再訪:ボニー・レイット『ファースト』

吉村瞳ちゃんを構成する10枚なんていうのを勝手に妄想して
いるのだが、間違いなくボニー・レイットはエントリーされ
ることだろう。骨太なヴォーカルとスライド奏法そしてルー
ツ音楽への確かな眼差しという点で共通する。レイットは自
ら書いたライナーノーツにこう記している「ミネトンカ湖近
くの西ミネアポリスからおよそ30マイルほどのエンチャント
島で私たちは虚しいサマーキャンプを過ごしました。そこで
出来た音楽がここに収録されています。私たちはベーシック
な4トラックでのレコーディングを心がけました。そう、音
楽が持つ自発性とナチュラルな感情を失わないためにね。ミ
ュージシャンが個々の仕切り板に入り、彼らそれぞれのパー
トを完璧にオーバーダビングすることも出来たことでしょう。
でも私たちはその完璧という誘惑に音楽を生け贄として差し
出したくなかったのです」

今これを読み返せば、まだ20代前半だった小娘の背伸びした
感情や鼻っぱしの強さも感じる。しかし、一見青臭いこうし
た想いが、以降どれだけレイットの音楽を豊かに育んでいっ
たを思うと、彼女の審美眼の確かさに心打たれる。敬愛する
シッピー・ウォーレスの2曲、『RCAブルースの古典』で私
が知るところとなるトミー・ジョンソンの曲の生き生きとし
た解釈、ジャズ・スタンダードとなるバド・ジョンソン作の
Since I Fell For Youの瑞々しさ、あまり自作しないレイット
が珍しくソングライティングに取り組んだThank Youでの実
感など、21世紀から18年経った今なお、聞かれるべき71年の
記念碑がここに。ロバート・ジョンソンのデルタ古典Walking
Bluesのレイット版はどうだろう。そこに私は人々が泣き笑う
光景を受け止め、驚愕する。

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by obinborn | 2018-07-28 18:26 | blues with me | Comments(0)  

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