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ボズの新作『OUT OF THE BLUES』をジョー・スコットを通して理解を深める

ボズの新作で驚かされたのはジョー・スコットの名前が記されて
いたことだ。正確には「このホーン・アレンジはジョーのオリジ
ナル編曲を元にしています」とクレジットされており、筆者はも
うそれだけで胸に熱いものが込み上げてきてしまった。ジョー・
スコットといえばデューク/ピーコック・サウンドに欠かせない
トランペッター&バンド・リーダーであり、ボビー・ブランドや
ジョニー・エイスやジュニア・パーカーの作品で馴染んだブルー
ズ/R&Bファンは少なくないだろう。

そんなジョーの名前をわざわざ楽曲のパーソネルに書き、アレン
ジ自体も60年代初頭のデューク/ピーコック録音に倣った部分に
ボズのブルーズ音楽に対する深い愛情を感じずにはいられない。
しかもボビーをカバーした2曲に限って、その旨がさり気なく書
かれている。それを知った時、私は思わず震えてしまった。

ダウンローディング世代にはアルバムのパーソネルを丹念に追い
かける人はきっと少ないはず。しかしながら、それを丁寧に読み
込んでいけばミュージシャンの音楽的な背景を理解する一端とな
ると思いたい。そんなこともあって、本作『OUT OF THE BLU
ES 』はより親しい存在になった。挙げた音源はボビー・ブラン
ドが61年にリリースした『TWO STEPS OF THE BLUES』に
オリジナル・ヴァージョンが収録されている。この曲が58年以上
経った今蘇る。その温故知新を噛み締めたい。テキサスで少年期
を過ごしたボズにとって、ヒューストンを根城にしたデューク・
ピーコック・サウンドはきっと子守唄のようなものだったろう。


by obinborn | 2018-08-26 18:53 | blues with me | Comments(0)  

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