『レココレ〜ライ・クーダー特集』の思い出
音楽ライターとして最も忙しかったのは僕がデビューした1990年から2000年までの最初の10年間だけでした。 97年の秋に最初の単行本を出したこともあって、それ以降は「好きな原稿しか書かない」という方針を少しずつ固めていったのですが、無論それ以外にも音楽産業の衰退という原因は大きかったでしょうね。実際90年代の前半にはまだ元気だった音楽出版社もレコード会社もどんどん淘汰されていきましたから。それはともかく、今日は思い出深い記事として『レココレ』90年6月号に書いた「ライ・クーダーのセッション活動」を振り返ってみましょう。まず膨大な量に及ぶライの参加作を整理することが大変でした。基本的に全ての音源を実際に聴かなければ何も始まりませんので、自分の持っていないアルバムは人様からお借りするしか方法がありませんでした。当時は今と違ってネットもユーチューもなかったのです。また自分なりのこだわりとして、ライがギターを弾いているのか、それともマンドリンなのか、同じギターでもエレクトリックなのかアクースティックなのか、押弦なのかスライドなのか、ソロ・パートなのかリズム・ギターなのかといった細かい部分も可能な限り明記しました。昼間の仕事が終わってから深夜にかけて、そんな作業に没頭していくのですからこれは相当キツかったですよ(笑)それでも結果的にライ・クーダーの仕事を一望するという目的は果たせたので、今となっては懐かしい思い出です。当時僕はまだ30歳をちょっと超えたくらいでした。
by obinborn
| 2020-04-06 07:08
| one day i walk
|
Comments(3)