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ジョージィ・フェイムの英国流R&B

初めてロンドンに行ったのは確か92年の冬だったと思う。
丸半日のフライトに疲れ当地の寒さに震え上がったほど
だが、ポートベロやカムデンタウンを歩き、昼はレコー
ドを探し回り、夜はパブでバラム・アリゲイターズなど
のライブを楽しんだものだ。その後何度も訪ねることに
なる街だが、やはり最初のインパクトは忘れ難い。

その時にマーケットで思わず探り当てたのが、ジョージィ
・フェイム『RHYTHM AND BLUES AT THE FLAMINGO』
のオリジナル盤だった。まだ若かったせいもあるだろう。
ぼくは嬉しさのあまり店主とツーショットの写真をお願い
してしまったくらいだ。まだデジカメもパソコンも知らな
かった時代のことである。

そんなこともあって、このフラミンゴ・アルバムを聞いて
いると様々なことを思い起こす。音楽出版社のメッカであ
るデンマーク・ストリートやレコード店が点在するバーウ
ィック通りがあるソーホー地区は、オアシス『MORNING
GROLY』のジャケットですっかり有名になったが、ソー
ホーの一角を占めるチャイナ・タウンにかつてあったフラ
ミンゴの跡地も訪ねてみた。マーキーやクラウディなどロ
ンドンのクラブは、無名時代のヤードバーズやストーンズ
が根城にした場所だが、フラミンゴの場合はジャマイカ2
世などブラック・ピープルが占める割合が大きく、フェイ
ムはそんな環境のなかで音楽を鍛えられていったのだ。

ジェイムズ・ブラウンのNIGHT TRAINで始まり、ナット・
アダレイのWORK SONGやモーズ・アリソンのPARCHM
ENT FARMやミラクルズのSHOP AROUNDを通過しなが
ら、最後にはビッグ・ジョー・ウィリアムズのBABY PLE
ASE DON'T GOが待っている。フラミンゴでライブ録音
されたこのアルバムのメニューを眺めていると、英国人に
とってのR&B解釈がとても良く伝わってくる。ましてHU
MPUTY DUMPTYは、エリック・モリスで知られるスカ・
ナンバーであり、ジャマイカのテイストが加わっている。
64年当時フェイムの一番のファンだったグリン・ジョンズ
はこれを録音しエンジニアを務めた。そのことに感謝せず
にはいられない。

「ヴァン・モリソンもぼくもとにかくR&Bが大好きだっ
た。昔馴染みのヴァンのバンドに入ってB3オルガンを弾け
るなんて最高さ!」90年代前半の来日時にそんなことを語
ってくれたジョージィ・フェイムにブリティッシュ・ロッ
クの長い歴史を思った。

ジョージィ・フェイムの英国流R&B_e0199046_6221329.jpg

by obinborn | 2015-04-07 06:23 | one day i walk | Comments(0)  

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