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ピアノを弾くジェイムズ・テイラー

久しぶりに『マッド・スライド・スリム』を聞いていたら、凝り固まっていた気持ちがほぐれてきた。趣味で楽しむ音楽は他にもいろいろあるけれど、青年期に接した同時代のアーティストとなると限られてくる。ジェイムズ・テイラーはそんな数少ない一人だ。
小坂忠や細野晴臣の初期の作品を聞いていると、はにかんだ歌い方からよくシンコペイトするギターまでジェイムズからの影響が感じられるが、シンガー・ソングライターがバンドを携えて音楽的な膨らみを増していったという意味で、彼とザ・セクションとの関係は、小坂とフォージョーハーフや細野とキャラメル・ママにとって大きな指標となったことだろう。
話を71年の『マッド・スライド・スリム』に戻すと、ベースのリー・スクラーが初参加してザ・セクションの形が整ったという意味でも記念碑的なアルバムだ。当時のジェイムズは「ダンガリーのシャツを着た長髪の男が自叙伝風の悲しい歌を歌う」などと揶揄されてもいたが、青年時代なんて皆んなそんなものだろう。
「昔会った人たちが夢のなかに出てきた。今の僕は彼らに謝りたいのさ」と歌われるPlaces In My Pastのナイーブな響きが好きだった。綺麗な裏メロを取っていくリー・スクラーのエレクトリック・ベースの輪郭が好きだった。珍しくジェイムズが弾く朴訥としたピアノが、かえって演奏に真実味を与えている。

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by obinborn | 2022-09-15 07:14 | one day i walk | Comments(0)  

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