オーティス・レディングの「アイ・キャント・ターン・ユー・ルーズ」からシスター・ロゼッタ・シャープの「ディドント・イット・レイン」まで、14日の吉村瞳はスライド・バーを多用したブルース色が濃い選曲で一気に畳み掛けていった。豊富なレパートリーを持つ彼女だけにライブは毎回一期一会みたいなものだが、今回は「カバー・ナイト」のシリーズということもあって、シンガー・ソングライターというよりは骨っぽい演奏が際立つ。
そんな意味ではJ.B.レノアーの「アイゼンハワー・ブルース」やボ・ディドリーの「プリティ・シング」もテーマに折り重なっていくような楽曲だったと思う。アンコールに用意されたインプレッションズの「ピープル・ゲット・レディ」を含めて、その一つ一つが味わい深く、五臓六腑に染み渡るようなニュアンスがあった。
何でも春先には気心知れつつあるバンドと新しいアルバムのレコーディングに入るらしい。そこに収められるオリジナル曲を楽しみに待っていたい。