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威風堂々のポール・バタフィールド・ブルーズ・バンド

ポール・バタフィールド・ブルーズ・バンド『イースト・ウェ
スト』のライナーノーツ原稿を書き終えた。66年の夏にリリー
スされた彼らのセカンド・アルバムであり、これを最高傑作に
挙げる人は今なお多い。ぼくもそんな一人だ。

まずジャケットがカッコイイ!巨大な仏像に囲まれながら大胆
不適な面構えでこっちを見つめる6人衆。この何とも不思議な
構図と『東洋・西洋』というアルバム表題が、内容を言い含め
ている。

のちにベター・デイズで再演するロバート・ジョンソンのデル
タ・ブルーズ「Walking Blues」に始まり、リー・ドーシーの
ニューオーリンズR&B「Get Out Of My Life,Woman」へと続
く。その振り幅がまずファースト・アルバムからの成長を伺わ
せる。しかも後者ではマーク・ナフタリンが作者のアラン・ト
ゥーサンを意識したかのような弾むピアノで全体のグルーヴに
貢献するという念の入れ様だ。

クライマックスは二つの長尺ナンバーだろう。ナット・アダレ
イのジャズ曲「Work Song」に、マイク・ブルームフィールド
とニック・グレイヴナイツが共作として書き上げたオリジナル
の「イースト・ウェスト」。それらのインストゥルメンタル曲
で繰り広げられる緊迫したインタープレイの数々は圧巻だ。

彼らがデビューした65年当時といえば、本格的なブルーズを
演奏する白人バンドはまだまだ本場アメリカに於いても稀だっ
た。せいぜいフォーク・リヴァイヴァルの運動によって再発見
されたアコースティックなフォーク・ブルーズが親しまれたく
らいであり、シカゴのサウスサイドで日夜行われていたマディ・               ウォーターズやリトル・ウォルターらのエレクトリックなバン
ド・ブルーズに目を向けた若者は極めて珍しかったのだ。

そこら辺の様子もライナーではより詳細に書かせて頂いたが、
シカゴに生まれ育ったポール・バタフィールドにとって、リ
アルに感じたのが当時のエレクトリックなシカゴ・ブルーズだ
ったのは至極当然のことだったはず。

そんな勢いを伝えて余りある『ファースト』及び、その成長を
伝える本作『イースト・ウェスト』をぜひ聞いてみてください。

威風堂々のポール・バタフィールド・ブルーズ・バンド_e0199046_1154478.jpg

by obinborn | 2013-04-20 00:57 | blues with me | Comments(0)  

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