長門芳郎氏の著作『パイドパイパー・デイズ〜私的音楽回想 1972-1989』を読んで

読んでいて妙に切なくなった。シュガー・ベイブのマネジャー
から輸入レコードショップの店主、あるいは海外アーティスト
の招聘まで活躍されてきた長門芳郎氏の回想録が『パイドパイ
パー・デイズ』(リットーミュージック 2016年)である。音
楽好きの青年が故郷を離れ上京し、やがてある種の洋楽の指南
役となっていく。そんな過程がご本人の飾らない文体で書き留
められている。サブ・タイトルに「私的音楽回想 1972-198
9」とあるように、長門氏と同時代を生きた人々が思いを重ね
ることは多々あるだろう。

ラヴィン・スプーンフルやローラ・ニーロに夢中になり、それ
をきっかけに業界に入った青年が、いつしか80年代に起こった
バブルの影響で地上げの問題に遭遇し、「パイド」があった南
青山の地から立ち退きを余儀なくされる。そんな過程のひとつ
ひとつを激動の昭和史と重ねても問題はあるまい。amazonに
代表されるネット販売に慣れている今時の若い方々には、かつ
てパイドやその他多数の輸入レコード店で交わされていた生き
生きとした情報交換や気取らないお茶話が新鮮に映るのかもし
れない。個人的にもパイドにはよく通った。午後の講義が終わ
ればパイドに行き、ドクター・ジョンの『ガンボ』やアラン・
トゥーサンの『サザン・ナイツ』を買った。吉祥寺の中道商店
街にあった芽瑠璃堂とともに、この2店はぼくにとってまさに
”スクール”に他ならなかった。閉店直前の89年にパイドで買っ
た最後のレコードは、ブライアン・ウィルソンの12インチ・
シングルLove and Mercyだったかな。

今や伝説的なショップとして語り継がれているパイド。初代の
経営者である岩永さんがかつて晶文社から出された書籍と本書
を併読していけば、70〜80年代の東京をより俯瞰出来るかもし
れない。


e0199046_19172933.jpg



[PR]

# by obinborn | 2018-02-11 19:20 | one day i walk | Comments(0)  

開封されなかったメール

以前僕が派遣切りに遭った時、殆ど唯一同情してくれたのがTさん
だった。他の多くの職員が「当たらず触らず」だったのに対して、
Tさんだけが直属の上司に理不尽さを訴えてくれたことが嬉しかっ
た。芯が強く正義感があり、見た目は少しパティ・スミスにも似
た女性で、彼女とだけは職場で不思議と気持ちが通じ合ったものだ
った。そんなTさんからのショートメイルを僕は何と二ヶ月半も気
が付かずに放ったらかしにしたままだった。もともとスマホの機能
に弱い自分をまさかこういう形で知るとは思わなかった。たまたま
妹からのメールがあり、それを遡ったことでTさんから連絡を頂い
た旨を今日やっと知るところとなった。

「お役に立てなくてごめんなさい。小尾さんのロッカーにビールを
入れておきました。少しですが飲んでください。私オビさんの分も
頑張りますから」それがTさんから届いたメールのおよその文面だった。        何と彼女は職場が思うように改善されなかったことを詫び、別れの
挨拶として置き土産までそっと忍ばせてくれていたのだった。その
職場に戻ることも、そこにあった自分のロッカーを開ける機会も、          もう永遠にやってこないだろう。それでもTさんの優しい心遣いに

思わず胸が熱くなった。

e0199046_13322269.jpg

[PR]

# by obinborn | 2018-02-05 13:32 | one day i walk | Comments(2)  

遥かに、トム・ペティへ

昨年の10月にトム・ペティが急逝した時は気が重かった。              というのも最初の4枚のアルバムしかしっかりと聞いたこ
とがない自分はとても熱心なファンとは言えず、皆んなの
流れに乗って追悼するのはいかにも傲慢だと考えたからだ。
きっとあまり縁がなかったのだろう。今ぼくの手元にある
のは81年のシングル「ザ・ウェイティング」のみ。よって
以下はそんな男の雑文として読んでいただければと思う。

トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの最初のシングル
「アメリカン・ガール」を最初ラジオで聞いた時の衝撃は
今も忘れられない。それはザ・バーズを彷彿させるフォー
ク・ロックで、ぼくはてっきりロジャー・マッギンの新曲
かと錯覚したほどだった。甘く鼻に詰まったような歌い方
もマッギンに似ていた。またのちにパブ・ロッカーのルー
・ルイスが取り上げた「ホームタウン・ブルース」の泥臭
い響きも好きだった。ペティの最初の2枚がシェルター・
レーベル発だったことに大いに納得したものだった。そし
て「ルイジアナ・レイン」に映し出されるアメリカの風景
には不思議なデジャヴ感を覚えた。

奇抜さや最新モードが重宝されがちなニューウェイブ以降
のシーンの中で、彼らの音楽はいわばロックの本家本流に
位置し、最初からずっとバンド・サウンドを鳴らし続け
た姿勢にも好感を持った。ソロモン・バークの「クライ・
トゥ・ミー」は恐らくストーンズを経由したものだろうが、
そんな部分にトム・ペティの率直な性格が滲み出ていた。
60年代に築かれた良き時代のロックやR&Bを継承しなが
ら今に蘇らせる。それがまさに彼らの基本的な姿勢であり、
自分たちの目を通して見える世界のありようだった。

冒頭に挙げた「ザ・ウェイティング」でペティはこんなこと
を歌っている「辛い時代じゃないか。約束を守ることもまま
ならないじゃないか」彼がどういう文脈でこの歌を作ったの
かは定かではない。ただ81年当時まだ20代の序盤だったぼく
の心を捉えるばかりか、多くの人々の共感を集めた。その曲
を最後にトム・ペティのレコードを買わなくなってしまった
理由は今もよく解らない。彼は彼の道を歩み続け、多くの作
品を作り続けた。たまに耳にする彼の新作は変わらないこと
でかえって聞き手の信頼を得るものだったと記憶する。

最後に個人的な話で恐縮だが、昨年末に行ったDJでエヴァ
リー・ブラザーズ版の「ストーリーズ・ウィ・クッド・テ
ル」を流した。ジョン・セバスチャンが書いたこの歌を、
トム・ペティのヴァージョンで知った方も少なくないだろ
う。こうした温故知新のスピリットが最後までペティの音
楽を支えていたのだ。その日の帰り道、夜間バスに揺られ
ながらStories We Could Tellのリフレインを口ずさんで
みた。その時初めて失われたものの大きさに気が付き、少
し泣いた。

e0199046_10591139.jpg


[PR]

# by obinborn | 2018-01-17 11:00 | rock'n roll | Comments(0)  

佐野元春のウッドストック・アルバム『THE BARN』の上映会に寄せて

「日本で音楽をやっていると時々寂しくなります。でも
ウッドストックに行ってジョン・サイモンやガース・ハ
ドソンと一緒に演奏した時、大先輩である彼らとぼくた
ちはしっかり繋がっているんだなと初めて実感出来まし
た。それが渡米して作った『THE BARN』アルバムで最
も嬉しかったことです」

かつて佐野元春はラジオ番組の収録時、私にそう語り掛
けてくれたことがあるのだが、今日(16日)に行われた
『THE BARN』の上映会を観終わって、ふと彼のそんな
言葉を思い起こした。「ザ・ハートランドの時代はぼく
がアレンジの方向性やフレーズの指示まですることが多
かった。ところが新たにザ・ホーボー・キング・バンド
を結成してからは変わりました。ぼくは曲の骨格だけを
メンバーに伝えます。HKBはみんな卓越したプレイヤー
ばかりでしたから、あとは彼らが変幻自在に曲を解釈し、
自由に引き伸ばせていけるんです。そういう意味ではま
さにHKBはジャム・バンドだったと思っています」今日
の上映会に登壇した佐野は、およそそんなことを言って
いた。

自然でオーガニックなバンド・サウンドに満ちた『THE
BARN』録音時のドキュメント・フィルムと、アルバム
発表に伴う98年当時のライブ・ツアーの映像から構成さ
れた”爆音”上映会で、改めてぼくはザ・ホーボー・キング
・バンドの実力とルーツ・ミュージックへの確かな眼差
しを感じた。佐野元春をよく知らない方だと、彼が輝か
しくデビューを飾った80年代前半のイメージしか持って
いないのかもしれない。まして初期の彼は都会の情景を
映し取るタイプのソングライターだった。そんな佐野も
実は70年代のカントリー・ロックやスワンプ・サウンド
に夢中だった青年時代を過ごしていた。その点を確かめ
られただけも収穫の上映会だった。上映が終わってから
訪ねた楽屋でオレンジ・カウンティ・ブラザーズの谷口
邦夫さんをご紹介した時の、佐野さんのチャーミングな
笑顔が忘れられない。

e0199046_01214579.jpg

[PR]

# by obinborn | 2018-01-17 01:24 | Comments(0)  

鷹の台のレコード店「ビュグラー」に行ってきました

今日は仕事が終わった後、鷹の台のレコード店「ビュグラー」
に行ってきました。昨年6月に開店したこのお店、以前から噂
だけはよく耳にしていたのですが、今回ようやく伺うことが
出来ました。武蔵野の面影が残り、近くに玉川上水がある小平
市は私の実家がある所沢にも隣接しているため、思わず親しみ
が湧いてきますが、そんなローカルな町に中古レコ・CD屋が
出来たなんて素晴らしいことです。しかも特に70年代のSSW
/スワンプ/トラッドの品揃えには力を入れているとのこと。こ
りゃ行かなきゃ罰が当たりますよね。

明るく広々とした店内にはよく整理されたLPやCDが並んでい
ますが、一枚一枚のプライスカードに的を得たコメントや盤質
が細かく記され、店主の愛情が滲み出ていました。少しだけお
話させて頂いたのですが、若い時分は何でも渋谷のブラックホ
ークに通われていたらしく、相当な音楽通だとお見受けしまし
た。ちなみに店名はラリー・マレイが書き、ザ・バーズ在籍時
のクラレンス・ホワイトが歌ったヴァージョンで一躍有名にな
ったBUGLER(アルバム『FARTHER ALONG』所収)から命
名されたとか。ぼくが真っ先にそのことを切り出すと、店主は
穏やかそうに笑ってくださいました。

あまりに安価だったので重複を知りつつジョン・ヘラルド、バ
リーマン、グリース・バンドを思わず購入したほか、収穫だっ
たのは今日生まれてから初めて現物を見たカナダのSSW、ウィ
リー・P・ベネットのセカンド・アルバムでした。以上4枚で
〆て6,600円!このリーズナブルなお値段もビュグラーの魅力
の一つでしょう。最後に「また来ます!」とご挨拶して、冬の
武蔵野を後にしました


e0199046_16491376.jpg😊


[PR]

# by obinborn | 2018-01-15 16:50 | one day i walk | Comments(0)  

日高屋のラーメンにはもう飽きた

さすがに日高屋のラーメンには飽きてきた。あんなケミカルな
もん毎日食べていたら明らかに早死しますぜ。私は少々味覚オ
ンチで、親父が死ぬ前に家族で記念で入った鮨屋が外れだった
時も結構美味そうに食べていて、妹に思いっきり馬鹿にされた
ことがあるのだが、そんな私でも日高屋の麺が不味いことくら
い解る。かといっていわゆる美食家(グルメ)と呼ばれる連中
はもう生理的に鼻持ちならなく感じてしまうのだけれど。

ファッションと食べ物にうるさい男は大成できないとよく言わ
れる。ジェリー・ガルシアはあんな美しいギターを奏でながら
普段食べるものはジャンクフードばかりで、それが死期を早め
と言われる。ヴェートーベンもチャック・ベリーも私生活では
相当苦労し、試練の日々を過ごしたと言われる。そんな彼らか
ら素晴らしい、歴史に残る音楽が生まれた。その価値を考えて
みたい。


e0199046_17284973.jpg

[PR]

# by obinborn | 2018-01-09 17:30 | one day i walk | Comments(0)  

シェール69年の名盤『3614 JACKSON HIGHWAY』に映る面々を紐解きたいです!

リック・ホールの死去に絡んで、先日テキストにてご紹介した
シェールの『3614 Jackson Highway』( ATCO 69年)です
が、アトランティック・レコーズの首領ジェリー・ウェクスラ
ー制作のもとに作られたこのアルバムを今聴いています。主役
であるシェール(フォーク・ロックのデュオ、ソニー&シェー
ルの片割れ)だけでなく、マスル・ショールズ・サウンド・ス
タジオ(MSS)の通称スワンパーズまで登場させたところに、
バックを担うプレイヤーたちにも光を当てようとする、アトラ
ンティック/アトコ・グループの志が伺えますね。

ところでこのジャケットに映る12人の名前を正確に言い当てら
れる方って、どのくらいいらっしゃるのでしょうか?実はぼく
はパーフェクトには言えないのです(すみません)が、自分が
解っている範囲で、表記してみたいと思います。

最前列中央→シェール。二列目左からエディ・ヒントンg、デ
ヴィッド・フッドb、不明、ジェリー・ウェクスラーprod、
ジニー・グリーンback vo、不明、トム・ダウドengineer、
三列目左からジミー・ジョンソンg、アリフ・マーディンprod、
ロジャー・ホーキンスds、バリー・バケットkbd、以上です。

どなたか、ぼくが謎解き出来ない弱冠2名について、ご教授して
頂けないでしょうか? 情けない限りではありますが、どうか
よろしくお願い致します@-@


e0199046_17440466.jpg

[PR]

# by obinborn | 2018-01-08 17:47 | Comments(1)  

グレアム・ナッシュの歌が今も聞こえてくる

今日仕事帰りに振り袖姿のお嬢さんたちに出くわしました。
ああ、そっか〜本日は成人式だったんですね。今から40年
ほど前、ぼくの時は15日だったけれど。生意気だった盛り
なので自分は所沢市から届いた成人式の案内状を破り捨て、
絶対出席なんかするものかと心に誓ったのです。両親は嘆
き、一体この子は将来どんな大人になってしまうんだろう
と心配したそうです。

年寄りの戯言として笑われて一向に構わないのですが、昔
と比べても最近は体制というか現状の社会に従順な若者が
増えているような気がします。県なり市なりが主催する式
に出席しながら、酒の勢いで暴れる若者の気持ちが、オジ
サンは正直理解出来ません。それだったら一人家に篭って
小説を読んだり、音楽を聴いたりすることを選んできまし
たからね。自分はとにかく誰かとつるんでしか何かを出来
ない連中にはなりたくなかったのです。

そんなオジサンが当時夢中になって聴いていたのがグレア
ム・ナッシュのファースト・アルバム『Songs For Begin
ners』(71年:初心者のための歌たち)です。その中には
BE YOURSELFというとても印象的な曲があります。あえ
て歌詞を語ることはしませんが、この歌はまるで「孤独で
も一人ぽっちでもいいじゃないか、自分らしくあれば」と
語りかけてきたような記憶が今も残っています。


e0199046_16221148.jpg

[PR]

# by obinborn | 2018-01-08 16:24 | rock'n roll | Comments(0)  

追悼:リック・ホール、第二回〜ひとつの時代しか生き抜けなかった男

リック・ホールの訃報を受けて、アラバマ・サウンドが今再び
話題になっていますが、追悼記事の一部にやや誤認が散見され
ますので、ごく大雑把に整理しておきますね。フェイム・スタ
ジオをフローレンスに設立したホールが、プロデューサーとし
てR&Bやソウル音楽に関わったのはおよそ61年くらいからで、
彼はここでアーサー・アレキサンダーやジミー・ビューズとい
ったシンガーを育てます。そんなフェイムに注目したのがアト
ランティック・レコーズのジェリー・ウェクスラーです。それ
まで自社のあるニューヨークのスタジオでのセッションに甘ん
じていたアリーサ・フランクリンやウィルソン・ピケットにア
ラバマ録音を提案し実行したのはジェリーの功績で、アラバマ
・サウンドが全国区へと羽ばたいていく契機となりました。ち
なみにこの頃のフェイムに集まっていたスタジオ・メンはジョ
シ・ボイスb、フリーマン・ブラウンds、ジュニア・ロウg、
クィントン・アイヴィkbdらで、彼らはフェイム・ギャングと
いう愛称で親しまれました。またオールマン・ブラザーズを結
成する以前のデュエイン・オールマンが腕を買われ、フェイム
のスタジオ・ミュージシャンとして頭角を現していくのは68〜
69年頃のことでした。

ところが69年前後からフェイムに枝分かれが起きました。デヴ
ィッド・ フッドb、ロジャー・ホーキンスds、バリー・バケッ
トkbd、ジミー・ジョンソンgといった同地の白人チームが独立
し、新たにマスル・ショールズ・サウンド・スタジオ(MSS)
を拠点に独自の活動を始めたのです。これにはリック・ホール
のワンマンぶりに嫌気が差したとか、ギャランティに不満があ
ったとか諸説語られていますが、マーティン・ルーサー・キ
ング牧師の暗殺やオーティス・レディングの事故死などを経て
サザン・ソウルが一つの節目を迎えていた背景を考えてみたい
ですね。そう、ぶっちゃけもう黒人音楽だけでは喰っていけな
くなった事情もありましたが、いよいよ本格的にロック音楽の
ルーツ探しという気運が高まったのがまさにこの時期だったの
です。

その動向に目を向けたのが、またもやジェリー・ウェクスラー
でした。フッド、ホウキンス、バケット、ジョンソンは通称ス
ワンパーズと呼ばれていますが、彼らを気に入ったジェリーは
トロイ・シールズ、バリー・ゴールドバーグ、マイク・フィニ
ガン、ドニー・フリッツといった音楽家を積極的にスワンパー
ズと組ませ、MSSでのレコーディングを精力的にこなしました。
またアメリカだけでなく、ローリング・ストーンズ、トラフィッ
ク、ルル、ロッド・スチュワート、マイク・ハリソンといった
英国のミュージシャンも同地を訪れるようになり、ロック音楽
とマスル・ショールズとの蜜月時代が始まりました。MSSのス
タジオはその住所から俗に『3614ジャクソン・ハイウェイ』と
も呼ばれますが、そのタイトルを冠したシェール69年のアルバ
ムは、ジャケットに主役のシェールだけでなく、スワンパーズ

の面々を登場させるなど、かなり意識的にMSSをアピールした

ものでした。そうしてジェリーはアトランティック傘下の姉妹レ

ーベル、アトコに関してもロック部門のカタログを強化しながら

スワンプ・ロックの時代を牽引していったのです。

さらなる枝分かれも時代の変化とともに訪れました。70年代も
後半になると、同じアラバマのマスル・ショールズ地区ながら、
新しくブロードウェイやウィッシュボーンといったスタジオが
開設され、より洗練されたAOR路線の音楽を作り上げました。
レニー・ルブランの76年盤とルブラン&カーの77年盤はそれぞ
れがブロードウェイ録音とウィッシュボーン・レコーディング
になります。この2枚をプロデュースしたピート・カーもマス
ルに新しい息吹きを持ち込んだ優れたギタリストでした。そし
てビッグ・トゥリー・レーベルから発売されたこれらのアルバ
ムの配給網もまたアトランティックだったところに、マスルと
の深い因縁を感じずにはいられません。

こうして改めて時代を俯瞰していくと、リック・ホールが充実
したプロデュース業に打ち込んでいたのは主に60年代であり、
以降はアトランティックやジェリー・ウェクスラーの思惑に
翻弄されていった様子が伺えます。個人的にはフェイム・ギャ
ングが活躍したソウルの時代も、スワンパーズによるロック・
・サークルとの実りある出会いの季節も、AORの時代に備えた
ブロードウェイ/ウィッシュボーン・サウンドも好きですが、
リックの輝かしい業績が凝縮された60年代のフェイム・サウン
ドがあったからこそ、アメリカ深南部のアラバマ音楽がこれだ
け注目され広く深く愛されたのだと思います。なお最後に参考
文献としてピーター・ギュラニックの名著『スウィート・ソウ
ル・ミュージック』(シンコーミュージック)を挙げておきま
しょう。サザン・ソウルの隆盛、リック・ホールの野心と失意、
白人と黒人との葛藤、その書物にはそれらすべてが書き留めら
れています。

(写真はデュエイン・オールマンと打ち合わせするリック・ホ
ール)


e0199046_17252964.jpg


[PR]

# by obinborn | 2018-01-04 17:27 | one day i walk | Comments(0)  

追悼:リック・ホール〜フェイム・サウンドの創始者に捧ぐ

新年早々にリック・ホールの訃報が飛び込んできた。85歳という
から大立者とまでは行かなくとも、十分な生涯を過ごしたことだ
ろう。彼がアラバマ州の小さな町にフェイム・スタジオを作らな
ければサザン・ソウルの隆盛や、ロック音楽家のマスル・ショー
ルズ詣もなかったはず。それを思うとあまりの偉大さに溜息しか
出てこない。近年では映画『黄金のメロディ〜マスル・ショール
ズ物語』が公開されたり、英ACEによる丁寧な音源発掘作業が進
むなど、再びアラバマ・サウンドが見直されたことはホールにと
って幸せな晩年だったろう。ちなみにFAMEスタジオの語源だが、
これは「名声」の意味ではなく、フローレンス・アラバマ・ミュ
ージック・エンタープライズを略した愛称だ。アメリカの深南部
にメンフィス・サウンド(スタックス、アメリカン、ハイ)があ
り、もう一方にアラバマのフェイムがあった。それらを体験出来
たことを誇りに思う。リック・ホールが制作した膨大なレコーデ
ィング記録のなかから一曲選ぶなんて至難の技だが、今夜はクラ
レンス・カーターの代表的な名唱SLIP AWAYに浸っていたい。
鍵盤奏者ドニー・フリッツはこう回想している「町のドラッグ・
ストアの二階を改造してFAMEスタジオが生まれたんだよ。最初
はオンボロだったけど、そこから誰もがリスペクトする音楽が生
まれたのさ」ミスター・リック・ホール。あなたのすべての業績
に感謝しています。

e0199046_17343788.jpeg

[PR]

# by obinborn | 2018-01-03 17:37 | one day i walk | Comments(0)  

たかがアナログ盤、されど愛しい

まあ、ブームとしてのアナログ盤の流行を危惧する意見は
解るような気がします。同じマスターテープ起こしであれ
ばCDとLPで音質がそう変わるわけがないという理屈もご
もっともでしょう。それは100歩譲ったとしても、まだア
ナログしかなかった時代に作られた盤の音の良さ、膨らみ、
ダイナミズムには抗し難い魅力を感じています。いわゆる
オーディオ的なハイファイ感とは異なりますよ。でもクリ
ア過ぎる音質に疲れてしまう自分には、ファジーな部分を
残したアナログの音がちょうどいいんです。個人的にはと
くに近年外盤シングルの迫力にハマってしまい、今や7's
が集める中心になっているほどです。僕はこの10年でスト
ーンズの英米(時にカナダの)シングルをかなり収集して
きましたが、やはりその音圧は太くシビれています(笑)

こんなこと書いたのも、さる同業者?がアナログ盤のブー
ムを危惧するようなテキストを書いていたからで、まあ彼
の言わんとすることは理解出来るのですが、昔も今もアナ
ログを中心にリスニング・ライフを送ってきた者の実感と
しては譲れない部分を感じました。確かに安易なアナログ
復刻(それも高価!)には「何だかなあ〜」と感じますし、
それをメディアが表面的に持ち上げる姿勢にも納得しては
いません。ただそうした上っ面とは別のところで、うちら
アナログ・ファンというのはしっかり根付いているんです
よ。もっと平たく言えば中古盤探しは日々欠かせない楽し
みであるし、ひとつひとつ演奏家のパーソネルを確認する
ことで自然と得られた知識も結構あるのです。あたかも
現代のスピードに合わせるように音楽が”使い捨て"される
ダウンローディングの時代だからこそ、自分はジャケット
を眺め、「ギターは誰々、ドラムは彼だった!」と確認し
ながら、アナログ盤というフィジカル(肉感的な)体験を
これからも大事にしていきたい。僕はそんな風に思ってい
ます。


e0199046_23345010.jpg


[PR]

# by obinborn | 2018-01-02 23:37 | one day i walk | Comments(0)  

2017年の良かったアルバム、ライブ、本など

◎2017年印象に残ったアルバム

1VAN MORRISON/VERSATILE(exile)
2 VAN MORRISON/ROLL WITH THE PUNCHES(exile)
3 NEIL YOUNG/HITCHHIKER(reprise)
4 BRINSLEY SCHWARZ/IT'S ALL OVER NOW(megadodo)
5SUNNY&THE SUNLINERS/Mr.BROWN EYED SOUL(barrio)
6GARLAND JEFFREYS/14 STEPS TO HARLEM(luna park)
7 JAMES HUNTER SIX/ HOLD ON ! (daptone)

◎2017年心に残ったライブ

1ラリー・パパ&カーネギー・ママ(2/11青山月見ル)
2 佐野元春〜In Motion:スポークンワーズ(4/4渋谷0-East)
3 東京ローカル・ホンク(4/12高円寺JIROKICHI)
4 木下弦二(6/25 高円寺ペリカン時代)
5 サーディンヘッド(7/6 国立地球屋)
6 サザンライツ(9/30 池袋フリーフロウ・ランチ)
7ザディコキックスVSロイヤル・フレイムズ(11/4 江古田倶楽部)
8 東京ローカル・ホンクVS双六亭(11/21 池袋 鈴ん小屋)
9イトウサチ&ブンケンバレエ団(12/6 高円寺JIROKICHI)
10サーディンヘッド(12/30渋谷 クロコダイル)

◎良かった本

1恩田陸『蜜蜂と遠雷』(幻冬舎)
2 大鹿靖明『東芝の悲劇』(幻冬舎)
3三浦しをん『光』(集英社文庫)
4服部高好『アンシーン&アンノウン〜アンサング・ヒーロー
達から聴こえる米国ルーツ音楽』(私家版)
5デヴィッド・クレイトン&トッド・スミス『フリー・ザ・コ
ンプリート〜伝説のブリティッシュ・ブルース・バンド、栄光
と苦悩』(DU Books)

◎良かった映画

1 『約束の地〜メンフィス』

*     *     *

チャック・ベリーとJ.ガイルズが亡くなってしまった寂しさを
267枚買った中古盤LPと7'sで埋め合わせたような2017年でし
たが、長年探していたボビー・ハットフィールド『Messin' In
Muscle Shoals』(MGM)を偶然にもゲット出来たのはこの
うえない喜びでした。今年も「すみませんね、私アホですから」
を合言葉に楽しみたいと思いマス!😃

e0199046_17462791.jpg

[PR]

# by obinborn | 2018-01-02 17:48 | one day i walk | Comments(0)  

素晴らしかった12月30日のサーディンヘッド

「鰯釣りに行く」サーディンヘッドのライブに出掛けることは
よくそんな風に喩えられる。うまい表現だと思う。音楽を聞く
という体験をその日のトータルな記憶とするならば、まさに今
日は大収穫の一日として長らく思い起こされることだろう。目
覚めた朝に鰯を思い仕事を済ませ、待ち遠しい気持ちで会場に
向かう。実際に演奏を聞く以前から音楽は始まっている。グレ
イトフル・デッドを観に行く時、あなたの旅は家を出ることか
らスタートする。そんな風に喩えた人は誰だっただろうか。

リフで固め打ちする部分と、少しずつフリーフォームなジャム
演奏へと逸脱していくパートとの連携が見事としか言いようが
ない。30日は渋谷のクロコダイルでそんな「鰯釣り」を大い
に楽しんだ。90年代の"フィッシュ現象”以来、数多くのジャム
・バンドが現れ消えていったが、サーディンヘッドはしっかり
と生き残った。それもメンバー四人が常に腕を磨き、切磋琢磨
していった故だろう。全員が卓越した技量の持ち主だが、テク
ニックに溺れることなく、音楽そのものを動かしていく推進力
が素晴らしい。

この日は普段のオリジナル曲に加え、グレッグ・オールマンと
ウォルター・ベッカーを追悼し、オールマンズのJESSICAに
WHIPPING POST、そしてスティーリー・ダンのあの懐かし
いシャッフル曲REELIN' IN THE YEARSまでが飛び出すなど、
サーヴィスもたっぷりの濃密な2時間半だった。

e0199046_15060065.jpg

[PR]

# by obinborn | 2018-01-01 15:09 | one day i walk | Comments(0)  

ローリング・ストーンズ「Moonlight Mile」

私が所沢のホース工場でアルバイトをしていたのは確か20才の
夏だったと思う。朝9時前に出勤し午後5時のチャイムが鳴る
まで、ただひたすらホースの部品をマニュアルに従いながら組
み立てていった。細かい溶接作業に関してはしっかりした職人
のおやじさんがいて、まるで若造なぞ寄せ付けない威厳を漂わ
せていたのだが、その年輩の彼が100円の缶コーヒーを奢って
くれたのは予期せぬ驚きだった。どうやら不思議とこういう体
験は末長く記憶に残るらしい。

その当時自宅に帰ると欠かさず聞いていたのが『スティッキー・
フィンガーズ』と『ワーキングマンズ・デッド』の2枚だった。
他に聞けるものがなかったわけではないが、恐らく当時新しく
購入した”新譜”だったのだろう。とにかくこの2枚を交互に針
を落としたお陰で?私は今も『スティッキー』や『ワーキング』
のシークエンスを頭から最後まで暗記しているくらいだ。そう、
Brown SugarからMoonlight Mileまで。Uncle Johns Bandか
らCasey Jonesまで。

それらの日々と現在のどちらが幸せだったのだろうか?無知で
あるが故に守られたことはあっただろう。逆に経験を積み重ね
たがために失ったものもきっとあるだろう。そんな気持ちにな
った時、私は無性にMoonlight Mileを聴きたくなる。忘れもし
ないBサイド5曲め、アルバム最後のトラックだ。先日亡くなっ
たばかりのポール・バックマスターの弦アレンジが、そっと頬
を撫でてくる。


e0199046_19141327.jpg

[PR]

# by obinborn | 2017-12-21 19:15 | one day i walk | Comments(0)  

さらば、音楽業界

僕はわりと日本のインディー系のバンド/アーティストを
観ているほうだが、僕よりずっと著名な音楽評論家の皆
さんをそれらのライブ会場で見かけたことは殆どない。
無論僕にも嗜好があるから、僕が知らない他のライブに
行っているのかもしれないけれど、大抵の場合彼らはビ
ートルズ、ボブ・ディラン、ストーンズ他...といったビッ
グネイムの評価を上塗りする仕事ばかりしている。いつも
言っていることだが、既に各方面からの評価が定まった
ものに追随するより、原石のダイヤモンドとも言うべき無
名の音楽家を発掘し、広く紹介するのが音楽メディアや
ジャーナリスト本来の役割ではないだろうか? およそ30
年間音楽業界を眺めてきて一番痛感するのが彼らの鈍さだ
った。だから僕は彼らとは殆ど付き合わない。その代りに
知り合いのミュージシャンは結構いるしレコード屋の方々
とは仲がいい。以前にも書いたようにもう業界の悪弊には
うんざりしているので、いずれこの世界から足を洗って、
一介の音楽ファンに戻りたいと考えている。


e0199046_14200705.jpg

[PR]

# by obinborn | 2017-12-15 14:20 | one day i walk | Comments(0)  

ニール・ヤング『 HITCHHICKER』に寄せて

やっとニール・ヤングの『HITCHHICKER』がアメリカから到着!これを待っていました!76年にレコーディングされながらも、長いことお蔵入りしてきた未発表音源集だ。なかには『RUST NEVER SLEEPS』(79年)に収録されたpocahontasとpowderfingerとride my llamaや、『COMES A TIME』(78年)でバンド・ヴァージョンが聞けるhuman highway、あるいは『AMERICAN STARS'N BARS』(77年)で親しまれたthe old country waltzといった楽曲もあるのだが、いずれも初期テイクであることを伺わせる弾き語りが圧倒的に生々しい。the old country waltzのみピアノを前にしたものだが、他はすべてギター一本(ときにハーモニカも)によるゴツゴツとした響きがたまらない。クレイジー・ホースの荒れ狂うバンド・サウンドは無論大好きだけれど、その原点ともいえる剥き出しの歌とアクースティック・ギターに鳥肌が立つ。
  
ちなみに76年前後のニールを振り返ってみると、『ON THE BEACH』(74年)『TONIGHT THE NIGHT』(75年)といったダークな名作が並ぶ一方で、クレイジー・ホースとの再出発を誓った『ZUMA』(75年)あるいは旧友スティーヴン・スティルスとの共演盤『LONG MAY YOU RUN』(76年)や、カントリー・サウンドに大きく針が振れた『COMES A TIME』(78年)といった作品を残している。それらのオフィシャル・アルバムを聴きまくった者であれば、『HITCHHIKER』ほど嬉しいクリスマス・プレゼントはあるまい。
                                        本作『HITCHHICKER』のジャケットに映っているのは恐らくマリブのズマ・ビーチであろう。シャングリラ・スタジオの近くのズマで夜空を見上げながら「アケイディアの流れ木」を書いたロビー・ロバートソンは最後の達成を感じ、ザ・バンドの解散を決意したという。そしてニールはリック・ダンコとリヴォン・ヘルムを演奏に従えながら、あの暗喩に満ちたsee the sky about to rain(今にも雨が降ってきそうさ)を書き上げたのだった。それらひとつひとつのエピソードを反芻しながらこの未発表音源集を聞いていると、本当に胸が潰れそうになってしまう。

e0199046_18242977.jpg

[PR]

# by obinborn | 2017-12-12 18:29 | Comments(0)  

12月6日のイトウサチ&ブンケンバレエ団

清々しい夜だった。6日はイトウサチ&ブンケンバレエ団の
ワンマン・ライブを高円寺のJIROKICHIにて。ウッド・ベー
スとギターそして時折パーカッションを加えるだけの簡素な
バックが、かえってイトウの歌を際立たせる。一番いい時期
のリンダ・ルイスのような自由奔放な歌とフォーキーな演奏
には聞き手が自由に想像出来る余白の部分がたっぷり。音を
塗り込め過ぎない抑制感がハマりにハマった。歌われる言葉
にしても日々の暮らしを淡い色彩でスケッチしながら、自然
と風景が浮かび上がってくる。いずれもイトウが暖かい日も
寒い日も、いい時でも悪い時でも温めてきただろう歌の数々
だ。「CDを出すのは17年ぶりになります」そんな彼女のM
Cの彼方に長い歳月が横たわっていた。来年1月にはいよいよ
イトウサチの新作『きぼうのうた』が発売される。人の心を
動かすのは一体どんな歌なのだろう?そんなことを考えなが
ら帰り道の自転車を漕いだ。空には満月が昇っていた。


e0199046_23413225.jpg

[PR]

# by obinborn | 2017-12-06 23:44 | one day i walk | Comments(0)  

冬の午後とリッキー・リー・ジョーンズ

町はすっかりクリスマス・モード。まあオイラには関係ないので
イブにはガラガラの日本料理屋か鰻屋にでも行こうかと自虐的な
ことを考えてみる。今年は会社を辞めてから10年目となる節目の
イヤーだった。その間に自分は書籍を4冊出したので他人にはう
まくやっているように映るのだろう。しかし印税なんて微々たる
ものであり、実際の私はそれこそ苦労の連続だった。まるで社会
から落ちこぼれ取り残されたような焦燥は、きっと職を失いハロ
ーワークに通い、毎日のように求人広告に目を通し、履歴書を書
きまくった経験のない者には解るまい。それでも今日も健康でこ
うして夕方のワインなぞ飲んでいるのだからシアワセなのかもし
れない。冬の午後はまるで追い立てられるように慌ただしい。こ
んな時にリッキー・リー・ジョーンズの『浪漫』を聞いていると
細胞が隅々まで温まってくる。若さ故に放埓だった頃をデビュー
・アルバムで振り返るという視点が良かったし、その日々はもう
戻らないという告白が名曲「カンパニー」で為されていたことに
も深く感動した。先日町で偶然にも会社時代の先輩に会い、せっ

かくだからと飲みに行った。彼の個人史も大変だったことが想像

出来た。私たちはいつもそんな風に暮らしている。                                      

e0199046_17272285.jpg

[PR]

# by obinborn | 2017-12-04 17:29 | one day i walk | Comments(0)  

追悼:ロバート”ポップ"ポップウェル〜今まで本当にありがとうございました!

素晴らしいベーシスト、ロバート”ポップ”ポップウェルの訃報
を受けていささか動揺している。主にジャズ/フュージョン方面
で活躍した人であり、クルセイダーズのメンバーとして知られ
る。そこら辺は詳しい方々にお譲りするとして、ぼくがポップ
ウェルの死で真っ先に思い浮かべたのが、ロン・ウッドの79年
作『ギミ・サム・ネック』だった。本作でロンが選択したのは
ポップウェル=チャーリー・ワッツというちょっと意外なリズ
ム・コンビ。ところがこの起用がハマりにハマった!例によっ
てチャーリーのドラミングは”シンプル・イズ・ベスト”を地で
行くのだが、そこにやや洗練されたポップウェルのベースが柔
らかい輪郭を描いてゆく。そこら辺の匙加減がサイコー!なの
だ。

本作では面白いことにドラムスの名手、ジム・ケルトナーをあ
えてパーカッション役(しかも2曲のみ)に留め、チャーリー
とポップウェルのコンビネイションを特化させている。ここら
辺の審美眼というか直感的なサムシングに、ぼくはロニーなら
ではの見識を感じずにはいられない。『俺と仲間』『ナウ・
ルック』と傑作が2枚続いた後だけに、ロニーのアルバムの
なかではそれほど評価されていないけれども、粗めのグルーヴ
に賭けていくかのようなバンド・アンサンブルはここだけのも
の。ポップウェルの死を受け、普段よりもベースの動きを中心
に聞いていると、かなり美味しくレンジの広い艶のあるベース
を弾いていることがよく解る。

とかくウィルトン・フェルダーの陰に隠れがちだったポップウ
ェルだったけれども、この『ギミ・サム・ネック』での名演を
残してくれただけでもリスペクトに値することだろう。ポップ
ウェルさん、今まで本当にありがとうございました。オイラは
あなたのことを忘れません。


e0199046_21513541.jpg


[PR]

# by obinborn | 2017-12-01 22:11 | rock'n roll | Comments(0)  

追悼:ロバート”ポップ"ポップウェル〜今まで本当にありがとうございました!

素晴らしいベーシスト、ロバート”ポップ”ポップウェルの訃報
を受けていささか動揺している。主にジャズ/フュージョン方面
で活躍した人であり、クルセイダーズのメンバーとして知られ
る。そこら辺は詳しい方々にお譲りするとして、ぼくがポップ
ウェルの死で真っ先に思い浮かべたのが、ロン・ウッドの79年
作『ギミ・サム・ネック』だった。本作でロンが選択したのは
ポップウェル=チャーリー・ワッツというちょっと意外なリズ
ム・コンビ。ところがこの起用がハマりにハマった!例によっ
てチャーリーのドラミングは”シンプル・イズ・ベスト”を地で
行くのだが、そこにやや洗練されたポップウェルのベースが柔
らかい輪郭を描いてゆく。そこら辺の匙加減がサイコー!なの
だ。

本作では面白いことにドラムスの名手、ジム・ケルトナーをあ
えてパーカッション役(しかも2曲のみ)に留め、チャーリー
とポップウェルのコンビネイションを特化させている。ここら
辺の審美眼というか直感的なサムシングに、ぼくはロニーなら
ではの見識を感じずにはいられない。『俺と仲間』『ナウ・
ルック』と傑作が2枚続いた後だけに、ロニーのアルバムの
なかではそれほど評価されていないけれども、粗めのグルーヴ
に賭けていくかのようなバンド・アンサンブルはここだけのも
の。ポップウェルの死を受け、普段よりもベースの動きを中心
に聞いていると、かなり美味しくレンジの広い艶のあるベース
を弾いていることがよく解る。

とかくウィルトン・フェルダーの陰に隠れがちだったポップウ
ェルだったけれども、この『ギミ・サム・ネック』での名演を
残してくれただけでもリスペクトに値することだろう。ポップ
ウェルさん、今まで本当にありがとうございました。オイラは
あなたのことを忘れません。


e0199046_21513541.jpg


[PR]

# by obinborn | 2017-12-01 22:11 | rock'n roll | Comments(0)  

追悼:ロバート”ポップ"ポップウェル〜今まで本当にありがとうございました!

素晴らしいベーシスト、ロバート”ポップ”ポップウェルの訃報
を受けていささか動揺している。主にジャズ/フュージョン方面
で活躍した人であり、クルセイダーズのメンバーとして知られ
る。そこら辺は詳しい方々にお譲りするとして、ぼくがポップ
ウェルの死で真っ先に思い浮かべたのが、ロン・ウッドの79年
作『ギミ・サム・ネック』だった。本作でロンが選択したのは
ポップウェル=チャーリー・ワッツというちょっと意外なリズ
ム・コンビ。ところがこの起用がハマりにハマった!例によっ
てチャーリーのドラミングは”シンプル・イズ・ベスト”を地で
行くのだが、そこにやや洗練されたポップウェルのベースが柔
らかい輪郭を描いてゆく。そこら辺の匙加減がサイコー!なの
だ。

本作では面白いことにドラムスの名手、ジム・ケルトナーをあ
えてパーカッション役(しかも2曲のみ)に留め、チャーリー
とポップウェルのコンビネイションを特化させている。ここら
辺の審美眼というか直感的なサムシングに、ぼくはロニーなら
ではの見識を感じずにはいられない。『俺と仲間』『ナウ・
ルック』と傑作が2枚続いた後だけに、ロニーのアルバムの
なかではそれほど評価されていないけれども、粗めのグルーヴ
に賭けていくかのようなバンド・アンサンブルはここだけのも
の。ポップウェルの死を受け、普段よりもベースの動きを中心
に聞いていると、かなり美味しくレンジの広い艶のあるベース
を弾いていることがよく解る。

とかくウィルトン・フェルダーの陰に隠れがちだったポップウ
ェルだったけれども、この『ギミ・サム・ネック』での名演を
残してくれただけでもリスペクトに値することだろう。ポップ
ウェルさん、今まで本当にありがとうございました。オイラは
あなたのことを忘れません。


e0199046_21513541.jpg


[PR]

# by obinborn | 2017-12-01 22:11 | rock'n roll | Comments(0)  

11月29日の佐野元春&ザ・ホーボー・キング・バンド

「レイナ」のような慈愛に満ちた歌があった。「インディヴィ
ジュリスト」のような切迫感ある曲もあった。そんな佐野元春
&ホーボー・キング・バンドのライブを29日は東京ビルボード
にて。5年目に入る恒例の”Smoke and Blue "のパフォーマン
スは、コヨーテ・バンドを率いた普段の荒ぶるロックとは対照
的にシックな編曲が施され、リラックスしたムードに包まれる
のが特徴的だが、今夜も新旧のナンバーを交えながら佐野元春
という稀有なアーティストのこれまでの歩みを照らし出してい
く。都会の情景をスケッチしたナイーヴなバラードもあれば、
ラップ的な言語感覚を生かしたシニカルなビート・チューンも
ある。それら全てが等しく届く。聞き手たちがやり過ごしてき
た歳月に寄り添うように響く。演奏面でのクライマックスはラ
テン・ビートを大胆に導入した「観覧車の夜」だっただろうか。
"Smoke and Blue”の企画で必ず準備される新曲に関しては、
今回は世相をややユーモラスに反映させた「迂闊なことは言え
ない」が初めて登場した。

終演後は佐野さんと談笑。彼との久しぶりの再会が私は嬉しか
った。「世知辛い世の中ですし、まるで早い者勝ちのように政
治的なメッセージを直截に投げかける人もいます。それでも佐
野さんは音楽が持つ抽象性や想像の領域に賭けていますよね」
そんな問いを発したら、満面の笑みが返ってきた。

e0199046_22111746.jpg

[PR]

# by obinborn | 2017-11-29 22:11 | rock'n roll | Comments(2)  

11月28日の東京ローカル・ホンク

日本語のロックもここまで来たかと思わずにはいられない。
そんな東京ローカル・ホンクの今年最後のワンマン・ライブ
を28日は横浜のサムズアップにて、計19曲およそ2時間半に
亘って堪能した。自分が暮らす町から見える人々や風景をあ
りのままにスケッチし、ロックカルテットならではの含蓄あ
る演奏で弾みを付けていく。そんな彼らの音に酔いしれた。
洋楽のコピーから始まった日本のロックの大いなる到達。そ
んな風に言い換えても構わない。巻き舌英語の稚拙な表現で
はなく、月や手紙あるいは商店街といった単語が実感を伴い
ながら胸に染み渡り、まるで自分の埃だらけの心が浄化され
るかのよう。たとえ明日世界が終わったとしても、私はホン
クの音と言葉を愛でることだろう。

e0199046_01335678.jpg

[PR]

# by obinborn | 2017-11-29 01:36 | 東京ローカル・ホンク | Comments(0)  

11月21日の双六亭

荒ぶるロックの心。こんな賛辞がもし今もあるとしたら
彼らに贈りたい。そんな双六亭のレコ発ライブを21日は
池袋の鈴ん子屋でとことん堪能した。ニシイケタカシの
ぶっきらぼうな歌いっぷりとレスポール・サウンド。あ
るいは中原由貴のパワー・ドラムス。そんな彼らの音は
いつも風景を飛び越え胸を直撃する。それも美辞麗句を
並べ立てるわけでも、AA'BA的なソングライティングの
起承転結に陥るわけでもない。そんな双六亭の”ロック”
に胸が熱くならずにはいられないメモリアルな夜となっ
た。彼らとは昔から仲が良く互いに苦汁を舐めてきたで
あろう東京ローカル・ホンクとのツーマンという”絵”も
最高の設定だった。いささか情けない歌の方が遥かに心
に染み渡る。ユーモアを伴いながら自分が予想もしなか
った地点へと誘ってくれる。そんな”ロック”を受け止め
ながら帰りの電車に乗り込んだ。


e0199046_23493010.jpg

[PR]

# by obinborn | 2017-11-21 23:50 | rock'n roll | Comments(0)  

マーク・ベノの定点観測

マーク・ベノに関しては語り尽くしてきた感があるものの、
先日950円で『LOST IN AUSTIN』の英国盤を見つけたの
でまた買ってしまった。言いたいこともある。それはベノ
の過去3枚のアルバムがアメリカ西海岸で録音されてきた
のに対し、この79年作では初めてイギリスに飛び、プロデ
ューサーにグリン・ジョンズを迎えた点だ。レコーディ
ングはジョンズのお膝元であるロンドンのオリンピック・
スタジオ。こうした環境の変化がベノの音楽に新しい風を
巻き起こしているような気がする。さらに演奏陣は当時ア
ルバート・リーを新メンバーに迎えたばかりのエリック・
クラプトン・バンドだ。E.Cはこの頃『スロー・ハンド』
(77年)『バックレス』(78年)といずれもグリン・ジョ
ンズ制作のオリンピック・スタジオ録音というアルバムを
たて続けに発表していたが、ベノとE.Cとの結びつきをジョ
ンズに求めるのはごく自然なことだろう。

但し変化球もある。エリック以下、カール・レイドル(b)
ディック・シムズ(kbd)アルバート・リー(g)まではク
ラプトン・バンドからそのまま抜擢されているが、ジェイ
ミー・オルデカは当セッションに参加せず、ドラムスには
名手ジム・ケルトナーが採用されている。これまでもベノ
を支えてきたケルトナーを信頼したということだろうか。
この人選がベノによる意向なのかジョンズのアイディアな
のかは定かではないが、聞き手はクラプトン・バンドwith
ケルトナーという何とも贅沢な演奏を味わい尽くす結果と
なった。ミッドテンポでもスローでもケルトナーは絶妙の
タイム感を醸し出しているのだが、スネアの一振りだけで
もベノの歌と呼吸し合っている様がよく解る。ぼくはドラ
ムのテクニックに関しては無知だが、優れたドラマーが感
じさせる半拍遅れのワン・ショットやミュートの”間”を聞
いていると幸せな気持ちに包まれる。

このアルバムが発売された79年前後はパンク/ニューウェイ
ブが全盛を迎えつつあった頃で、昨日までアロハとジーパ
ンと長髪だった奴が、突如YMO風の人民服にテクノカット
へと切り替えるといった(ぼくには不可思議としか思えな
い)ファッションの変化も目立った。そんな戸惑いを覚え
ていた当時、ベノの『LOST IN AUSTIN』なり、アルバー
ト・リーの『HIDING』は数少ない伴侶だった。それぞれ
のアルバム表題は『オースティンで迷子になった』と『
隠れて』そこに現行のシーンと距離を置こうとするアーテ
ィストの暗喩が汲み取れる、と言ったら贔屓の引き倒しで
あろうか。それでも彼らの音楽は長い歳月に晒されながら
も色褪せなかった。きっと長距離ランナーの定点観測とは
そのようなものであり、その眼差しはまるで暗い海を照ら
し出す灯台の灯のようだ。


e0199046_04363379.jpg


[PR]

# by obinborn | 2017-11-14 04:36 | one day i walk | Comments(0)  

11月4日のロス・ロイヤル・フレイムズとザディコキックス

日本シリーズ第6戦をテレビで観るかライブに行くか
大いに迷ったものの、4日は後者を選んで結果良かっ
たと思える夜になった。スワンプ・ポップのロス・ロ
イヤル・フレイムズと本格的なザディコにアプローチ
するザディコキックス。そんな相性の良いツーマンを
江古田倶楽部で久しぶりに堪能した。ビル・ドゲット
のオルガンR&Bをデュオ編成に改変し、先日亡くなっ
たばかりのファッツ・ドミノのBefore I Glow To Old
で故人を偲んだロスロイも、クレオール音楽に特化し
たキックスも本当にいいバンドだと思う。ライブの場
で縦横無尽に駆け巡る両者の姿は、まるでルイジアナ
州ラファイエット辺りのジューク・ジョイントで繰り
広げられる宴のよう。それも学究的な態度ではなく、
ルーツ・ミュージックをエキスとして取り込む発想で
もなく、R&Bやザディコに対する心からのリスペクト
が感じられる点が嬉しく、オイラは帰り道を清々しい
気持ちで歩いた。

e0199046_09291028.jpg

[PR]

# by obinborn | 2017-11-05 09:30 | one day i walk | Comments(0)  

11月4日のロス・ロイヤル・フレイムズとザディコキックス

日本シリーズ第6戦をテレビで観るかライブに行くか
大いに迷ったものの、4日は後者を選んで結果良かっ
たと思える夜になった。スワンプ・ポップのロス・ロ
イヤル・フレイムズと本格的なザディコにアプローチ
するザディコキックス。そんな相性の良いツーマンを
江古田倶楽部で久しぶりに堪能した。ビル・ドゲット
のオルガンR&Bをデュオ編成に改変し、先日亡くなっ
たばかりのファッツ・ドミノのBefore I Glow To Old
で故人を偲んだロスロイも、クレオール音楽に特化し
たキックスも本当にいいバンドだと思う。ライブの場
で縦横無尽に駆け巡る両者の姿は、まるでルイジアナ
州ラファイエット辺りのジューク・ジョイントで繰り
広げられる宴のよう。それも学究的な態度ではなく、
ルーツ・ミュージックをエキスとして取り込む発想で
もなく、R&Bやザディコに対する心からのリスペクト
が感じられる点が嬉しく、オイラは帰り道を清々しい
気持ちで歩いた。

e0199046_09291028.jpg

[PR]

# by obinborn | 2017-11-05 09:30 | one day i walk | Comments(0)  

11月4日のロス・ロイヤル・フレイムズとザディコキックス

日本シリーズ第6戦をテレビで観るかライブに行くか
大いに迷ったものの、4日は後者を選んで結果良かっ
たと思える夜になった。スワンプ・ポップのロス・ロ
イヤル・フレイムズと本格的なザディコにアプローチ
するザディコキックス。そんな相性の良いツーマンを
江古田倶楽部で久しぶりに堪能した。ビル・ドゲット
のオルガンR&Bをデュオ編成に改変し、先日亡くなっ
たばかりのファッツ・ドミノのBefore I Glow To Old
で故人を偲んだロスロイも、クレオール音楽に特化し
たキックスも本当にいいバンドだと思う。ライブの場
で縦横無尽に駆け巡る両者の姿は、まるでルイジアナ
州ラファイエット辺りのジューク・ジョイントで繰り
広げられる宴のよう。それも学究的な態度ではなく、
ルーツ・ミュージックをエキスとして取り込む発想で
もなく、R&Bやザディコに対する心からのリスペクト
が感じられる点が嬉しく、オイラは帰り道を清々しい
気持ちで歩いた。

e0199046_09291028.jpg

[PR]

# by obinborn | 2017-11-05 09:30 | one day i walk | Comments(0)  

11月4日のロス・ロイヤル・フレイムズとザディコキックス

日本シリーズ第6戦をテレビで観るかライブに行くか
大いに迷ったものの、4日は後者を選んで結果良かっ
たと思える夜になった。スワンプ・ポップのロス・ロ
イヤル・フレイムズと本格的なザディコにアプローチ
するザディコキックス。そんな相性の良いツーマンを
江古田倶楽部で久しぶりに堪能した。ビル・ドゲット
のオルガンR&Bをデュオ編成に改変し、先日亡くなっ
たばかりのファッツ・ドミノのBefore I Glow To Old
で故人を偲んだロスロイも、クレオール音楽に特化し
たキックスも本当にいいバンドだと思う。ライブの場
で縦横無尽に駆け巡る両者の姿は、まるでルイジアナ
州ラファイエット辺りのジューク・ジョイントで繰り
広げられる宴のよう。それも学究的な態度ではなく、
ルーツ・ミュージックをエキスとして取り込む発想で
もなく、R&Bやザディコに対する心からのリスペクト
が感じられる点が嬉しく、オイラは帰り道を清々しい
気持ちで歩いた。

e0199046_09291028.jpg

[PR]

# by obinborn | 2017-11-05 09:30 | one day i walk | Comments(0)  

11月4日のロス・ロイヤル・フレイムズとザディコキックス

日本シリーズ第6戦をテレビで観るかライブに行くか
大いに迷ったものの、4日は後者を選んで結果良かっ
たと思える夜になった。スワンプ・ポップのロス・ロ
イヤル・フレイムズと本格的なザディコにアプローチ
するザディコキックス。そんな相性の良いツーマンを
江古田倶楽部で久しぶりに堪能した。ビル・ドゲット
のオルガンR&Bをデュオ編成に改変し、先日亡くなっ
たばかりのファッツ・ドミノのBefore I Glow To Old
で故人を偲んだロスロイも、クレオール音楽に特化し
たキックスも本当にいいバンドだと思う。ライブの場
で縦横無尽に駆け巡る両者の姿は、まるでルイジアナ
州ラファイエット辺りのジューク・ジョイントで繰り
広げられる宴のよう。それも学究的な態度ではなく、
ルーツ・ミュージックをエキスとして取り込む発想で
もなく、R&Bやザディコに対する心からのリスペクト
が感じられる点が嬉しく、オイラは帰り道を清々しい
気持ちで歩いた。

e0199046_09291028.jpg

[PR]

# by obinborn | 2017-11-05 09:30 | one day i walk | Comments(0)