2018年 07月 21日 ( 1 )

 

キャンディ・ステイトン『Stand By Your Man』

念願叶って本日キャンディ・ステイトンのfame原盤
『Stand By Your Man』(ST-4202)を購入しまし
た。かつて日本のvivid soundsが本作をリイシューし
た86年頃呆れるほど親しんだものですが、米オリジナ
ル盤はあまりにもプレミアムな高嶺の花でした。しか
し本日御茶ノ水のユニオンに行き、¥2,600でようやく
手を打ったのです。

時は69年。fameはこれまで提携関係にあったアトラン
ティックとの契約を打ち切り、新たにキャピトルを配給
先とします。規格番号がSDからSTに変化したのはそう
した事情からですが、アラバマ州ハンスヴィルに生まれ
れ、10代の頃からゴスペル・グループで歌っていたキャ
ンディがソロ・デビューしたのが、まさにこの時期でし
た。タミー・ウィネットのカントリー・ヒットStand By
Your Manを見事なサザン・ソウルに変換した力量にまず
驚かされますが、それはまだ序の口で、バラードのHow
Can I Put On The Flame(When You Keep The Fire
Burning)に移行するA2で、いきなりアルバムは頂点に
達します。この苦味に満ちたスロー曲でのキャンディの
純な歌いっぷり、手垢に塗れていない表現力に本物のデ
ィープ・ソウルを感じてなりません。他にもブルージー
なI'm Just A PrisonerやHe Called Me Baby、跳ねる
ビート感が可愛らしいToo Hurt To Cryなど、起伏豊か
にアルバムは進んでいきます。ところでキャンディはク
ラレンス・カーターの妻(のちに離婚)としても知られ
ていますが、例えばクラレンスの代表曲Slip Away風に
迫るMr.And Mrs.Untrueでは、クラレンス得意のオブ
リ奏法が聞こえるといった具合に興味は尽きません。そ
こら辺のことを突っ込んだインタビュー記事があればぜ
ひ教えて頂きたいものです。

ところで69年といえば、映画『黄金のメロディ〜マスル
・ショールズ』で描かれていたように、 フェイムの創始
者であるリック・ホールの独裁体制に嫌気が差したスワ
ンパーズ(ジョンソン=フッド=ホウキンズ=バケット
ら)が、新たにマスル・ショールズ・サウンド・スタジ
オを、シェフィールドにて立ち上げる時期と重なります
よね。そうした新たな門出に動ずることなく(実際は心
穏やかでなかったのでしょうが)徹頭徹尾フェイムなら
ではのビシッと締まったリズム隊(ロウ=ボイス=ブラ
ウン=アイヴィら)で固めた本作には、やはりリック・
ホールの意地が感じられてなりません。かつて筆者はそ
んなホールを「ひとつの時代しか生きられなかった男」
と書いたことがありますが、時代が激しく移り変わって
いった60年代の終盤に、リック・ホールの叡智とキャン
ディ・ステイトンのピュアな歌とが奇跡のように結晶し
た本作『Stand By Your Man』が生まれたことに感謝
したい気持ちでいっぱいです。

レーベルには誇らしくこう記されています。Recorded
At Fame Recording Studios 603 E.Avalon Ave.Mus
cle Shoals,Ala と。そしてProduced And Arranged
By Rick Hallと。


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by obinborn | 2018-07-21 18:30 | one day i walk | Comments(0)