佐野元春&ザ・コヨーテ・バンド、『Maniju』ツアー最終日に寄せて

瑞々しい情感に満ちた新作『Maniju』を携えた佐野元春&ザ
・コヨーテ・バンドのツアー最終日を1日は東京ドーム・シテ
ィ・ホールにて。コヨーテ・バンドの剥き出しのギター・ロ
ックは若々しく、佐野が過去率いてきたザ・ハートランドや
ホーボー・キング・バンドに比べると荒削りであり、ときに
アメリカのオルタナティヴ・ロックを彷彿させるほどだが、
そのザラついたサウンドスケープのなか、メロディの輪郭が
しっかり浮かび上がり次第に高揚していく様が、もう圧倒的
に彼らしい。

歌詞カードを読む限りでは一見ありきたりな言葉たち。それ
が確かなバンド・サウンドを伴いながら立体的になっていく。
もしロック音楽に最大の武器があるとすれば、まさに佐野元
春は37年間に亘ってそれを実践してきた。しかも彼の場合は
とかく内輪向きになりがちな趣味の世界を善とせず、私たち
が普段見ている街の景色や人々の群像を鮮やかな絵の具で塗
り換えてみせた。たとえ困難な時代であっても、標語やプラ
カードを掲げるのではなく、もっと幾多にも広がっていく想
いを大事にしてきた。

幾多の気持ちが渦巻く春の帰り道、私は道端の名もない若葉
にふと足を止めてみた。


e0199046_23281394.jpg


[PR]

by obinborn | 2018-04-01 23:30 | rock'n roll | Comments(0)  

<< サーディンヘッドの鰯釣りに行っ... キース・リチャーズの背骨 >>