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しなやかなグルーヴの波、タマコウォルズ

 イントロが始まった瞬間、胸から込み上げて
くる気持ちでちょっと涙ぐんでしまった。何故
って? そう、タマコウォルズが1年2ヶ月ぶ
りに復活したから。メンバー各自がソロ活動や
セッション・ワークもしくは双六亭などの別プ
ロジェクトに多忙なゆえ仕方ないのかな〜と思
いつつも、やはりタマコの音を全身で受け止め
たい!そんなファンで18日の下北沢440は満員
となった。

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 ファンク・ロックのイディオムを自由闊達で
剛胆なグルーヴのなかに溶け込ませる。ジャム・
バンドの如く自由にインプロヴァイズされた個
々のソロ・パートに委ねていく。リフを繰り返
すことで生まれる大波もあれば、ふと立ち現れ
るメロディが小波のようにきらめくこともある。
そんな押し引きが実力派のプレイヤーたちによ
ってずっとずっと繰り広げられていったのだか
らたまらない。お客さんたちの笑顔、笑顔、笑
顔といったら!

 鳥羽修とニシイケタカシのギターは対照的で
あり、どこまでもアグレッシヴなリード・プレ
イで攻め立てる鳥羽と、朴訥とした歌いっぷり
と同じくどこか素朴なフレーズを挟んでいくニ
シイケの”ギター対話”もたっぷり。フレットレ
ス故であろうか、まるでリック・ダンコのよう
に弾みをつけていく河野薫のベースもしっかり
と底辺を支えた。この3人の弦楽器奏者に加え
Sugarbeansのニューオーリンズ・ライクなキ
ーボード類が豊かな彩りを与え、さらにムーさ
ん(中原由貴)のパワー・ドラムスとけっちゃ
ん(高橋結子)の各種パーカッションが舞い上
がっていくのだから、やはりタマコウォルズは
何とも贅沢な6人組バンドだなと思う。

 ちょっと的確な言葉が見つけられない。今の
ぼくに言えることなどちっぽけなことでしかな
いけれど、彼らはいくつかの遊び心とともに音
が弾んでいく様を楽しんでいる。延々と続くグ
ルーヴの彼方にあるものを信じている。そして
音楽が持ち得る遥かな光景をすくっと見渡して
いる。そんな奇跡のような一夜だった。アンコ
ール最後のアウトロで感極まったのだろうか、
中原由貴がタイコを3連打した!それをぼくは
「もっと演奏を続けたい!」という彼女の気持
ちとして受け止めた。帰り道の雨でさえ微笑ん
でいるようだった。

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by obinborn | 2013-03-19 06:12 | タマコの人々 | Comments(0)  

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