


TWやFBを閲覧していると、みんなの人生が楽しく快活なのに
比べて自分がひどくつまらない毎日を送っているように錯覚し
てしまう。勿論実際には皆それぞれ孤独や焦燥を抱えながら生
きているのだろうが、情報が加速度を付けて迫ってくるSNSで
は美味しい料理、楽しいライブ、最新の映画といった話題が最
大公約数的に強調されることもあって、それに乗れない自分が
拒絶されたような気持になってしまうのだ。ところが多くの人
は毎日退屈な労働を繰り返し、休日でもそれほど娯楽に使うお
金があるわけではない。よほど能天気な人でない限りそうした
日々から思考を深めていく。人生の漂流者とはそういうものだ。


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# by obinborn | 2017-06-13 06:54 | one day i walk | Comments(0)  

ネット時代に問われる知性

『現在ビジネス』を読んでいたら、ネットの影響によりいつの

間にか”検索タイプ”の人が増え、自分の頭で思索を深める力が
弱まってしまったとの記事があった。また検索行為とは同時に
すぐ回答を求めがちな傾向と結びつきやすいため、余計に自分
自身で考える想像力が失われつつあるとも指摘されていた。以
前私はここで炎上ネタと大衆心理について書いたが、気に喰わ
ない相手に標的を定めて集中砲火し、一時のカタルシスを得る
のは(自戒を込めて)止めておいたほうがいい。

個人の思想/信条というものはそれぞれが育った時代や環境、あ
るいは近くにいた者の影響などが微妙に入り混ざりながら形成
されるものであり、直接話しをしたこともない他人がいとも簡
単にジャッジを下すのは傲慢だろう。ましてそのジャッジが有
名人によって為される場合は、それこそ自分では何も考えない
者がリツイや「いいね!」で付和雷同的に加担しながら一気に         増幅してしまう。例えば学園闘争の時代にイヤな思いを体験し

た者はそれがトラウマとなり、どうしても集団的な考え方とは
距離を置き、いつの間にか個人主義者の道を歩み始める。逆に
今という厳しい時代はデモに行って頭数になるのが一番現実的
な選択肢だと主張する者もいるだろう。

実はこのような話を先日居酒屋で交わしたのだが、直接膝詰め
て語り合うのはいいものだ。ちょっとしたすれ違いがあればす
ぐその場で是正出来る。物事を弁証法的に検証し俯瞰する力を
鍛えることが出来る。もっと平たく言うなら「ああ、そういう
見方もあるね!」「なるほど!」の世界だ。

ネット時代にはそれに向かう知性もまた同時に問われている。

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# by obinborn | 2017-06-13 05:39 | one day i walk | Comments(0)