四半世紀以上ユニホームを着続けたイチロー
外野深くから鋭く返球され本盗を阻止するプレイに誰もが
息を呑んだ。通称レザービームと呼ばれる送球であり、大
リーグの中でも「最も肩が強い外野手」と讃えられた。実
際ヒッティングバッターという看板だけでなく、走塁や守
備でも私たちを釘付けにする、文字通り打走守の三本柱が
揃った選手だった。とかくホームランが重宝される米国の
大味なベースボールに、”ファスト"な魅力を加味したのが
イチローその人だった。感情を表に出さない態度から「チ
ームの勝利よりも個人の記録を優先している」と揶揄され
たこともあったが、意に介さなかった。多くの人々はきっ
と忘れているだろうが、かつて国民名誉賞を「まだ道半ば
ですから」と辞退したのも、イチローらしいストイックさ
の表れだったと思う。近年は以前の冴えがなく、出場する
試合も少なくなっていたが、最後まで現役というか、より
正確にはマリナーズの一員であることにこだわり、今年の
キャンプにも合流した。そのキャンプの終盤に自分の限界
を悟ったことが21日の引退会見に繋がった。日本で9年ア
メリカで19年めと四半世紀以上もユニホームを着続けた45
歳の別れの挨拶は、爽やかで晴れ晴れしかった。
by obinborn | 2019-03-22 10:16 | one day i walk | Comments(0)