『永遠の出口』
へ誘い出し、微笑みをもたらす」
誰が言い出したという言葉ではないけれど、ぼくが日々心掛
ている、あるいはそうでありたいと願っているのは、およそ
そんなことだ。今という厳しい時代。政治的なプロパガンダ
に振り回されず、からめ取られず、誰のものでもない自分の
心を保ち続けるのはとても難しいとは思う。
でも、とくに若い人には頑張って欲しいのだ。無邪気な心で
あることに。そして自分自身であり続けることに対して。こ
んなくたびれた中年男のぼくだって、日々が錆び付かないよ
うに本を読んだり音楽に耳を傾けたりしているのだから。
ぼくは先に書いた小川洋子さんの小説も大好きだけど、それ
に負けずに森絵都さんの物語も好きだ。森さんは元々児童文
学から出発した人だけに、ぼくをそれらの日々に連れ戻して
くれる部分が多々あり、ちょっとしたディテールにも温かい
視線が常に注がれている。
最近は忙しくってもうすっかりさぼってしまっているけれど、
以前森さんの『永遠の出口』について書評を書かせて頂いた
ことがある。一人の女の子が幼少期を経て大人になることの
痛みを引き受けるまでのストーリー。そこにある煩悶や逡巡
は、今なおぼくのすぐ隣にあるものだ。以下をご参考までに。
http://bookjapan.jp/search/review/200809/obi_takashi_01/review.html
by obinborn | 2013-03-12 23:01 | 文学 | Comments(0)