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アイズリー・ブラザーズ『ライヴ』〜黒人音楽の沸騰点へ!

歳のせいか、最近陽射しの強さが気になってきた。とくに
冬が侮れない。南向きの部屋では昼間ずっとカーテンを閉
める次第だ。かつてこんなことはなかった。ぼくは以前告
白したように緑内障であり、定期的に眼科検診を受けてい
る身だが、他の疾患を誘発しないようせめて気を付けたい。

今日の午後はずっとアイズリー・ブラザーズ『ライヴ』(
73年)を聞いていた。録音場所は残念なことに明記されて
いないものの、比較的小規模のクラブで行われたらしい親
密感は、容易にカーティス・メイフィールドやダニー・ハ
サウェイのライヴ作を思い起こさせるものだ。

アイズリーズといえばヴォーカル・グループとしてモータ
ウンに所属しながら「ツイスト&シャウト」や「ディス・
オールド・ハート・オブ・マイン」をヒットさせていた60
年代に始まり、90年代以降露になったブラコン〜H路線ま
で様々な顔がある息の長いヴォーカル&インスト・グルー
プだが、やはり独立レーベルのT・ネックを興してニュー・
ソウルの時代と同期していった70年代前半の時期に、ぼく
は一番親しみを覚える。

ジミ・ヘンドリクスの「マシーン・ガン」でアーニー・ア
イズレーのエグいギターが炸裂する。JBばりのファンク・
ナンバー「イッツ・ユア・シング」は高らかに公民権運動
と結託する。そして白人ロックからスティーヴン・ スティ
ルス「愛への讃歌」とボブ・ディランの赤裸々なメイク・
ラヴ曲「レイ・レディ・レイ」が選曲される。さらにはニ
ール・ヤングの「オハイオ」が学園闘争の時代を反映する。
そのどれもに高らかな信念(少なくともぼくたちはこうで
ありたいという願い)があり、音楽的にはソウルとロック
との幸せな結婚がある。

自覚的なアーティストは時代を切り取ると同時に、そうし
た時代の状況に流されないよう、音楽としてのクォリティ
をしっかり掴み取る。そうしたトータルな観点で振り返っ
てみると、この『アイズリーズ・ライヴ』が時の流れを超
え、今なお当時を知らない若者たちから支持されている理
由が判る。そこにはリズムのさざ波があり、劇的な興奮が
あり、ファンク音楽ならではの連帯と陶酔がある。

目はすっかり悪くなってしまったけれど、自分の耳で偏見
なく音楽を聞き取る能力は失いたくない。そんなことをふ
と思う一月終わりの季節だった。


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by obinborn | 2017-01-24 18:29 | one day i walk | Comments(0)  

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