もはや都市伝説となった出禁女にご用心!

今日は性悪女の話をしましょう。むろん実話です。音楽バー
ともなれば、知らない相手でも共通の話題があり近くに座っ
ていれば二言三言会話するのがまあ礼儀ですよね。まして店
主に紹介されたような場合は彼の顔も立てなきゃいけません。
ここら辺をめんどうだと感じる方は一人家で音楽聞いていれ
ばいいんだし。

相手は妙齢のOLさんでした。仮にMさんとしておきましょう
か。ある日のことMさんが「マッド・エイカーズのレコード
が見つからない」と嘆いていました。オレは頻繁にレコ屋さ
んに行くタイプであり、その盤を以前から割と見かけてきた
ので「今度見たら買っておきますよ」と親切心にも声を掛け、
また後日実際に見つけたので、レコをお店に預けておきまし
た。自分が持っていないアルバムならともかく、学生時代か
ら愛聴してきた作品なので、それを探している同好の士とし
てMさんの「欲しい!」という申し出を快く受け止めたので
した。オレもそろそろ後進に伝える役柄かなと思い始めた頃
やったしな。

その後しばらく彼女の姿を見ないなあ〜なんて思っていたら、
Mさんがとんでもない大言壮語を撒き散らしていたので驚愕
しました。曰く「オビさんはレコードを肴に私を口説こうと
している!」といった被害妄想話でした。それを聞いた時、
咄嗟に思ったのは「あのな、オレだって選ぶ権利があるで…
この◯スが!」幾つかのお世辞は言ったかもしれませんが、
人の好意を仇にして返すようなMさんに怒りと失望を感じず
にはいられませんでした。

よくテレビで痴漢と間違われ冤罪になってしまった男性のニュ
ースが報道されたりしますね。被害者の気持がこの時やっと
判ったような気がします。しかもオレの場合は親切心でレコ
を探してあげただけなのに...。こういう誇大妄想のクソ女は
きっと他のバーでも同じようなことを繰り返しているに違い
ありません。

幸いにもバーのマスターが冷静に物事を把握出来る人なので、
オレに同情してくださり、Mさんはしばらくして出禁になった
そうです。まあ自業自得だわな。しゃあしゃあと「お礼にビ
ールでも」なんて言いながら、レコ探しに対する感謝の一言
も労いの一杯もついぞなかったよ!

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# by obinborn | 2017-01-02 11:44 | rock'n roll | Comments(0)  

ロンサム・ストリングス『Soundtrack』を聞いて

ロンサム・ストリングスの最新作『Soundtrack』を聞き
ました。前作のアンソロジー2枚組はウッド・ベースを
映し出したジャケットが物語るように、急逝した松永孝
義さんを追悼すべく企画されたものでしたが、その後セ
ッション・マンとして多方面で活躍される千ヶ崎学さん
が正式メンバーとなりました。そんな新たなロンサムに
よる初めてのスタジオ・レコーディングが本作です。

アルバム表題として掲げられたように、今回はサウンド
トラック集からボブ・ディランの『ビリー・ザ・キッド』
ピンク・フロイドやグレイトフル・デッドが参加した『
砂丘』ちょっとマニアックなところではジョン・サイモ
ンの『ラスト・サマー』などに収録されたナンバーを、
ストリング・カルテットならではのアレンジで再提示し
ていきます。その音粒たちによるイメージの自由な飛躍
を隅々まで堪能出来ます。

深いリヴァーブを湛えた桜井芳樹さんのエレクトリック・
ギター、音響派とも渡り合う田村玄一さんのペダル・ステ
ィール・ギター、ブルーグラス特有の臭みから抜け出した
原さとしさんのバンジョー、そして千ヶ崎学さんの古代の
洞窟を探訪していくような思慮深いウッド・ベースが重な
っていきます。たった四人によるインストゥルメンタルの
演奏ですが、余白を残したサウンドスケープの幽玄的な響
きに心奪われるのでした。

斯界でもトップ・レベルの技術を持ち、後進たちから慕わ
れている四人が、持てるテクと想像力を駆使したこの『
Soundtruck』には、音楽する心が満ち溢れています。そう、
まるで架空の大河ドラマを観ているような錯覚に陥ります
し、8ミリ・フィルムの映写機で上映されるモノクロ映画
のような秘めやかさも持ち合わせています。引用されたマ
テリアルの数々を再現するのではなく、ロンサム・ストリ
ングスならではの解釈で大胆かつ繊細に提示する。そこに
ワビやサビといった日本人の感性を感じてしまうのは私だ
けでしょうか?

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# by obinborn | 2017-01-01 18:37 | one day i walk | Comments(0)  

2017年の挨拶に代えて〜そしてきみの鳥は歌う

今朝の『耕論』に載った作家・川上弘美さんの語りは
印象的でした。すごく大まかにそれを集約すると、人
類は古代の叡智を大切に守りながらも、その一方で進
歩しようとする欲望を抑え切れない。現に原子力を作
り、近年では人工知能(A1)の研究が進められている。
いわば人間が科学技術の進化とともに、人として制御
出来ない領域にまで踏み込んでしまったことのパラド
ックスが語られていました。

もう少し私たちの身近な生活を顧みても、いい大学に
入って、いい会社に就職し、終身雇用で保障されると
いった昭和時代の規範的な生き方はとうに崩壊してい
ます。結婚ですら最終的な選択肢と考える若者は少な
くなりました。何しろ日本に於ける労働人口の三分の
一が非正規雇用ですからね。自分の将来も見渡せない
のに、とても子供なんか育てられないというのは偽ら
ざる実感でしょう。

これから先どんな未来が待っているのかは誰にも判り
ません。再び大地震がやってくるかもしれない。ニュ
ーイヤーズのイスタンブールで悲劇的な事件が起きた
ように、渋谷や銀座の歓楽街でいつ同じようなそれに
見舞われるかも判らない。そうしたモヤモヤばかりが
まるで曇り空のように立ち現れ、続いていきます。

それでも川上さんはこう提唱します「生まれ育った土
地で喜怒哀楽を素直にあらわしながら、普通に生活が
出来るという、本当にささやかな幸せ」を求めていく
ことを。ぼくが日々考えているのもまさにそういうこ
とです。音楽に疲れたら書物を読んでみる。SNSサー
ヴィスの情報過多に疲弊したら、自分の町を散歩して
みる。そうすることで保たれる心の均衡を愛おしく思
っています。

鳥は今日も歌います。昨日までと同じように歌ってい
ます。

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# by obinborn | 2017-01-01 13:26 | one day i walk | Comments(0)  

12月28日の中村まり

28日はsakana、中村まり、ロンサム・ストリングスという
贅沢過ぎるスリーマン・ライブを所沢のMOJOにてたっぷり
堪能した。ベン・ワットとトレイシー・ソーンを思わせる男
女デュオのsakanaは、ポコペンのメリハリある歌唱が過日と
少しも変わらず健在。まるで朝露のように瑞々しい音楽を今
日も届けてくれた。そのことを讃えたい。

二番手の中村まりはまだスタジオ・レコーディングされてな
いTHROUGH MY HEART AGAINや、STILL IN THE SUNなど
新曲を中心に組み立てた構成が新鮮であり、とくにINTO TH
E CLOUDSの鮮烈な歌唱には思わず鳥肌が立った。またカバ
ーではディランのRING THEM BELLSやポール・マッカートニ
ーの「幸せのノック〜LET 'EM IN」を、フォーキーな独自の
解釈で演奏して聴衆たちをたちまち魅了する。中村の”マッカ
ートニー愛”に関しては、まめに彼女のライブに通ってきた者
ならば、Rocky RaccoonやMull of Kintyreが登場した日々を、
懐かしく思い起こされた方々がいらっしゃるかもしれない。

今夜の締めは新作『Soundtrack』をリリースしたばかりのロ
ンサム・ストリングスだ。その新譜からはジョン・サイモン
のLast Summer、ディランのサウンドトラック・アルバム『
ビリー・ザ・キッド』から5曲を束ねながら、インストゥルメ
ンタル・バンドならではのイメージの自由な飛躍へと賭けて
いく。腕達者であり音楽心を持ったストリング・カルテット
ならではの光景だ。その演奏のひとつひとつを記憶出来れば
どんなに素敵なことだろう。

ロンサム・ストリングスはこの夜最後の曲として、故:大原裕
の名曲「旅行」を選んだ。その後のアンコールでは久し振りに
中村まりとジョイントしながら、2011年の記念碑『フォークロ
ア・セッション』に収録されたThe Cuckoo Birdと、ウディ・
ガスリーのHard Travelin'を奏でた。音楽というケメストリーは
遥か時空を超えてやって来る。そんなことを思わずにはいられ
ない夜だった。

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# by obinborn | 2016-12-29 03:21 | 中村まり | Comments(0)  

『ブルース&ソウル・レコーズ』誌の最新号に寄せて

『ブルース&ソウル・レコーズ』最新号が届く。特集は
ストーンズの『ブルー&ロンサム』。幾人かのライター
たちが各自の視点からこの”温故知新”作を検証し、言葉
を寄せているが、どうしても知り合いのお二人の文章か
ら読み進めてしまう。私とほぼ同世代と思われる妹尾み
えは「ソロ回しに頼らない」ストーンズ解釈のリトル・
ウォルター曲を、シンバル・ワークまで模したジミー・
リード曲を称える。一方で飲みダチの日向一輝はどうだ
ろう。彼はエディ・テイラー曲のストーンズ演奏につい
て「一発録りゆえ、ミックの歌唱部分にハープはない」
ことを指摘し、だからこそ、そこにブライアンの存在を
感じまくるのだと語る。いずれもブルースを深く聞き進
めてきた者ならではの洞察だ。だが彼らはマニアックな
地点に着地するのではない。妹尾はブルースをエンター
ティメントまで昇華させたストーンズの姿を評価する。
日向は一生懸命なミック・ジャガーの歌とハープに比喩
ではない青さを感じ、遥か年長者の音楽に驚愕する。

音楽について書かれた文章はそれこそピンからキリまで
ある。優れた評論が何であるか、また誰が書いたものか
どうかは意見が分かれるだろう。しかし、真逆にあるバ
ータ記事は多い。なかには音楽専門誌よりも一般新聞や
メガショップの広告誌のほうが遥かに身入りがいい!と
公言するクソ音楽評論家もいるくらいだ。そうした醒め
た(諦めた)認識が跋扈するなか、終始気持良く『ブル
ース&ソウル・レコーズ』誌を読み進めた。むろん音楽
を聞きながら。そう、今夜の私の友はジミー・リードの
『I'M JIMMY REED』だ。レコード・プレイヤーは二度
めのHONEST I DOを再生し、やがてB面にあるLITTLE
RAINを奏でてゆく。

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# by obinborn | 2016-12-26 01:26 | blues with me | Comments(0)  

小池真理子『望みは何と訊かれたら』

小池真理子『望みは何と訊かれたら』(07年)を再読。
あの忌まわしい連合赤軍事件をモチーフにしながら学園
闘争の時代を検証している。高邁な思想が平気で他者を
傷付け、排除し、自己目的化していった顛末をリアルに
描き切っている。こればかりは70年代の序盤に学生だっ
た作者にとって避けては通れない主題なのだろう。事実、
小池さんの小説はこのテーマを扱ったものが多い(直木
賞に輝いた96年作『恋』はその最たるもの)

裏テーマはこれまた作者が得意とする男女の秘めやかな
関係であり、そうした個人的な事項と集団が暴走した時
の怖さを対にした小説の構成は流石だと認めざるを得な
い。ところで、学園闘争の反省も虚しく90年代半ばには
オウム真理教が世間を震撼させる。その事件を今なお生
々しく記憶されている方々は少なくないだろう。

時代の雰囲気。もっともらしい主張。それらに吞み込ま
ていった若者たち。それらを思い返すたびに私はその場
から離れたくなる。加齢とともに遠近法で学園闘争の季
節を振り返りながら、私はこう思うのであった。「もう
まっぴらだ。誰かのスローガンに従う下部になるなんて」

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# by obinborn | 2016-12-25 18:36 | 文学 | Comments(0)  

大宮のレコード店、GRIS GRISを再訪しました!

今日は天気は今いちでしたが、久し振りに大宮のグリグリ・
レコードまで行き、念願のソウル・サヴァイヴァーズ『TAK
E ANOTHER LOOK』(ATCO SD33-277)を購入してきまし
た!ワーナーの名盤探検隊でCD化されたとはいえ、やはり米
オリジナルLPを入手出来た喜びは格別ですね。思わず店番し
ていたスタッフの方に記念撮影をお願いしちゃいました(笑)

7年ぶりに訪れたグリグリさん。懐かしかったな〜。およそ
一時間ほど堀り、旧交を温めるべくおしゃべりに花が咲きま
した。「震災後は音楽の聞き方が変わってしまいました」と
いう非常にデリケートな問題から”ディラン特需”のヨタ話ま
で。ついでにアナログで欲しかったレニー・ブランク『HOU
ND DOG MAN』(BIG TREE BT76003)も安価でゲット出来
ました。めでたしめでたし。

長い歳月が嘘のように、つい昨日までお店で親しげに会話し
ていた自分と店員さんとの姿が思い浮かびます。大宮の周り
の景色もあまり変わっていなかったし、ふと、あと10年経っ
ても20年経っても、オレずっとこの場所に来れたらなあ〜。
帰り道、そんな気持がどうしようもなく溢れ出てきてしまい
ました。

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# by obinborn | 2016-12-22 17:16 | one day i walk | Comments(2)  

俺は「いいね!」などしない

先日ある音楽家に「オビさんはとくに”いいね!”しなくとも
いつもライブに来てくれるから大変嬉しいです」と言われた。
そう、皆さんもご存知の通り、俺は自分が間違いなく行く(
と決まってる)イベントにしか”いいね!”を押さないポリシー
を貫き、たとえ行く時もいいね!などめんどうなのでしない
ことが多い。あるバンドのライブ告知に60人のいいね!があっ
たとしよう。その60人全員が来てくれたらパフォーマーもお
店もお客さんもハッピーになる。そういう想像をもっとしてみ
ようよ。こんなこと言ってる俺自身、過去行かないライブにつ
いいいね!して激しく後悔したことがあるのだが、それ以来FB
の安易な装置は人間関係の誤解のもとになると感じた。

ところが俺とは逆に何でも節操なくいいね!しまくる割に一度
も会場で見たことがない人がいる。価値観の違いと言ってしま
えばそれまでだが、人として安っぽく見られてしまうのは致し
方ないだろう。狼が来るよの”狼少年”ならぬ”狼ジジイ”であり、
この◎氏はとにかく嫌われている。何が「応援の気持です」だ
よ。応援や心配や近況報告だったら直接メールやラインするの
が一番いいじゃんか。要は自己アピールや顕示欲でしょ?こん
なジジイと一緒に酒など飲みたくはないわな(苦笑)
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# by obinborn | 2016-12-22 07:11 | rock'n roll | Comments(0)  

12月20日の佐野元春&コヨーテ・バンド

20日は佐野元春&コヨーテ・バンドを恵比寿ガーデンにて。
恒例のクリスマス・ライブながら、近年の曲を固め打ちする
展開が清々しい。剥き出しのギター・ロックそして情熱。

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# by obinborn | 2016-12-21 00:22 | rock'n roll | Comments(0)  

大宮のGRIS GRISに行こう!

大宮のレコード店GRIS GRISは昔から大好きなお店です。
以前は北浦和に姉妹店のSLIM CHANCEがあったのですが、
こちらは惜しまれつつも閉店し、現在は一本化したGRIS G
RIS本店で頑張っています。オールジャンルの中古盤をメイ
ンにしながらもお薦めの新品を扱っているのがユニークで、
デッドやルーツ系の品揃えが抜群です。店主の三平さんと
は古くからの知り合いですし、ぼくが骨折して入院していた
時に従業員の女性がお見舞いに来てくださったり、忘年会に
呼ばれたりと、個人的なお付き合いもあります。

それでも最近は家から遠いせいもあって、すっかりご無沙汰
になってしまいました。そんな時に飛び込んできたのが、隅
田さんからの「グリグリにソウル・サヴァイヴァーズのセカ
ンド・アルバムがあるよ」という嬉しい知らせでした。早速
久し振りに三平さんに電話をし、取り置きをお願いしました。
たぶん年内にはお伺い出来ると思います。

レコード店に限らず、好きなお店が無くなると皆さんは「残
念です。あんなに良心的だったのに...」と口を揃えたように
話す。ぼくもその一人かもしれませんが、最近は「あとで悔
いを残さないように通おう!」という建設的な考え方が好き
ですね。そうそう、残念!とかネットで呟いてる人達に限っ
て実はあまり通っていなかった、というデータも小売業界に
はあるらしいです。これ、当事者にとっては切実ですよね。

大宮駅を東口に出て商店街を抜けた辺りにお店はあります。
またすぐ近くには有名な氷川神社があり、森林豊かなその参
道に寄り道するのもぼくは大好きでした。今度久し振りにお
店に行けるのを、今からすごく楽しみにしています。折しも
世の中はレコード・ブーム再来です。これがGRIS GRISにと
って追い風になることを願って止みません。

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# by obinborn | 2016-12-19 15:27 | one day i walk | Comments(0)  

エルトン・ジョン『17-11-70』再訪

エルトン・ジョンの最初のライブ盤『17-11-70』、すごく
いいですね!トーピン=ジョンのソングライター・コンビ
によるリリカルな印象を打ち出した初期の3枚と、映画『
フレンズ』の音楽担当を経てリリースされた本作は、本国
イギリスばかりでなく、アメリカに於いてもいよいよ人気
歌手として認められてきたエルトンの姿を見事に捉えてい
ます。

アルバム・タイトルにあるように70年の11月17日、ニュー
ヨークのA&Rスタジオに観客を集め、スタジオ・ライブ形
式でレコーディングされた本作は、詩情溢れるSSWという
よりは、ライブ・パフォーマーとしての実力を浮き彫りに
しています。一曲めが「パイロットに連れてって」二曲め
がストーンズが前年にヒットさせたばかりの「ホンキー・
トンク・ウィメン」であることも、エルトンのロックンロ
ーラーぶりを強調する結果になりました。

何よりピアノ・トリオという編成がいい。ディー・マレイ
のbとナイジェル・オルソン(のちにソロ歌手として成功)
のdsを伴っただけのシンプルなサウンドゆえに、かえって
ピアノ・ロッカー、エルトンの確かな実力が伝わってくる
のです。何でもジェリー・リー・ルイスの「火の玉ロック」
を聞いて彼はロック音楽に目覚めたとか。ギターレスのバ
ンドをどう感じるかは人によって意見が違うでしょうが、
隙間のある音群が新鮮です。90年代に台頭したベン・フォ
ールズ・ファイヴの雛形と指摘するのも可能でしょう。

Bサイド最後の「教会を焼きつくせ」はライブ・パフォー
マー、エルトンの真骨頂でしょう。途中にエルヴィス・プ
レスリーの「ザッツ・オールライト・ママ」クリーデンス
の「プラウド・メアリー」ビートルズの「ゲット・バック」
を即興で挟みながらの展開が最高にスリリング!ジャケット
には立ってピアノを弾くエルトンが映し出されていますが、
そんな勇姿を思い浮かべながら聞きたいです。

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# by obinborn | 2016-12-19 02:37 | rock'n roll | Comments(0)  

ありがとう、ボビー”ブルー”ブランドさんへ

今日(18日)は隣町・東長崎のクレオール・コーヒーに行き、
ボビー・ブランドの『Come Fly With Me』(abc 78年)を購
入しました。今さらと怒られそうですが、これメチャクチャ
良いですね!デューク/ピーコック時代のブランドがブルーズ
・ファンの”聖典”であることはむろん間違いないのですが、も
っと柔らかくなった彼の姿に出会えるという意味で、この通称
ブランコ・アルバムはまさに鉄板だと確信するに至りました。

もう少し具体的に言うと、リズムのヴァリエーションが広くな
り、時に使用されるエレピの柔らかな音色や女声コーラスも効
果を上げています。そういう意味ではよりソウルに接近したブ
ランドの姿に立ち会えます。デューク時代には殆ど見受けられ
なかった例の”うがい歌唱”も随所に押し出され、以降のマラコ
時代へと自然に繫がっていきます。新たにスタックスの社主と
なったアル・ベルのプロデュース。西海岸からナッシュヴィル、
さらにシカゴ、テキサスまで足を伸ばしたレコーディングから
は、新しい時代にどう対応しようか?というブランドの試行錯
誤とチャレンジングと孤独が密かに聴こえてくるようです。同
時代のオーティス・クレイやシル・ジョンソンの動きと比較し
てみるのも一興ですし、メンフィスで育ったソウル・チルドレ
ンがドン・ディヴィスと出会い、シカゴ録音の大傑作『FINDE
R KEEPERS』を作り上げたことなどを思い起こしてしまいま
した。

若い頃はよく理解出来なかったブランドの音楽が、今では毎日
の”きしみ”のように染み渡る。互いに悪意なんか全然ないのに、
レコード屋さんの話題を交わしただけで、「元カノは今も元気
で良かったなあ〜」と思う反面、まるで癒えていない古傷のよ
うな痛みを運んでくる。音楽とはきっとそういうものだろう。
ありがとう、ボビー・ブランドさん。ぼくはあなたの歌が大好
きです。

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# by obinborn | 2016-12-18 18:50 | blues with me | Comments(0)  

12月17日の日誌

今日は勤務先の隣の不動産屋さんのご主人と幾つかの打ち合わ
せをした後、彼から来年のカレンダーを頂きました。午前に仕
事を終えた僕は江古田のレストランで昼食を。今は小池真理子
さんの『望みは何かと訊かれたら』(07年)を再読し始めまし
た。学園闘争が盛んだった60年代末を検証した小池さんの自伝
的な小説です。ある意味、僕はこの地平からずっと戦ってきま
した。今の若い人たちにはとても信じて貰えないと思いますが、
あの時代は大学を卒業したくとも、バリケード封鎖と闘争によ
って学校を卒業出来ない人たちがいました。少なくとも僕はそ
の事実を覚え、伝えていきたいと思っています。偉そうな言葉
たち。プラカードに貼られた標語たち。僕はそれらを激しく憎
みます。そして同時にもっと実感のある日々の感覚を大事にし
こうと思っています。

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# by obinborn | 2016-12-17 22:46 | one day i walk | Comments(0)  

荒井由実『MISSLIM』のこと

荒井由実の『MISSLIM』は74年の7月15日からレコーディング
が開始され、8月6日にほぼ全ての生録りが終了している。わず
か一ヶ月足らずの期間に奇跡のような瞬間が何度も何度も訪れ
た。プロコル・ハルムとフランソワーズ・アルディに憧れてい
た八王子の呉服屋の娘が、キャラメル・ママの面々による素養
溢れる歌伴と出会った。ファーストの『ひこうき雲』以上に練
られた歌と演奏の関係には、ジョニ・ミッチェルとL.A.エクス
プレスのそれを見る思いがする。

「生まれた街で」が好きだった。続く「瞳を閉じて」をもっと
好きになった。堅苦しいメッセージ・ソングではなく、まして
貧乏を自分の味方に付けた四畳半フォークでもなく、荒井由実
は自分の視界から見える光景を育み、しっかりと歌った。歌唱
そのものについては感想が分かれたものの、大貫妙子の歌と同
じように、そこには作者版ならではのひたむきさが映し出され
ていた。

彼女が一番多感だった10代から20代にかけての歌の数々を、今
のぼくはどういう風に聞いているのだろう? 一体どのような
態度で受け止めているのだろう? はっぴいえんど伝説はあま
りに鬱陶しい。ぼくはもっと自分自身に残っている温かい場所
で荒井由実を語りたい。目の前で揺れている冬の暖炉を見つめ
るように、いつか彼女のことを、彼女が見て来た風景や痛みの
感情を言葉にしてみたい。

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# by obinborn | 2016-12-17 19:38 | one day i walk | Comments(0)  

トニー・ジョー・ホワイト、あるいは彼のこぼれ話

トニー・ジョー・ホワイトの珍しい日本盤を棚から引っぱり
出してきました。これは昔テイチク・レコードがリリースし
た日本独自の企画で、モニュメント時代に残された3枚のア
ルバムから選曲されています。解説は故桜井ユタカ氏。桜井
さんはR&B・ソウルの評論や長く続いたミニコミ『SOUL O
N』の主宰者として有名ですが、以前は結構ロック関連の原
稿も書いていました。昔の評論家の基礎体力を感じたりする
のはこんな時です。一度だけ渋谷のメルリ堂でお見かけした
ことがあるのですが、私なんぞ畏れ多くってとても声を掛け
られませんでした。

モニュメント時代のトニー・ジョーは荒削りでいいですね!
ワーナーに移籍してからのほうがアルバム・アーティストと
しての風格は出てくるのですが、なり振り構わずフンパー・
ストンパー(ワウワウとクライベイビーを抱き合わせたエフ
ェクター)を踏み、野趣剥き出しのテナー・ヴォイスで歌い
まくる点では、この初期(60年代後半)がベストかもしれま
せん。看板の「ポークサラダ・アニー」や「ソウル・サンフ
ランシスコ」で見せるボビー・ジェントリーへの傾倒ぶり、
ブルック・ベントンによって全米NO.1に輝いた「雨のジョー
ジア」の作者版で伺える詩情、どちらも文句の付けようがあ
りません。

さらにカバー曲を見渡していくと、スリム・ハーポの「スク
ラッチ・マイ・バック」(俺のベイビーは背中を引っ掻くぜ
という性的な意味w)オーティス・レディングの「ハード・
トゥ・ハンドル」(ブラック・クロウズがやっていました)
ジョン・リー・フッカーの「ブーン・ブーン」(私は日本の
スパイダーズ経由で知りました)と、トニー・ジョーの音楽
的な故郷がルイジアナやメンフィスにあることを否応なく思
い知らされる次第です。何でも彼が音楽を志すきっかけは兄
貴が買ってきたライトニン・ホプキンスのレコードだったと
か。

「俺が歌にするのはすべて日常のことだよ。ルイジアナでの
暮らし、ポークサラダの食事、気怠い七月の午後のベースボ
ール、いいかい?たとえヒモの歌にしても俺はもっと深い男
と女の結びつきをテーマにしている。ドニー・フリッツのア
ルバムでの掛け合いも最高だった! そして『EYES』での
女性のセクシーな声。あれは彼女と肩を組みながら(実際、
インタビューの席でトニーは通訳の前むつみさんの肩を抱い
たw)レコーディングしたのさ」

「ロリー・ギャラガーは本当にいい奴だった。彼には本物の
ソウルがあった。俺らはまるで兄弟のように仲が良かった。
俺は彼の『カラスが飛ぶように』を歌うことでロリーの存在
を感じたかったんだよ。そうそう、この前のヨーロッパ・ツ
アーでアイルランドを訪ねた時、ロリーの弟(彼がロリーの
全音源を管理し、きちんとした形でリイシュー・プロジェク
トを進めた)が楽屋に来てくれた。嬉しかったよ。俺たちは
ビールを飲み、今は亡きロリーの思い出を語り合ったのさ」
このテイチク盤を聞いていると、2007年の春に再来日した
トニー・ジョーのこと、光栄にも横浜のホテルでインタヴュ
ーが実現し、記事として採用されたことが甦ってきます。

やっぱ最高です。愛しています、トニー・ジョー!
*取材協力『レコード・コレクターズ』『トムス・キャビン』


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# by obinborn | 2016-12-17 17:50 | one day i walk | Comments(0)  

鈴木カツ『ぼくのアメリカ音楽漂流』に寄せて

いわゆるルーツ音楽に対する認識は両極端に分かれていると
言っていいだろう。ある者はこちらがたとえ黙っていても熱
心に掘り下げているし、またある者は「そんなモン関係ない
じゃん」とうそぶく。後者に関してはもったいないなあ〜と
いう感想を個人的には抱くものの、こればかりは強制出来ま
せんよね。でも、ある日何かがきっかけになって過去の音楽
と出会うことになるかもしれない。

そんな方のための的確なガイドブックが鈴木カツさんの最新
刊『ぼくのアメリカ音楽漂流』(シンコーミュージック)だ。
数多くの著作をものにしてきたカツさんにとって、いわば音
楽人生の集大成と呼ぶべき入魂の一冊であり、全部で432ペ
ージにも及ぶヴォリュームに圧倒される。アメリカ各地で育
まれてきたヒルビリーやカントリー、ブルーズやオールド・
ジャズに耳を傾け、黒白隔てなく長年に亘って解説してきた
著者ならではの労作だと思う。時代は40年代から70年代まで
と広がりを示しながら、ジェフ・マルダーやライ・クーダー、
グラム・パーソンズといったルーツ・ロック的な視点へと着
地する。どれも著者がリアルタイムで聞いてこられた音楽の
数々だけに、妙な気負いも背伸びもない。

ちょっとした個人史から書き出し、その音楽家のバイオグラ
フィを丁寧に調べ上げ、アルバムの楽曲解説へと分け入って
いく。そういう意味では洋楽アルバムの日本盤に付けられて
きたライナーノーツの佳き伝統に忠実な文章家としての作法
が全面的に開示されている。余分な修辞を避けた平易な語り
口がいい。作者と親しい方々であれば、カツさんが以前築地
で営まれていた音楽バー、エニイ・オールド・タイムでの時
間を懐かしく思い起こすことだろう。とくに感心したのは、
中盤二つのパートに股がって収録された南部のスタジオとミ
ュージシャンの見取り図だ。昔に比べれば随分研究が進めら
れてきた分野ではあるが、依然謎の部分は多く、私自身もこ
の点について過去書くのに苦労させられた記憶がある。しか
し、このコラムでのカツさんの筆運びは俄然生き生きとして
いる。

本編で語られるアルバムはむろんのこと、それに付随する関
連作にも何気なく触れ、ジャケット写真を提供した構成が優
しい。いわば「敷居は低く、研究は深く」の実践だ。この本
を道しるべにこれから音楽への好奇心を広げていく若者たち
がちょっぴり羨ましい。たとえアメリカに暮らしていても解
らないことは解らない。それを著者は俯瞰し精査する。愛で
ながらしっかりと語る。本のタイトルには”漂流”と冠された。
カツさんが舵を取る音楽という小舟の漂流は、けっして終わ
らない。

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# by obinborn | 2016-12-17 14:25 | one day i walk | Comments(0)  

12月15日、鈴木カツさんと茅ヶ崎にて。

15日はメルリ堂の長野和夫さんと茅ヶ崎まで鈴木カツさんの
お見舞いに行ってきました。現在闘病中のカツさんですが、
新しい本の原稿も残すところあと僅かというお話を伺い、ひ
と安心しました。現地ではイラストレーターの菅野カズシゲ
さんも合流し、四人でしばし歓談。お陰様で旧交を温めるこ
とが出来ました。

ところで一部の方々は、カツさんとぼくが不仲だったことを
思い起こすかもしれません。この件に関しては過去いろいろ
と確執があったことは認めます。ただ歳月がそんなわだかま
りをすっかり洗い落としてくれました。カツさんとぼくとで
互いの評論のタイプが違うことを理解し合い、ぼくのほうが
もっと大人になるべきでした。本当にすみませんでした。

カツさんからは新刊の『ぼくのアメリカ音楽漂流』の他、タ
ウンズ・ヴァン・ザントのソングブック、エディ・ジェファ
ソンのリバーサイド盤、新世代によるディラン解釈の2枚組
『Blonde On Blonde Revisited』、愛される地元・茅ヶ崎の
たたみいわしをお土産に頂きました。恐縮です!

細かいニュアンスをネットで伝えることの難しさ。そんな苦
さを体験された方々も少なくないと思われます。答えは簡単
です。実際にお会いしてきちんと会話してみること。そして
出来れば一緒に酌み交わしてみることではないでしょうか?

カツさん、この機会を設けてくださりありがとうございます。
温かい想いとともに帰路に着くことが出来ました。これから
もなお一層のご健筆をお祈りしています。

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# by obinborn | 2016-12-15 19:06 | one day i walk | Comments(0)  

北山昌樹『ヴァン・コートランド/手紙(仮)』に寄せて

北山昌樹さんが初めてのシングル・レコードを送ってくださ
った。『ヴァン・コートランド/手紙(仮)』がそれだ。ぼく
は北山さんのことをroppenのドラマーや喫茶スマイルの店主
として知り、幾つかのとりとめない会話を交わした間柄に過
ぎないけれども、そんな彼がぼくのことを覚えていてくれた
ことがまず嬉しかった(こんなちっぽけなぼくなのに)

思った以上に力感のある北山さんのヴォーカルに驚いた。2
曲とも彼と交流が深い江村健さん(江村健バンド)と西池タ
カシさん(タマコウォルズ~双六亭)が書かれた曲であるこ
とからも、北山さんが尊敬するお二人にリスペクトを込めな
がら、歌ったことがしっかりと伝わってくる。

やや余談になるけれども、「手紙(仮)」の作者である西池
さんとぼくは政治的見解のことで数年前に大喧嘩をした。そ
れは「ちゃんと話し合おうぜ!」という彼の提案や、その後
ぼくのほうが双六亭のライブに出向くことで次第に解消され
ていったと思っているけれど、肝心のニシイケタカシは今、
ぼくのことをどう思っているのだろう? ぼくはニシイケの
ぶっきらぼうな歌とロックなギターがどうしようもなく好き
だったけれど。

友人たちの音楽は嬉しさとともに、そんな古傷を否応なく運
び込んでくる。

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# by obinborn | 2016-12-11 16:28 | rock'n roll | Comments(0)  

マギーの農場で働くのはもう嫌だ

ディランのノーベル・アワード。少なくともぼく個人にとって
はど〜でもいいお話しです(笑)賞を取ったからともて囃すメ
ディアはどうかしているし、第一ディラン自身そういう権威付
けをきっと嫌っていると思います。受賞後の煮え切らない、も
やもやとした彼の態度からもそれは十分感じ取れるのではない
でしょうか。っていうかぼくのディラン像は賞を取ろうが取る
まいが、以前と少しも変わらないわけでして。

彼の魅力をあえて箇条書きにしてみましょう。

1 書かれた歌詞ではなく、ビートに乗った”動く言葉たち”
2 幾多のペルソナを生かした歌の物語性・イメージの飛躍
3 広範なアメリカ音楽への理解と実践

以上です。それらの評価をノーベル受賞後に”上塗り”してもま
ったく意味はありません。特番を観たいとも思わないです。こ
の機会に仕事が回ってきた音楽評論家たちには「あ〜、良かっ
たですねえ」という程度の感想しか持ちえません。「今頃にな
ってから俺を評価しやがって」そんなボブ・ディランの呟きが
今にも聴こえてきそうです。「ちぇ、くだらん。チャーリー、
アンプをフルテンにしてくれ。さあ『マギーの農場』でも演奏
しようぜ!」という声が聴こえてくるようです。

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# by obinborn | 2016-12-11 12:32 | rock'n roll | Comments(0)  

12月10日のパイレーツ・カヌー

10日は武蔵小山のアゲインにてパイレーツ・カヌーのライブ
を。6月12日に渋谷B.Y.Gで行われた東京ローカル・ホンクと
のツーマン以来半年ぶりになる東京公演だったが、より成長し
た彼らの姿を確かめられたことが嬉しい。息を呑むようなハー
モニー、土草と戯れるようなドブロ・ギター、抑制の効いたリ
ズム隊など、カヌーのいい部分がしっかりと押し出されたステ
ージだった。加えて今回ゲストに迎えられたアニヤの歌とフィ
ドルも申し分なかった。

新しい世代によるルーツ音楽の再発見と言ってしまえばそれま
でなのだろうが、カヌーたちはもっと自然に音と戯れ、言葉と
会話し、自分たちに出来ることを一生懸命やっているような気
がする。メンバーの出産による欠席や懐妊あるいはアメリカへ
の帰国により、今後の活動が一時中断されるのは止むを得ない
だろう。むしろそうした経験を経ての音楽であり、歌であると
思いたい。長い歳月に耐えるソングスとはきっとそのようなも
のだから。

ある日京都の町で学生サークルのなかからカヌーの母体が生ま
れ育った。幾つかの試行錯誤を繰り返しながらも、彼らはソン
グライティングと演奏に磨きを掛けていった。その歩みのひと
つひとつを覚えておきたい。本日のアンコールで選ばれたのは
長い旅路を思わせるGULL FLYING NORTHだった。その時のコ
ール&レスポンスは満員の会場を満たした。パイレーツ・カヌ
ーの航海は、きっとこれからも続いていく。

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# by obinborn | 2016-12-11 04:07 | one day i walk | Comments(0)  

12月8日、今宵ジョンとともに

今夜は初心に戻ってビートルズをファーストからアルバムの
シークエンス順に『リヴォルヴァー』までの計7枚を聞いて
いきます!一応ここまではU.K.パーロフォンのオリジナル・
モノ盤で持っているんです。まあ、そんなコレクター話はと
もかく、もしもビートルズに出会っていなければ、ぼくは音
楽評論の仕事をしたり、何冊かの著作を出すこともなかった
でしょう。そういう意味では彼らこそが自分の出発点でした。
その後ビートルズの背景にはどんなR&Bやポップスがあった
んだろう?同時代には一体どういうムーヴメントがあったん
だろう?と、ぼくは好奇心をどんどん広げていきました。

ジョン・レノンに関してはあまりに多くが語られ過ぎてきた
と思っています。だからぼくはいたずらに彼を英雄視するよ
うなストーリーよりは、奥田英朗さんの『ウランバーナの森』
や、みうらじゅんさんの『セックス、ドリンク、ロックンロ
ール!』といった小説のように、彼らの個人史に投影された
ビートルズ像のほうにずっと惹かれます。奇しくもこのお二
人とはほぼ同学年であり、時代的な空気からして彼らの小説
には前述作に限らず、共感出来る部分が少なくないのです。

「ジョン、ロックという言葉をおまじないのように唱えてい
ればぼくはきみのようになれるのかな」とみうらさんは自伝
的な作品『セックス〜』で自問します。それは同時にぼく個
人にも放たれた言葉であり、そこにはジョン・レノンを偶像
化するのではなく、自分自身の(情けない、どうしようもな
い)生活のなかで見つめようという優しい眼差しが溢れてい
ます。

精緻なデータだけでは補えない何かがあります。それはまさ
に「きみはどう感じたんだい?」という一点に集約出来ると
今でも思っています。ジョン、きみが殺された12月の寒い日
のことを今もぼくは思い出すよ。あの長い一日が古い映写機
に映し出された8ミリ・フィルムのように甦ってくるよ。

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# by obinborn | 2016-12-08 18:05 | rock'n roll | Comments(0)  

ローリング・ストーンズ『ブルー・アンド・ロンサム』に寄せて

『ブルー&ロンサム』は収録曲の半分しか知らない音楽評論家を
青ざめさせ、ブルーズ愛好家を意気揚々とさせるブルーズのカバ
ー・アルバムだ、と昨日書いた。その気持にいささかも変わりは
ない。ビギナーや一般的なリスナーはともかくとして、少なくと
も公の場で文章を書いている音楽ライターや評論家だったら、最
低でも半分は原典作品を知っていなきゃ。そんな意味を込めた。

実際のところ、ぼく自身も”青ざめた”書き手の一人だった。勿論
個々のアーティストに関してはレコードを持ち、それぞれの音楽
性を把握していたのだが、楽曲単位での記憶という点ではおぼつ
かないものが少なくなかったのだ。ブルーズという音楽の構造上
個々の楽曲の識別が難しいという側面を考慮したとしても、実に
脇が甘いと言わざるを得ない自分を呪った。

そのように『ブルー&ロンサム』は激渋のブルーズ集となってい
る。例えばハウリン・ウルフであれば「44 Blues」や「Evil」もし
くは「Smokestack Lightnin'」、リトル・ウォルターだったら「
My Babe」や「Off The Wall」あるいは「Mellow Down Easy」と
いったナンバーが看板だろうが、そうした犬でも知っているよう
な(手垢に塗れた)作品を外し、もう少し地味な選曲を心掛けた
様子が伝わってくる。シカゴ・ブルーズを軸にライトニン・スリ
ムのルイジアナ・サウンドまでに足を伸ばす。そんなストーンズ
が魅力的だ。

それにしてもミック・ジャガーの精気に満ちたヴォーカルやブル
ーズ・ハープはどうだろう。とても70歳を超えたおじいさんの姿
とは信じられない。むろん他の三人にしても、生き生きと活気漲
る演奏を繰り広げている。原点回帰と言ってしまえばそれまでだ
が、やはりローリング・ストーンズという母船が帰っていく場所
とは、ブルーズという大きな港なのだろう。若さに物を言わせて
いた時期をとっくにやり過ごし、年齢と闘いながら築いてきた長
い道のり。もしかしたら彼らのそうした歩みこそがブルーズだっ
たのかもしれない。老練したロック・バンドの現在地点として、
これほど正直で誠実なアルバムは他にないだろう。今ぼくはそん
なことを思い始めている。

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# by obinborn | 2016-12-03 07:29 | blues with me | Comments(0)  

『この世界の片隅に』

1日はシネマ豊島園にて『この世界の片隅に』を鑑賞。こうの史
代さんのアニメは『夕凪の街・桜の国』で親しみ、彼女の世界観
に触れていたので、今回も安心してその物語に身を委ねることが
出来た。ストーリーは公式サイトを参照して頂くとして、徹底的
に抑制されたタッチで大戦下の呉市を描いていることに好感を持
った。こればかりはこうのさんの資質に依るものだろう。戦争が
主題となり映画化されてきた作品は過去ピンからキリまであるも
のの、アニメでしか出来ないことに精を尽くしたという点で特筆
したい。いわば戦場を殆ど見せない反戦作品であり、呉で暮らす
市井の人々に原作者や監督は徹底した視点を注ぐ。もっともらし
い言葉でも道徳的な主張でもない、淡々としたアニメ表現のささ
やかな勝利を称えたい。わずか70数年前の地方ではこのような生
活が当たり前だったことに驚愕する若い人もいるだろう。その一
方で賢明なる諸氏ならば、人々の営みが昔も今もそれほど異なる
わけではないと気が付くに違いない。最後になってしまったが、
足りない資金をクラウド・ファウンディングで補ったという点を
特筆したい。これは21世紀の映画のあり方として、多くの表現者
たちを勇気付けることだ。

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# by obinborn | 2016-12-01 18:40 | one day i walk | Comments(0)  

ボビー・アーウィン(ロバート・トレハーン)の仕事

ボビー・アーウィン(本名:ロバート・トレハーン)のドラムス
を初めて耳にしたのは、ニック・ロウ『ニック・ザ・ナイフ』(
82年)のことだった。ロックパイルの解散を受けたロウは新たな
バック・バンドを探すのが早急課題であり、ポール・キャラック、
マーティン・ベルモントとともにアーウィンを起用。このメンバ
ーはやがてノイズ・トゥ・ゴー~カウボーイ・アウトフィットと
名乗り、以降しばらくロウを支えた。カウボーイ・アウトフィッ
トが自然消滅し、ロウが新たにインポッシブル・バードを結成し
てからもアーウィンは残り、ゲラント・ワトキンス、ビル・カー
チェン、スティーヴ・ドネリー、ポール・ライリー、マット・ラ
ドフォードらと、渋味を増したロウの音楽に貢献していった。

そんなアーウィンの演奏がヴァン・モリソンの目に止まり、彼の
スタジオ・アルバムに初めて起用されたのは99年の『バック・オ
ン・トップ』から。アーウィンと同時にゲラント・ワトキンスも
抜擢されたこのアルバムは、冗談半分にヴァン・ミーツ・パブ・
ロックと呼ばれたりもした。以降もヴァンは『ダウン・ザ・ロー
ド』『ホワット・イズ・ザ・ロング・ウィズ・ディス・ピクチャ
ー』『ペイ・ザ・デヴィル』『マジック・タイム』と暫くアー
ウィンと活動をともにしたから、一時の埋め合わせではなく、互
いに何かしら共振するものがあったに違いない。

残念なことにアーウィンは一年ほど前に死去してしまった。世間
一般的には話題にもならなかったが、幾度にも及ぶニック・ロウ
の来日公演でその姿を見た方々は少なくないだろう。個人的には
ロンドンのヴェニューで体験したバラム・アリゲイターズでのス
テージが忘れ難い。終演後ビール片手に彼と「ボビー・チャール
ズは最高だね!」の会話をした。まさに最高のパブ体験だった。
アーウィン(トレハーン)の素晴しい演奏は、近年ではニック・
ロウの『ザ・オールド・マジック』クリスマス・アルバムの『
クォリティ・ストリート』、ゲラント・ワトキンスの『モスキ
ート』などでも聞ける。どれが最後のレコーディング・セッショ
ンになってしまったは定かではないものの、新しい順に言えば
やはり『モスキート』だろうか。

無駄のない、しっかりしたビートを刻むドラマーだった。オカズ
は少なく、その代り次第に膨らみを増していく演奏に真価を発揮
する職人肌のプレイヤーだった。ヴァンとアーウィンが最初に出
会った『バック・オン・トップ』は記念碑的な名作だと思う。

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# by obinborn | 2016-12-01 05:13 | one day i walk | Comments(0)  

渋谷・ブラックホークを回想する

渋谷・ブラックホークについてはいつか総括しなくちゃなあ、
とはずっと思っていました。というのも私がいくらホークの
世界に反旗を翻したとしても、今も自分の栄養になっている
音楽の多くは、かつてそこで流れていたものだからです。

やはり大前提となるのはネットが到来する遥か以前という時
代状況でしょう。テレビでもラジオでも掛からないマニアッ
クなSSWやスワンプあるいはトラッドを聞きたい!となると
実際に百軒店の坂道を登り、その場に行くしかなかったとい
う条件は、個々それぞれの若い頃の体験としてしっかり刻ま
れたのでした。以降ホークを真似た店が幾つか出来ては消え
ていきましたが、一番の違いはネット環境の有無だったと思
っています。それ故にホークは今も語り継がれる伝説となっ
たのです。

ノスタルジックにホークを語る大人たちに共鳴しつつも、時
に疎ましさを感じてしまうのは私だけでしょうか?もう少し
具体的に言うとブラック・ミュージックへの視座をホークが
持ち得なかったこと、通常の優れたポップスを「上から目線」
で見下していたことは彼らの致命的な欠点でした。店員と私
との喧嘩を振り返ってみても、根本にあるのは閉じられた空
間への苛立ちでした。ホークの帰りにすぐ近所のB.Y.G(今
も健在)へ駆け込んだ時の安堵とともに、私の古い記憶が甦
ってきます。

いずれにせよ、多くの聞き手たちがホークに集い、会話が禁
止された空間で黙して音楽に聞き入り、やがて巣立っていっ
た。それは愛すべき(守られるべき)時間の経過でしょう。
それでもまるで古傷のように残る違和感は忘れないほうがい
い。私はホークではないし、ホークは私ではない。つまりそ
ういうことだと思っています。

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# by obinborn | 2016-11-30 19:15 | one day i walk | Comments(0)  

ボブ・ディラン「まるで女のように」

あれは確か『新譜ジャーナル』もしくは『ヤング・ギター』に
掲載された記事だったと記憶する。シンガー・ソングライター
の西岡恭蔵さんが、ディランの「女の如く」について書かれて
いたことを思い起こす。この曲は平たく言えば女性にフラれた
男の追想歌なのだが、恭蔵さんが「もし今度きみに会ったなら、
ただの友だちなんだね」と訳されていたことに衝撃を覚えた。
さらに元の歌詞を辿っていけば、「きみはまるで大人のように
振る舞う。でもまるで小さな女の子のように崩れてしまうじゃ
ないか」とある。それも刺激的な一節だった。

いずれにしても筆者がまだ中学生だった71~73年の頃のことだ。
むろん恋愛など未体験で、たまに見るテレビ・ドラマや、その
頃から読み始めたヘルマン・ヘッセの小説で夢想する遠い世界
に過ぎなかったけれど、背伸びしたい気持と相俟ってぼくはボ
ブ・ディランの「女の如く~Just Like A Woman」を次第に好き
になった。教室の後方にある黒板に原歌詞を殴り書きするほどの
影響を受けた。今でもよく覚えている。それを見た英語教師の北
村先生はこう言った「誤字だらけ。文法も間違い。でも何となく
伝わるものはあるわ」

毎年冬になると無性に『ブロンド・オン・ブロンド』を聞きたく
なる。「女の如く」を奏でるウェイン・モスのナイロン弦や、ケ
ニー・バトレイーが叩く心臓のようなドラムスに耳を傾けたくな
る。まったく進歩していない自分を嗤いたくなることもしばしば
だ。それでもぼくは「きみのリボンはすっかりほどけてしまった」
と歌うディランに今も心奪われている。「ぼくは土砂降りの町に
いる。もうここには居られない。残酷なまでに」と声を詰まらせ
るジンジャーマンの背中を見つめている。

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# by obinborn | 2016-11-28 18:08 | one day i walk | Comments(0)  

11月24日のサーディンヘッド

まさにエレクトリック・エクスペリエンス!音の粒が弾け、自在
に飛翔する。24日はそんなサーディンヘッドのライブを青山の月
見ルにて。romanchicaに始まりnew spiralへと間髪入れずに繋ぐ。
そんな序盤の展開から早くも胸が一杯になった。ロック・カルテ
ットという体裁を取りつつも、繰り出す音楽はどこまでもフリー
・フォーム。その自由闊達な丁々発止のなかに彼らの実力が伺える。         二本のギターが細かいリフを重ねながらシンクロしていくか
と思えば、そこから片方が抜け出してメロディアスなフレーズを
そっと挟み込む。まさに変幻自在な演奏スタイルだ。

グレイトフル・デッドの詩情やキング・クリムゾンの精緻。ある
いはフランク・ザッパ的な奇想天外やプリンスの濃密なファンク。
それら先人たちの遺産を継承し、組曲の如く2時間のステージへ
と束ねていく。90年代に活況を呈したジャム音楽のシーンは、そ
の後すっかり定着したけれど、海外からも絶賛されるサーディン
へッドが、今なお歩みを止めていないことを誇らしく思う。

今年で二度目となった今回の無料ライブfor Freeは、そんなサー
ディンたちの自信の現れだ。都内のクラブでも最も優れた音響と
称えられる月見ルとの連携。熱心なファンたちと交わした信頼の
感情。そして優れたインディのマインズ・レコードの存在。それ
らがこの夜を特別なものにした。会場には歓喜の声が鳴り響いて
いる。


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# by obinborn | 2016-11-25 02:05 | one day i walk | Comments(0)  

ダグ・サームを追悼した三組のライブを聞いた

20日はダグ・サームのトリビュート・ライブを荻窪のBUNGA
にて。いやあ〜、楽しかったなあ!出演したサザンライツ、ガ
ルフコースト・バウンズ、ロス・パラダイス・グルーヴァーズ
の三組が、それぞれダグに因んだナンバーをしっかり掴み取り
ながら、力感漲る演奏へと訴えていく。そんな3時間に酔った。
彼らはギターやベースを弾けない、キーボードもドラムスも出
来ないぼくに代わって、亡きダグへの想いを無言のうちに語っ
てくれた。そのことに感謝せずにはいられない。ありがとう、
ありがとう!以下出演順のセットリストです。

◎サザンライツ

GROOVER'S PARADISE
I'M NOT THAT KAT ANYMORE
BEAUTIFUL TEXAS SUNRISE
DEALER'S BLUES
NUEVO LADELO
TEXAS ME
TEXAS TORNADO

◎ガルフコースト・バウンズ

SHE NEVER SPOKE SPANISH TO ME
懐かしきテキサン・ボーイズ
WASTED DAYS AND WASTED NIGHTS
POQUITA FE
SHE'S ABOUT A MOVER
LAREDO ROSES
FOUR ACES

◎LOS PARADISE GROOVERS

MENDOCINO
JUST A MOMENT
NEXT TIME YOU SEE ME
REAL ME
THE GYPSY
DYNAMITE WOMAN
(HEY BABY)QUE PASO
MICHOACAN
(IS ANYBODY GOING TO) SAN ANTONE

〜ONE MORE MILE TO GO〜

SHE'S ABOUT A MOVER (With Everyone!)

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# by obinborn | 2016-11-21 10:44 | one day i walk | Comments(0)  

ブリンズリー・シュウォーツ『LIVE FAVOURITES』

ブリンズリー・シュウォーツの『LIVE FAVOURITES』がようや
く我が家に到着!昨年のレコードストア・デイに発売された限定
のLP盤を買い逃してしまっただけに、今回のCD化は本当に嬉し
い!何でも5人めのメンバー、イアン・ゴムが所有する秘蔵音源
が元になってるらしいが、この手で最も気になる音質は軽く標準
レベルをクリアしていて問題なし。彼らの場合公式なライヴ・ア
ルバムは一枚もなく、過去幾つかのブートレグやBBC音源がリリ
ースされてきただけだが、それらに続くものとして歓迎したい。

時は1974年の6月19日、ウェールズ州のカディーフにあるトップ
ランクで行われたコンサート。ちょうどブリンズリーズが最後(
6枚め)のアルバム『NEW FAVOURITES OF』を発売する一ヶ月
前のツアーであり、そこからオーティス・クレイの「TRYING TO
LIVE MY LIFE WITHOUT YOU」「SMALL TOWN,BIG CITY」
のちにニック・ロウの看板曲として人気を博す「PEACE,LOVE
AND UNDERSTANDING」の3曲を取り上げているが、全体的に
は初期の「COUNTRY GIRL」やジム・フォードの「JU JU MAN」
ソングライターとしてゴムの才気を印象付けた「HOOKED ON
LOVE」など、彼ら5年のキャリアから万遍なく選曲されている。

またライブならではのカバー・ソングとしては、ボビー・ブラン
ドがデュークに録音した「HONKY TONK」ウィリアム・ベル&ジュ
ディ・クレイのスタックス・ナンバー「PRIVATE NUMBER」
ジョニー・オーティスの「YOU'RE SO FINE」ジュニア・ウォー
カーのタムラ・モータウン「HIP CITY」が選ばれ、ブリンズリー
ズが何でも演奏する”トップ40・バンド”もとい真のパブ・ロッカ
ーだったことを裏付ける結果となった。ちなみに「PRIVATE NU
MBER」は、テストプレスのみで市場に出回ることがなかった
”本当のラスト・アルバム”『IT'S ALL OVER NOW』にスタジオ・
ヴァージョンが記録されている。

74年前後といえば、ブリンズリーズがデイヴ・エドモンズに接近
した時期であり、デイヴのセカンド・ソロ『一人ぽっちのスタジ
オ』に彼らが客演したり、逆にデイヴが『NEW FAVOURITES O
F』をプロデュースしたりと、交流は次第に本格化していく。つ
まりロックパイル結成への萌芽である。そんなことに想いを馳せ
ながらこのライブ盤を聞いていると、解散間際だったブリンズリ
ーズ、オイル・シティから台頭しやがて全英を席巻したドクター
・フィールグッド、ソロ活動に向かうニック・ロウなど、当時の
パブ・シーンのことが走馬灯のように甦ってくる。

ニックはこう回想している「74年が潮時だったんだ。メンバーの
なかには子供が生まれてツアーに出るのを嫌がる者が現れ始めた
し、ぼくたち長髪のピッピー・ロックは過去のものになりつつあ
った。『平和と愛と理解』にぼくはちょっとばかりの皮肉を込め
た。そう、ぼくは自分を老いぼれ老人に譬えて『平和と愛と理解
の気持はそんなに可笑しいことかい?』ってね。バンドが解散し
たら一体どうしよう?ぼくは世界の淵に一人立ち尽くしているよ
うな心境だったんだよ」

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# by obinborn | 2016-11-20 14:57 | rock'n roll | Comments(0)  

11月19日の東京ローカル・ホンク

19日は東京ローカル・ホンクのワンマン・ライブを高円寺の
JIROKICHIにて。7月16日に彼らを同会場で観て以来四ヶ月ぶ
りの対面となったが、弾力ある演奏と歌心に今回もたっぷり3
時間酔った。ロック・カルテットとして各自が持てる限りの力
を出しながら、木下弦二のソングライティングを膨らませてい
く。まるで一番いい時のザ・バンドを体験しているみたい。

「ロンドンがスウィングしていたと言われてもぼくには解りま
せん。キース・リチャーズがダニエルズをラッパ呑みするよう
な世界がロックだとも思わなくなりました。それよりぼくはど
うして自分が生まれ育った戸越銀座から見える景色を歌に出来
ないんだろう?そんなことでずっと悩んでいました」以前弦二
はそんなことを私に語ってくれたのだが、その答えがまさに今
現在の彼らの逞しい姿に他ならない。

地に足を着けた日本語が綺麗に響き渡る。そこには昨今のJ・P
OPのようなヴォーカル・ピッチの不自然な補正や、ただせわし
ないだけのファストなBPMなど一切ない。自分たちの町(彼ら
の場合は品川や太田区)から歌を育み、膨らみのある演奏のた
めに修練を重ねる。思えば彼らのキャリア20数年はその一点の
ために注がれてきた。何とまっすぐで困難を伴う道のりだった
ことだろう。

まだスタジオ・レコーディングされていない「身も蓋もない」
や「ダーク・マター」といったシリアスな楽曲が、息苦しい今
という時代を映し出す。その一方で初期の「お手紙」や「遠い
願い」を演目に加えることで、ホンクメンは自分たちがかつて
青年だったことを確かめてゆく。そんな現在と過去とが互いに
交差する得難いライブだった。

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# by obinborn | 2016-11-20 01:06 | 東京ローカル・ホンク | Comments(0)