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追悼:河村要助氏

河村要助さんが亡くなった。享年75歳。練馬区の老人ホーム
で息を引き取ったという。歳の割に介護施設に入るのが早す
ぎる気はするが、何でも闘病生活が長かったらしい。要助さん
といえば”ヘタウマ”の元祖のようなイラストレイターであり、
またサルサ音楽を広く紹介した音楽評論家としても有名で、
情景が匂い立つような文体に痺れたものだが、サルサに熱を
上げる以前はロックやポップスのレヴューも毎月の『ニュー
ミュージック・マガジン』で担当されていた。例えばストー
ンズの『ブラック&ブルー』評での「ビリー・プレストンがサル
サ風のキーボードを弾いている」J.ガイルズ・バンド『狼から
の一撃』での「スプリームスの『愛は何処に行ったの?』で
観客が大歓声を送るのはさすがデトロイト。ぐっと来る」(
いずれも大意)などは、今も私の胸に突き刺さっているほどだ。


きっとそれは雑誌を媒体にする位しか音楽と接することが出来な
かった70年代のシアワセな体験だったのだろう。『マガジン』
の表紙は76年の3月号までが矢吹申彦さんで、4月号のポール・
ロジャーズ!から要助さんにバトンタッチしたと記憶する。
『サルサ天国』に続編の『サルサ番外地』と2冊の氏の著作を
貪るように読んだことも懐かしい。自分の場合それほどラテン
音楽に傾倒することはなかった。でも一時期それらを聞いたお
陰で音楽の幅が広がったことは間違いないし、ドクター・ジョン
の『グリグリ』を理解する手助けにもなった。一度だけ今はなき
南青山のクラブ、サルパラダイスで要助さんの姿を見たことが
ある。あれは90年頃だったかな。一度も話したことのない方に
「要助さん」は失礼に過ぎるけれど、今まで本当にありがとう
ございました。

追悼:河村要助氏_e0199046_18195866.jpg

by obinborn | 2019-06-11 18:21 | one day i walk | Comments(0)  

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