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ニール・ヤング「Thrasher」


☆☆☆☆☆私の人生に大きな影響を与えた一曲:ニール・ヤング「Thrasher」大抵のパンク賛歌が「年寄りはもう要らない!ここから出て行け!」と勇ましく叫んでいた79年という時代の節目に、「やがて僕は古来の恐竜のように死に絶えるだろう。いつか脱穀機がやって来て土地を刈るように」と秘めやかに歌ったのがニール・ヤングだった。旧世代に属する自分を客観的に見つめたこの曲が、ジョニー・ロットンに触発されたMy My hey Hey(Out Of The Blue)の次に置かれた辺りにヤングの微妙な揺れを感じる人もいらっしゃるだろう。僕もまさにそんな聞き手の一人であり、その複雑さ故にヤングのことを以前よりもっと好きになった。何も勇ましく叫べばいいというものではない。物事には必ず表裏があり、複雑に絡まった感情の糸口がある。そうした側面を見る人と見ない人との間では言葉や時代への射程がまったく違うのではないだろうか?やや話は飛躍してしまうが、単純な正義警察とも呼ぶべき反原発運動やアベノセイダーズに僕が乗れないのも、彼らのあまりに幼稚な原理主義を警戒しているからだ。何も旗色を鮮明にして党派性を打ち出すことだけが政治的なアティチュードではない。むしろ本物のアーティストほど”言いっ放し”の状況を苦々しく思いながら、深く潜行して言葉を探すのではないだろうか?そんな僕の考え方に深い影響を与えたのがこの「Thrasher〜脱穀機」だった。





by obinborn | 2020-05-22 04:13 | Comments(0)  

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