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2月25日の東京ローカル・ホンク

奇跡のような夜だった。繰り出される音と言葉のひとつひとつ
が明晰に響き、確かな輪郭を描きながら溢れ出てゆく。そんな
東京ローカル・ホンクのワンマン・ライブを25日は渋谷B.Y.G
にて。筆者のホンク追っかけ歴は今年でちょうど10年になるの
だが、彼らはその倍以上の歳月を費やしながら自らの音楽を磨
いてきた。ホンクメンの修練の日々に感服せざるを得ない。

音楽を志す過程ではいろいろな試行錯誤があったことだろう。
洋楽のコピーから始まり、”ロック的な言語”への共感と反発と
を同時に抱え込みながら、ホンクはいつしか他の誰でもない日
本語のロックを確立した。フラワー・ムーヴメントでもスウィ
ンギン・ロンドンでもウッドストック・ネーションでもない、
自分たちの普段着の姿形。その実感をグループのソングライタ
ーである木下弦二はとても大事にする。

借り物の思想や出来合いの言語はいつしか廃れていく。自分の
周りの大勢がイエス!と言った時、それに従えばどれだけ楽な
ことだろう。どれだけ疎外感に苛まれないことだろう。急かさ
れるように政治をテーマに歌えば何かの保険を得られるのだろ
うか?少なくともぼくはそうは思わない。ホンクのアカペラ・
コーラスが冴え渡る「夏みかん」を聞く時、自分がいつしか失
くしてしまった光景を想う。複数の詩人たちの連詩から生まれ
た「また会おう」に接して、人の営みの切なさを知る。太田〜
品川区の工場街をスケッチした「昼休み」で、名もない人々の
群像劇へと想いを馳せる。そんなホンクの歌世界を誇らしく思
わずにはいられない一夜だった。

〜セットリスト〜
第一部
1 インプロ〜ハイウェイソング
2 お手手繋いで
3 お馬鹿さん
4 目と手
5 鏡の中
6 遠い願い
7 拡声器
8 心の行進
9 お散歩人生
10 Dark Matter

第二部
1いつもいっしょ
2 お手紙
3 昼休み
4 夜明け前
5 夏みかん
6 質問(仮タイトルの新曲)
7社会のワレメちゃん
8 みもふたもない
9 港の見える丘(機材トラブルのため即興で)
10 また会おう

EN
1 おいでおいで

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by obinborn | 2017-02-26 00:41 | 東京ローカル・ホンク | Comments(0)  

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