Christmas Time 's A-Comin

今年のワンマンも今日で見納め。そんな
些かな感慨も含めて、15日は中村まりの
ライヴを下北沢のラカーニャで心ゆくま
まに楽しんだ。

”Christmas Time's A-Comin"というテー
マが何気に掲げられたように、この夜
は中村が普段のオリジナル・ソングスに
加えて幾多のクリスマス・ソングを歌っ
ていくというこの季節ならではの貴重な
ものとなった。それも手垢に塗れたポピ
ュラー・ソングではなく、フォークやブ
ルーグラスのシーンで歌われてきたクリ
スマスの歌を積極的に取り上げていくと
いう点に彼女ならではの歩みが滲む。

ピート・シーガー・ファミリーのそれ、
ぼくはハッピー・トラウムのヴァージョ
ンでしか知らない「Briight Morning S
tar」、あるいはジョニ・ミッチェルの
「River」など、大向こうを張るのでは
ないが、密かに愛されてきたクリスマス
縁の曲が奏でられていく様は、まるでア
メリカの片田舎のホーム・パーティに招
かれたかのよう。ジョニの「River」に
関しては、中村が20代の頃音楽を始め
る志となった人の曲だけに、幾らかジョ
ニを意識したシンギングが、今現在の中
村の歌唱法とは異なるのだが、それ故に
新鮮な驚きをもたらした。

しかもこの日は原さとしのバンジョーと
安宅浩司のボトル・ネック奏法を含めた
ギターが中村の両脇を支えた。ファンで
あればご存知のように、普段から中村を
サポートしている彼らだけあって、息の
あった連携を聞かせる。中村のオリジナ
ルである「How Sweet !」のエンディン
グにクリスマスのメロディを挟む原とい
い、普段の6弦に加えて12弦ギターまで
持ち込みながら彩り豊かなフレーズを奏
でる安宅といい、いつも中村のソロを聞
き慣れている方々にも、この膨らみを増
した演奏には思わず溜め息を付いたこと
だろう。

幾多のクリスマス・ソングと呼び合いな
がら歌われた中村のオリジナル・ソング
スも、こうした連なりだからこそより一
層映えていたかとも思えるくらいだ。
「Black Eyed Suzan」や「Night Ow
les」といったまるで生まれながらに風格
を湛えた名曲も、まだスタジオ・レコー
ーディングが為されていない「When
The Day Is Over」や「Still In The Su
n」といった新曲にしても、この日の流
れで改めて聞くと新たな魅力が加わるか
のよう。

筆者が中村まりのライヴに接し始めてち
ょうど3年が経った。世の中の喧噪とや
ら、流行とやらを一切意に介することが
ない彼女の毅然とした歌。そして佇まい。
彼女のそうした営為は、その何気なさ故
にきっと多くの人々を捉えて離さないの
だろう。町はすっかり寒くなったが、帰
り道を歩くぼくは不思議と足取りが軽く
なった。思わず深呼吸をしながらこの夜
道をずっと歩いていきたいほどだった。



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by obinborn | 2012-12-16 03:35 | 中村まり | Comments(0)  

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